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玄海諸島における静脈物流ネットワークのあり方に関する調査研究報告書

 事業名 玄海諸島における静脈物流ネットワークのあり方に関する調査研究
 団体名 九州運輸振興センター  


(6)馬渡島
(1)将来的な静脈物流のイメージ
実線:定期的に排出/点線:不定期に排出
太線:RORO船/細線:定期船
 
 一般廃棄物(粗大ゴミ除く)の海上輸送は将来的には定期船利用を見込む。廃家電は現行通り定期船を利用する。漁業関連廃棄物や漂着ゴミ等は漁協が主導して、品目や輸送量に応じて自ら漁船輸送またはRORO船を手配する。使用済み自動車や廃船はRORO船の空きスペースを活用して随時輸送する。
 
(2)短期的な方策
■粗大ゴミの共同輸送<小川島・加唐島・松島・馬渡島共通>
 粗大ゴミは定期的にRORO船で輸送されている。申請窓口である呼子支所と鎮西支所で調整し、小川島、加唐島、松島と同一日に回収することで、行政コストの軽減が見込まれる。また、予め島内所定の一時保管場所を設置することで、島内収集の負担軽減を図ることができる。
 
■使用済み自動車の輸送体制の維持
 馬渡島では、年間10〜20台程度の発生が見込まれる。5〜6年前に一斉撤去を行っているが、その後は定期的に訪島するガスボンベの輸送船(RORO船)の空きスペースを利用して輸送を行っており、定期的に排出されている。このため現行通り、排出者が適宜船社に依頼する体制が適当と考えられる。
 
(3)中長期的な方策
■島民・航路事業者・行政による輸送体制の検討<加唐島・松島・馬渡島共通>
 廃棄物等の輸送コストの削減を図るには、定期船による一般廃棄物の輸送が考えられる。
 輸送手段の変更にあたっては、定期船リプレース時に併せて、廃棄物等の輸送が可能な荷役設備等を配備し、小川島同様の輸送容器の準備や、島内収集体制の構築などが必要となる。
 馬渡島の定期船は2005年にリプレースしたところであり、しばらくは現状のままの輸送体制となるが、将来的な輸送方法や各者の役割分担について、加唐島や松島の関係者、航路事業者、行政とで十分な協議を行うことが重要である。特に、馬渡島航路は国庫補助航路であることから、国や県の関係者との十分な協議が必要である。
 
(7)向島
(1)将来的な静脈物流のイメージ
実線:定期的に排出/点線:不定期に排出
太線:RORO船/細線:定期船
 
 現行の輸送体制を継続し、島民交代制による資源ゴミ輸送、廃家電輸送は定期船を利用する。漁業関連廃棄物や漂着ゴミ等は漁協が主導して、品目や輸送量に応じて自ら漁船輸送またはRORO船を手配する。使用済み自動車や廃船は数年に一度の発生だが、RORO船の空きスペースを活用して輸送する。
 
(2)短期的な方策
■島民協力による輸送体制の継続
 向島は現在、島民協力のもとで一般廃棄物の輸送が行われている。今後もこの体制を継続していくためには、島民間でリサイクルの必要性を共有し、現行の輸送形態が島の実情に照らして最適な手段であることを認識しあい、当番制を維持していくことが重要である。
 
■漁協主導による島内一斉清掃の継続
 向島では廃棄物等の不法投棄は特にみられない。現在、漂着ゴミが景観上の課題となっており、島民協力のもとで、島内一斉清掃が行われている。特に、他島と異なり行政回収による輸送体制が無いことから、漁協が主導する形で漁船輸送が不可欠となる。今後も行政や漁協と連携を図りながら、活動を継続していくことが求められている。
 
(3)中長期的な方策
 (2)で述べた方策を継続して行い、安定かつ効率的な廃棄物等の輸送体制を構築する。
 
(8)玄海諸島共通
■島間における静脈物流の取組に関する情報共有
 他島で個別に実施されている廃棄物等の収集・運搬・処理に関する取組状況を知ることで、自分の島で生じている課題解決の参考とすることができる。特に、共通の課題である海岸や漁港等の廃棄物は、各島で島内一斉回収や個別団体による回収、個人レベルでの回収など多様な対応がみられる。さらに、互いの活動に参加し合うことで、各島のおかれている課題を共有し、相互の理解を深めるきっかけとすることができる。
 情報交換の機会としては、島づくり事業の一環として作成されたNPO法人レインボー七つの島連絡会議のホームページの活用、各地区の駐在員が定期的に集まる検討会議等の機会を活用することが考えられる。
 
■観光振興を兼ねた漂着ゴミの一斉回収の実施
 現在、玄海諸島では各島の連携による観光振興の方策が検討されている。
 そこで、担い手の不足する漂着ゴミ等の一斉回収の際に、島外からの参加者も募り、活動への参加を促すことで担い手を確保すると同時に、都市部の人との交流の機会として活用がすることができる。例えば、活動のお礼として地元料理や海産物の提供等を行い、共に活動することで参加者にとって島の生活に触れる機会となる。
 また、島民にとって、島外参加者と共に活動し外部の目に触れることで、自らの島の実情に気づく機会となる。自ら費用を負担するくらいならリサイクルをしないという意識が強いが、島の振興につながり、最終的には自らの生活に還元される行動であることを理解してもらうことで、島民の意識改革につなげていく学びの機会とすることが重要である。
 
■島民同士の相互扶助によるリサイクル財の排出に際した高齢者支援
 玄海諸島の平均高齢化率は29.1%と高い。島内ステーションまでの運搬であっても、一輪車で輸送するケースもあり、大型の廃棄物の場合は高齢者には負担となっている。
 また、リサイクルの処理方法が複雑になっているため、各地区集会ではたびたび説明が行われているが、特に高齢者にはわかりにくい部分も多い。高齢者にとっては、費用負担よりも島内運搬作業や手続き面での手間が負担となり、リサイクルの阻害要因となっている点も指摘されている。
 このように、島民の高齢化が進む中で適切なリサイクルを促進するためには、島民同士の相互扶助により、排出者の家から船社に渡すまでの運搬や手続き面での細やかな支援を行い、高齢者の負担軽減を図る態勢が必要である。
 
■廃船リサイクルの受け入れ体制づくり
 玄海諸島では、島民が所有する漁船のほとんどが中古品として処分され、廃船の退蔵は一部の島で2〜3隻みられるにとどまる。しかし、今後は廃船処理が必要な船舶も発生が見込まれている。適切なリサイクル処理を進めるためには、まず、受け入れる事業者側で輸送体制や手数料の軽減を図る体制を構築し、通常の廃船処理と比較して、概ね同等レベルのコスト競争力を有する必要がある。
 同時に、漁協とリサイクル処理事業者が連携して、廃船リサイクルシステムの普及啓発を図ることが必要である。
 また、船舶用バッテリーは船舶所有者が自ら交換作業を行うことが多いことから、排出者自身が販売店で新品購入した時に、使用済みバッテリーの引取をその場で行うか、後日販売店に持ち込む必要がある。排出者の処理徹底を促すとともに、販売店側でも積極的に引取を行い、適切な処理を促していくことが重要である。
 
(9)まとめ
表6-3-1  玄海諸島における静脈物流ネットワークの構築に向けた具体的な方策
(拡大画面:25KB)
備考)■:定期船運航に関する方策、○:RORO船運航に関する方策、
△:島民活動・意識啓発に関する方策、*:その他
 
4. 役割分担
 玄海諸島における静脈物流ネットワークの構築に向けて、関係主体が果たすべき役割は以下の通りである。
関係主体 果たすべき役割
島内 島民 ・廃棄物処理やリサイクルのしくみの理解
・廃棄物処理やリサイクルの適切な処理の実施(適切な排出)
・廃棄物の排出量の削減(分別ルールの遵守等)
駐在員 ・島民の意識に応じた情報提供(勉強会の開催、ルールの明文化等)
・不法投棄・退蔵の防止呼びかけ・率先活動
・島の実情に応じた適切な輸送方法(島内・海上)の選択
・船社・関連事業者・行政との連携(主導的な役割)
・島間の取組状況に関する情報交換
漁協 ・漂着ゴミ等漁港や海岸部の廃棄物の収集(主導的な役割)
・漁港利用にかかる船社と漁業関係者との調整
・漁業関連廃棄物の適切な処理の推進(漁家への働きかけ)
・FRP船リサイクルシステムの普及啓発
船社 定期航路事業者 ・廃棄物等の輸送検討・実施
・廃家電などの排出支援
RORO船社 ・島民および本土側処理事業者との仲介・連携
・産業廃棄物収集・運搬業許可の取得
・島から本土への空きスペースへの廃棄物等の積極的な受け入れ(手配・運賃の固定化など)
処理事業者 ・離島における廃棄物等の現状把握
・適切な廃棄物処理・リサイクルの実施
行政 唐津市 ・一般廃棄物の収集・処理
・島民への普及啓発・指導(法令遵守)
・異業種間/島間の調整(仲介支援・協議の場の設定など)
・資金面・情報面における支援(漂着ゴミ等の処理費用支援など)
佐賀県 ・産業廃棄物(特に、漂着ゴミを含む漁業関連廃棄物)の処理に関する技術面・資金面での支援
・国と市町村との調整支援
・廃棄物処理・リサイクル関連事業者との仲介支援
・国庫補助航路および県単独補助航路における廃棄物輸送効率化に向けた関係者との調整
・国庫補助航路における廃棄物輸送効率化に向けた市や県との調整


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