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第一部門
緊急時の功績
副賞:日本財団賞(賞金100万円)
The Nippon Foundation Prize
◎海難・水難、交通事故、遭難等に際し、身命の危険を冒して救助・救援に尽くされた功績
◎犯罪等の発生に際し、身命の危険を冒してその解決に協力された功績
 
The 1st Category
Emergency Life Saving: the Nippon Foundation Prize
* Acts of valor, at the risk of one's own life, to save the lives of others in crisis situations such as disasters and accidents at sea, on the road, and in the mountains.
* Acts of valor, at the risk of one's own life, to solve crimes and so on.
 
荒井 邦文(あらい くにふみ)
(昭25.11.1生)千葉県浦安市
 
 勤務先の前の千葉県浦安市境川で子供が溺れかかっているのを目撃し、直ちに着衣のままヘドロが堆積し前夜の雨で水位の上昇した川に入り、子供にしがみつかれて水中に沈むなどの危険はあったが、無事救助に成功した。
(推薦者:(財)警察協会 会長 今泉 正隆)
 
Mr. Kunifumi Arai
(Born on November 1, 1950)
Chiba Prefecture
 
 Witnessing a child drowning in the Sakai River in front of his office, Mr. Arai immediately jumped into the sludgy, foul smelling river in all of his clothes. Despite a danger of drowning when the panicked child holded on to him, no one was injured, and the rescue was a complete success.
Recommended by Chairman of Police Association
 
 平成16年5月14日午後4時30分頃、荒井さんが当時勤めていた精肉店前を流れる境川沿いを同店店主と2人で歩いていたところ、バシャバシャと川面を叩く音が聞こえ、何かが動いているのが見えた。よく見ると川の中央付近で子供が溺れかかっており、頭が水面に見え隠れしていた。
 荒井さんはすぐに靴を脱ぎ、着衣のまま前夜の降雨で深さを増した境川に入った。入った場所の水深は鎖骨ぐらいまでで流れは殆ど無かったが、泳いで川の中央に近づくと、川は次第に深さを増し、対岸では船が係留できる深さになる。子供はパニックを起こして助けに近づいた荒井さんにしがみついたため2人とも一瞬水中へ沈んだが、荒井さんは必死に子供を抱えて対岸まで泳ぎきり、待っていた店主と通りがかりの男性が2人を岸に引き揚げた。その後店主の家で風呂に入れるなどして警察と保護者が来るまで親身の世話をした。子供は駆けつけた母親と一緒に無事帰宅した。
 境川は、昔はきれいな川だったが、現在は汚染が進みヘドロが堆積して臭気の漂う川になっている。荒井さんは救助の際にその川の水を誤って飲んだため、下痢をおこし目の病気に罹るなど体調を崩したが、「何とか無事に助けることが出来て良かった」と話している。
 
 
受賞の言葉
 この度は、この様な賞を頂き誠に有難く心より御礼申し上げます。
 事故に遭遇したのも偶然の事で、子供を持つ親として当たり前の事だったので、この様な賞を頂いたのも驚くばかりです。名誉ある賞を頂いたことに深く感謝し、これからも社会に貢献して行きたいと思います。
 
千葉県浦安市境川現場付近
 
 


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