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フィールド観察
〜お台場海浜公園から船の科学館までを歩く〜
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 お台場とは、1853年にペリーの来航を機に砲台(台場)が設置するための人工島で、昔は物々しい場所だったようです。しかし今ではお台場海浜公園として市民のリクリエーションの場として親しまれています。
 
 本研修ではお台場海浜公園から船の科学館までを海の様子を観察しながら歩きます。その距離はたかだか1km足らずですが、そこには人工砂浜や岸壁など、様々な地形がみられます。子どもたちを引率するときは危険がいっぱいです。そこで、まず始めにフィールドに出る時の注意事項をお話します。
 
子どもの引率と海の安全について
菅家英明
 クラス単位で大勢の子どもたちを引率する先生方はある意味プロであり、自然体験活動における安全管理やグループコントロールについては、日頃のノウハウを存分に活かしていただければ、子どもたちは海辺での活動を安全に楽しむことができます。
 でも、2004年12月に発生したインド洋大津波や毎年夏休みに発生する海水浴場での離岸流での水難事故など、海には普段陸上では経験しない様々な危険や危機が潜んでいます。
 ですから、海辺での活動に際しては最善の安全対策を講じながら、かつ、子どもたちに常日頃から海辺(水辺)での危機回避を身につけさせる安全教育をしておくことが不可欠です。
 お台場海浜公園の海辺を歩きながら、海辺に潜む目に見える危険と目には見えない危険を見抜く「目」を養ってください。実は、それ自身が海を学ぶことでもあるのです。
 
(1)四面を海に囲まれた日本だから
 津波に対する安全教育をぜひ学校教育の中に取り入れて欲しいのです。インド洋大津波では、イギリスの少女が自ら学んだ地震と津波の知識で、押し寄せる津波から大勢の命を救いました。インド洋大津波規模の津波が来れば、東京湾の湾奥部でも安全とはいえません。
 地震を感じたら、地震の大きさには関係なく、すぐに高いところに逃げなければいけません。津波が来ないことが確認できれば、また戻ってくれば良いのですから「この程度ならたぶん大丈夫だ」などと考えてはいけません。
 津波や地震に関する速報は、例えば、携帯電話のメール配信サービスを使えば海辺で活動中でもすぐに知ることができます。特に、遠くで起きた地震でやってくる津波を知らせてくれる手段を必ず確保してください。
 
(2)陸と海は水でつながっているから
 海辺には、その場所で捨てられたゴミだけでなく、ほかの場所で捨てられたゴミが流れ着きます。ゴミの中には危険なものも入っていますので、例えば、海辺の清掃活動をするときには、十分な注意が必要です。中には、違法に捨てられた注射器の針が混じっていることもあります。
 でも、「ゴミに触るな!」と教えないでください。実際にどんなゴミが海辺にあるのか、子どもたち自身に確かめさせることも大切です。例えば、拾ったゴミを子どもたちに分類させてビンゴゲームをすることもできます。海辺にはゴミ以外にも様々なものが落ちていますので、色々と工夫してみてください。
 
(3)砂浜、磯、直立護岸など色々なタイプの海辺があるから
 活動場所の特徴にあわせて、安全対策をする必要があります。お台場の海辺では、どんな危険があるでしょう?実際に海辺を歩きながら、一つ一つ確かめてください。
 
 大切なことは、危険や危機があるからそこを避けて通るのではなく、普段の生活の中で子どもたちが万一の危険や危機に遭遇したとき正しく対処できるように、実際に体験させながら子どもと一緒に楽しく学ぶことなのです。


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