さらに、高齢者になるほど、病気やけがなどの自覚症状がある者の割合である有訴者率が高い。また、医療機関にかかる割合(受療率)も治療期間も、高齢者になるほど長くなっている。現代人の多くが一生の間相当の期間、病気にかかっている状態となっている。
以上のような疾病構造の変化を背景として、疾病期間はさらに長期化することが予測されており、治療と共にケアが重要となる時代を迎えつつある。
(2) 医療サービスに対する国民のニーズ ?@ 在宅に対するニーズ
疾病構造の変化により、成人病が増加すること等により、近年では在宅で医療サービスを受けることが重視されるようになっている。明治期以降最近まで、「医療提供の場」は「患者の自宅」から「病院」へ、そして再び「患者の自宅」へと変化を続けている。
また最近の自己注射、自己腹膜潅流、在宅酸素療法といった、在宅で用いることが可能な医療技術が急速に発展してきており、今後さらに技術の発展が見込まれている。
さらに、高齢者の看護や介護のニーズが高まり、一層在宅医療サービスヘの需要が強まる要因ともなっている。
1992(平成4)年度の医療法改正で、「居宅」が「医療提供の場」として、また1994(平成6)年にも健康保険法の改正で、在宅医療、訪問看護が医療保険のサービスとして位置づけられた。
以降、在宅医療は順調な伸びを見せている。
表2-1-3 社会医療診療行為別調査における「在宅療養」の年次推移
項目 | 昭和63年
(1988) |
平成元年
(1989) |
平成2年
(1990) |
平成3年
(1991) |
平成4年
(1992) |
平成5年
(1993) |
在宅患者指導料(総数) |
163,297 |
166,676 |
182,514 |
176,628 |
356,854 |
479,919 |
(往診を除く) (対前年伸び率) |
− | 2.1% |
9.5% |
−3.2% |
102.0% |
34.5% |
往診料 回数(総数) |
962,182 |
770,876 |
734,594 |
584,282 |
607,988 |
575,954 |
(対前年伸び率) | − |
−19.9% |
−4.7% |
−20.5% |
4.1% |
−5.3% |
在宅療養指導管理料 回数(総数) |
190,983 |
424,466 |
198,456 |
227,432 |
246,539 |
312,438 |
(老人デイ・ケアを含む) (対前年伸び率) |
− |
224.1% |
−53.2% |
14.6% |
8.4% |
26.7% |
出典:厚生省編「平成7年版厚生白書」
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