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日本(にほん)スピンドル製造株式会社(せいぞうかぶしきがいしゃ)
兵庫県尼崎市
 
 工場前の線路で発生したJR福知山線列車脱線事故を知ると、直ちに社長以下従業員が一丸となり、現場に急行して救急隊の到着前から全社を挙げて救助活動を行い、多くの負傷者の救護にあたった。
(推薦者:近藤 辰夫)
 
Nihon Spindle Manufacturing Co.,Ltd.
Hyogo Prefecture
 
 Hearing of a train derailment on the tracks in front of the factory, the employees of Nihon Spindle were immediately assembled in the cafeteria and rescue directions were issued. Hurrying to the scene, the entire company was mobilized, rescuing and treating many of the injured before the arrival of a rescue crew.
Recommended by Mr. Tatsuo Kondo
 
 平成17年4月25日午前9時18分頃、兵庫県尼崎市でJR宝塚線(福知山線)が脱線事故を起こし、電車がマンションに突っ込んだ。マンション真向かいにある金属機械製造会社「日本スピンドル製造(株)」社員は、衝撃音で事故に気づいた。
 西門近くの従業員が現場を確認し、事の重大性を総務へ報告。会議中であった社長は報告を聞くや直ちに仕事を中止し、従業員を食堂に集め「仕事は中断や。みんな、救助に向かえ」と指示した。この号令の下、工場にいた100人以上の従業員が工場を飛び出し、救急隊が到着する前に救助活動を開始した。
 工場は9時30分頃には操業を止め、関連会社を含めて同社敷地内に勤務する約300人の従業員中230人が事故の応急措置に奔走した。工場敷地内にテントを張り救護者を日陰に寝かせた。救助した人員はおおよそ百数十名に上ると見られ、西門前の道路は救急車の通行も儘ならぬ中、トラックの荷台や乗用車に負傷者を乗せて会社敷地内を通り抜け、98名の人々を病院に搬送した。
 負傷者への献身的な介護もさることながら、事故現場が駐車場であったため火災の恐れがあることを察知し、工場中の消火器を集めて二次災害防止に努めるなどの冷静な行動も特記に値する。同社が常日頃より防災に対する強い意識を持っていたことの現れと言えよう。この事故では、多くの近隣住民等が負傷者の救護にあたったが、なかでも同社の活躍は目覚ましかった。
 
社長 齋藤 十内 氏
 
受賞の言葉
 今回の受賞は、思いもかけぬことであり社員一同光栄に思うと同時に戸惑いも感じる次第です。事故から6ヶ月余が経ちました。ご遺族の皆様の深い悲しみを思うと心が痛みますが、救助活動に当たられた方々の代表として、皆様方のご評価を粛々と受け止め受賞させて頂きました
 
(拡大画面:82KB)
 
 


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