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地方分権時代にふさわしい地方税制のあり方に関する調査研究報告書?諸外国の地方税制との比較を中心に?

 事業名 地方自治情報啓発研究
 団体名 自治総合センター 注目度注目度5


2 スウェーデン、ノルウェー、デンマーク
スウェーデン、ノルウェー及びデンマークにおける調査の概要
1 調査対応者
飯野 靖四(慶應義塾大学経済学部教授)
2 実施時期
平成18年11月
3 調査実施国
スウェーデン、ノルウェー、デンマーク
4 調査事項及び調査先
(調査事項)
・租税逃避・不正対策等、不服申し立て及び強制徴収等
・不動産税と財産税の評価
・市民、企業への税制の啓発活動
(調査先)
11月22日(水)
・・・スウェーデン国税庁
11月23日(木)
・・・スウェーデン国税庁
11月24日(金)
・・・ノルウェー徴税庁
・・・オスロ税務署
11月27日(月)
・・・デンマーク国税庁
 
北欧3カ国(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク)調査研究報告書
〜税行政、特に徴税費、滞納、資産評価、税当局に対する態度等の研究〜
慶應義塾大学経済学部教授 飯野 靖四
1 問題意識と研究の方法
 近年、世界各国において、特にOECD諸国において、税行政のあり方についての関心が高まり、税行政担当者の間で各国の税行政の実態についての情報交換が活発に行われるようになった。OECDではそれらの情報交換の結果を報告書の形でまとめて、2004年11月に初めて公表した。この報告書は、以後2年ごとに公表されることになり、その最新版が2006年11月に公表された。
 わが国でもNHK受信料の不払い問題、国民年金保険料の徴収をめぐる社会保険庁の対応問題、消費税、国民健康保険料、給食費等の滞納問題をきっかけとして、「電子申告」の利用も含めた税行政のあり方についての議論が新聞紙上をにぎわしている。
 従来の財政学では租税原則の中に「徴税費最小の原則」というものがあり、税制の善し悪しを判断する基準として徴税費があまりかからない税が良いとすることは言われてきたが、残念ながらこの原則についての踏み込んだ研究はほとんど行われてこなかった。私がこの問題で北欧に注意を引きつけられたのは実は表1に見られるようにわが国と比べた場合の北欧諸国の徴税費の低さにある。しかし表1を見ただけでは北欧諸国の徴税費がなぜ低いのか分からない。そこで言葉が似ていて研究しやすいスウェーデン、ノルウェー、デンマークを直接訪れてインタービュー調査を行った。以下はその調査研究報告書であるが、OECDの報告書(以下では、特に記述しない限り、2006年に公表された報告書)を参考にしながら、北欧諸国(および参考として主要先進諸国)の税行政の特徴について見てみよう。
 
表1 徴税費(100の税収を得るための費用)の国際比較
2000年 2001年 2002年 2003年 2004年
デンマーク - - 0.73 0.87 0.83
ノルウェー - 0.56 0.59 0.59 0.56
スウェーデン 0.52 0.55 0.56 0.57 0.59
日本 1.42 1.54 1.66 1.67 1.58
フランス 1.4 1.41 1.44 1.41 1.35
ドイツ - - - - 1.8
イギリス 1.02 1.06 1.11 1.04 0.97
アメリカ 0.43 0.46 0.52 0.57 0.56
 
2 「徴税費」の国際比較
 実は「徴税費(100の税収を得るのにかかる費用の割合)」と一言で言っても、実際問題として、その内容に共通の規準を設けて国際比較することはきわめて難しい。私が思いつくだけでも例えばスウェーデンでは、わが国のNHKに相応するスウェーデン・ラジオの受信料を国税庁が徴収しているが、その費用を徴税費の中に含めてしまってよいのかといった問題や、含めていけないとすれば受信料の徴収費用を国税庁の徴税費の中からどのようにして分離できるのかといった問題が生じてくる。事実、OECDもそのような点は強く認識していて、表1を示す際にも次の点に留意するように警告を発している。
 
(1)各国において税率や租税構造が異なっていること
 税率や租税構造が異なれば税収も異なってくるので、当然それを分母にして計算されている徴税費も異なってくる。例えば租税負担率が40%を超えているヨーロッパ諸国と、租税負担率が低いアジアやアフリカ諸国の徴税費を比較することはあまり現実的ではない。
 
(注1)以上のようなOECDの主張がどれくらい妥当性をもっているかを検討するために、租税負担率と徴税費の関係を見てみると、北欧3カ国とわが国ではかなり強い負の相関がみられる(図1)が、それに主要先進国を加えると負の相関は維持されるが関係はかなり弱くなる(図2)。さらにそれにOECD加盟国の残りの国全部を加えるとやはり弱い負の相関はみられるものの、関係はきわめて弱くなる(図3)。
 
図1 北欧3カ国と日本の租税負担率と徴税費
 
図2 北欧と主要先進国の租税負担率と徴税費
 
図3 OECD諸国の租税負担率と徴税費
 
(注2)北欧3カ国とわが国(および主要先進国)の租税構造(それぞれの税がGDPに占める割合と税収全体に占める割合)は表2の通りである。
 
表2 租税収入の構成(2003年)
(1)対GDP比 (2)税収全体に占める割合
個人所得税 社会保険料 法人所得税 付加価値税 個別物品税 2003年合計 2004年合計
(1) (2) (1) (2) (1) (2) (1) (2) (1) (2) (1) (1)
デンマーク 25.6 53.1 1.2 2.5 2.9 5.9 9.7 20.1 5.4 10.3 48.3 49.6
ノルウェー 10.8 24.8 10.0 22.9 8.1 18.5 8.7 20.0 4.0 8.4 43.3 44.9
スウェーデン 15.8 31.3 14.7 29.1 2.5 5.0 9.2 18.2 3.7 6.5 50.6 50.7
日本 4.4 17.5 9.7 38.5 3.3 13.0 2.4 9.5 2.1 7.6 25.3 -
フランス 7.6 17.5 16.4 37.7 2.5 5.7 7.1 16.3 3.5 6.2 43.4 43.7
ドイツ 8.5 23.9 14.4 40.5 1.3 3.5 6.4 17.9 3.7 9.0 35.5 34.6
イギリス 10.2 28.5 6.6 18.5 2.8 7.8 7.0 19.8 4.1 9.7 35.6 36.1
アメリカ 9.0 35.3 6.7 26.4 2.1 8.1 - - 1.8 4.3 25.6 25.4


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