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ため、契約の成立時点について従来の発信主義を採用すると、現状を正しく反映していない可能性がある。また、電子商取引の実現に不可欠と思われる本人の確認方法や、契約や取引そのものの存在を第三者機関が証明する電子公証制度等についての取り決めがなく、電子商取引が実用段階に入るまでに早急に整備する必要がある。

 

(2)問題となる制度・慣行

民法第526条1項において、隔地者間の契約の成立は、申込みの受け手が契約に関して承諾の意思を発信した時点で成立するとしているが、承諾の意思が回線故障等により申し込み側に届かなかった場合や、送られてきたデータが読み出し不能であった場合等を考えると、現行制度のままではトラブルが生じる可能性がある。

 

民法 第526条

隔地者間ノ契約ハ承諾ノ通知ヲ発シタル時ニ成立ス

?A 申込者ノ意思表示又ハ取引上ノ慣習ニ依リ承諾ノ通知ヲ必要トサセル場合ニ於テハ契約ハ承諾ノ意思表示ト認ムヘキ事実アリタル時ニ成立ス

 

(3)最近の動向

法務省では、1996(平成8)年度より「電子商取引法制に関する研究会」を発足させ、法律学者、法律実務家、暗号学者、通信技術者その他学識経験者に委員を委託し、?@ 電子取引に関する実体法制上の問題点及び法的整備の必要性の検討、?A 電子的公証制度の整備、?B 電子的認証制度の整備について検討を実施している、1997(平成9)年度中に報告書をまとめる予定である。

また、郵政省が1996(平成8)年度より、パソコン通信を使った電子決済システムの安全性確保等のため「電子決済、電子現金とその利用環境整備に関する調査研究会」(電気通信局長の私的研究会)を設置している。金融、通信、コンピューター業界のほか大蔵省、日銀関係者も参加、平成1997(平成9)年3月までに報告書をまとめる方針である。

 

1−4−2 米・麦類の販売

(1)概要

従来は食糧法により、米の自由な販売が制限されていた。このことから、米を生産している農家は規制に守られる一方、消費者への効率的な供給が妨げられていた。 

 

 

 

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