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圧力上昇速度に影響を及ぼすといえる。

 

3。2。4。 圧力容器サイズの影響

圧力容器試験の圧力容器サイズとして、今回100mlおよび30mlのものを作製し、それから得られた圧力発生挙動に関するデータを消防研究所の8mlのものと比較検討した。結果を図40−47に示す。

これらの結果から、圧力容器サイズは物質の種類により圧力上昇挙動に影響を及ぼす場合があると考えられる。

 

3。3。 圧力容器試験の判定法

圧力容器試験による物質の加熱分解による圧力上昇挙動を評価するパラメーターとしては、最大到達圧力(Pmax)、圧力上昇速度(dP/dt)あるいは国連危険物輸送専門家委員会で用いている最大到達圧力・圧力上昇速度(Pmax・dP/dt)などがあるが、分解の激しさを評価するパラメーターとしては圧力上昇速度(dP/dt)が適当と考えられる。

 

4。 まとめと今後の検討課題

国連統一圧力容器試験提案のため、圧力容器試験は物質の加熱による分解の激しさを再現性よく調べるためのものであるとの認識から、圧力容器試験の基本要件として、密閉下で、電気加熱を用いた均一加熱により圧力上昇挙動を計測するのが適当であるとした。また、試験実施上の点から、小型の試験装置、試料用容器の使用が望ましく、安全上から安全弁の設置が望ましいとした。次いで、上記の基本要件を満たす圧力容器試験装置を作製し、物質の加熱分解による圧力上昇挙動を評価するための標準試験条件を決めるため、加熱速度、試料量および圧力容器サイズの影響を調べた。また、反応性化学物質の加熱分解の激しさを評価するパラメーターとしては圧力上昇速度が適当であるした。

今後の検討課題としては次のものが挙げられる。

1) 圧力容器試験を多くの物質に適用し、加熱分解の激しさの評価法として本試験法の妥当性を検討するとともに、危険性のクラス分けを行うことにより、従来の圧力容器試験との差異を明らかにする。

2) 圧力容器試験による圧力発生挙動のシミュレーションを試み、当圧力容器試験について理論的解析を行う。

3) オリフィス付き圧力容器試験について理論的解析を試み、オリフィスの影響を明らかにする。

4) 溶剤で希釈された試料や不活性物質で希釈された試料の圧力発生挙動について検討し、溶剤や不活性物質の影響を明らかにする。

 

 

 

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