日本財団 図書館


資料1
日本海洋学会主催 「海の自然科学教室」
 
1. ホームページ公開(海の学習 見聞録)
 
海の自然科学教室
 2005年6月4日から5日にかけて、高知県室戸市にある国立室戸少年自然の家で「海の自然教室」が行なわれました。同教室に参加した福島、菅家がレポートします。
 
■概要
 「海の自然科学教室」は、日本海洋学会・教育問題研究部会(以後、海洋学会)と国立室戸少年自然の家(以後、少年自然の家)が、高知県内の小学生を対象に開催した海洋教育実践活動です。講師派遣やプログラム作成などのソフト面を海洋学会が担当し、施設やボランティアスタッフの提供などのサポート面を少年自然の家が担当し、日産科学振興財団から資金の援助を受けて実施されました。
 
 
 今回は2004年に続く第2回目で、小学校3年から6年までの総勢30名が1泊2日の同教室に参加しました。海洋学会から派遣された講師は、高知大学の岩崎望助教授、北海道大学・岸道郎教授、東京大学・乙部弘隆講師、東北区水産研究所・伊藤進一室長、東邦大学・風呂田利夫教授、横浜国立大学・菊池知彦教授、金沢大学・長谷川浩助教授です(以後、それぞれ○○講師)。このほかにも、生活面を含めた子どものケアを担当する少年自然の家の職員、及びボランティア、講師の補佐をする高知大学の学生らが参加しました。
 
 プログラムは「乗船体験」、「施設等見学」、「室内実習」、及び「シュノーケリング」の4つより構成されていました。「乗船体験」では、少年自然の家の実習船に乗り込み、水中カメラによる海底観察、プランクトン採集、及び採水などの実演が行なわれました。「施設等見学」では、とむろ漁港で飼育中のイルカ、ホテルニュー室戸で飼育中のウミガメを見学しました。「室内実習」では、5名の講師による実験を含めた講義を受けました。「シュノーケリング」では少年自然の家の目前の磯を利用して、班ごとにまとまって生物観察が行なわれました。
 
■乗船体験(第1日目:前半)
 
 
1. 透明度計測と水中カメラによる海底観察(乙部講師)
 室戸の海が日本でも有数のきれいな海であること、海の水が光を通しにくいことを説明した上で、「室戸の海は何mまで底が見えるだろうか?」と子どもたちに予想させてから、透明度板を使って透明度を計測しました(結果は17m)(写真)。その後、水中カメラの画像を船上の液晶モニターに映し出して海底を観察しました。海底の映像が主でしたが、魚やサンゴらしきものが映ると子どもたちは喜んでいる様子でした。
 
2. プランクトン採集および採水実習(岩崎講師&菊池講師)
 プランクトンネットと北原式採水器を使用して、夜に行う室内実習用のサンプルを採集しました。プランクトンネットによる採集は講師とサポートの大学院生が行い、子どもたちは説明を聞いていただけでしたが、採水の時はメッセンジャーの投入と採水器の引き上げなどに子どもたちも参加しました。採水は水深別に行い、その場で水温と塩分の計測も行いました。後半になると船酔いする子どもやスタッフ(!)が続出したため、一部の子どもしか参加できませんでした。
 
□Point
 海洋調査の実演では海の厳しさを教えることも大事な要素
 子どもが船酔いすることを踏まえて実習の順番を考える
 同じ作業の繰り返しに子どもは飽きる(船酔いする)
 
■施設等見学(第1日目:後半)
 
 
1. 室戸岬新港(海の駅とろむ)で飼育中のイルカの見学
 乗船体験のすぐ後にイルカ見学に行きました。最初は船酔いの治まらない子どももいたようですが、時間とともに次第に元気になる様子をみると、この時間は休息として有効だったようです。当初より、場つなぎ的プログラムとして企画されていたようですが、プログラムのメリハリという意味で意味があったと思いました。
 
□Point
・子どもの集中力や体力を考慮した休息を兼ねたプログラム
・プログラムにメリハリをつける
 
2. ホテルニューむろとで飼育中のウミガメの見学
 
 
 多数のウミガメが海水池の中を泳ぐ姿を見学するだけのものであるが、間近でウミガメをみたり、甲羅をさわったりする体験は、特に男子児童には興奮を伴うものであるようです。やや不衛生な池でしたので、少年自然の家のスタッフらが甲羅を触ったあとの手洗いを奨励していました。野外活動における安全確保の中に“衛生”という項目を忘れてはならないことを再確認しました。
 
□Point
・フィールドプログラムといえども衛生には考慮する


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION