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日本船舶海洋工学会論文集 第2号

 事業名 造船学術の振興
 団体名 日本船舶海洋工学会 注目度注目度5


帆角度制御による横揺れ減揺の研究
正員 芳村康男*    五十嵐佳子**
正員 黒田貴子***   菊本充弘****
 
* 北海道大学水産科学研究院
** (株)菱友システムズ
*** (独)海上技術安全研究所環境・エネルギー研究領域
**** アイシン精機(株)生産技術部
原稿受理 平成17年10月14日
 
Roll-damping Control by Sail-angle
 
by Yasuo Yoshimura,Member
Yoshiko Igarashi
Takako Kuroda, Member
Mitsuhiro Kikumoto
 
Summary
 Recent huge amount of CO2 discharge and the diffusion of detrimental substances by the excessive use of petroleum resources have brought the serious problem of an earth scale such as the global warming. It has been the world common subject for every work of the future to take account of the preserving natural environments. There are several solutions for taking place the petroleum energy. One of them is the wind energy. In 1980's when the petroleum price jumped up with the twice oil crises, the use of wind power was re-examined. Many kind of modern sailing rigs and new concepts of sail-equipped ships were proposed. These researches are summarized in the international symposiums by RINA1)2), and some of them were successful projects among them.
 Although the purpose of such sail-quipped ship is obviously the use of the above-mentioned wind energy, it is also empirically known as a secondary effect that the rolling of ship can be reduced by the sail. This comes from the air damping force of sail since the inflow angle of the sail changes with the rolling and this change acts on the direction which decreases the rolling. From this fact, the rolling can be more reduced if the angle of a sail is well controlled against the rolling.
 In this paper, the roll-damping mechanism is solved based upon the aero and hydrodynamics, and then the control technique of sail angle for decreasing the rolling for various wind directions is proposed where the sail angle: ΔδS is simply controlled asΔδS=kφ, but the polarity of control gain: k must be changed with the wind direction and average sail angle. According to this method, the validity and use of this control have been checked by the model experiments. As the results, it is found that the rolling angle can be remarkably decreased when the ship is sailing against the oblique wind and wave.
 
1. 緒言
 動力船舶に帆を装備する試みは、1980代のオイルショックの石油高騰によって、風力エネルギーの利用が見直され、種々の新しい推進装置が開発された。これらの成果はRINAのシンポジウム1, 2)に要約されている。わが国でも日本舶用機器開発協会(当時)が中心になって、機主帆従方式(帆船ではなく帆を補助的に使用)の開発が数多く進められた3)。ところが、これら帆装船の初期投資が少なくないこと、また、メンテナンスコストの増大も大きな負担となり、その後、帆装を撤去した船も多い。しかし、近年の化石燃料の大量使用による地球温暖化や有害物質の大気放出拡散が地球規模の問題となるに至り、自然環境を保全しつつ調和のとれた経済社会の持続的発展が世界的な課題となるにつれ、風力エネルギーの利用が再度見直される環境が揃ってきたとも言える。
 帆装船の目的は第一に、上記の風力エネルギーの利用にあるが、二次的な効果として、船の横揺れを低減できることが経験的に知られている。これは、帆の角度が一定に固定されていても、横揺れに伴って帆の相対流入速度や流入角が変化し、この変化が横揺れを減少させる向きに作用するため、減揺効果が発生することによる。更にまた、帆の角度を横揺れに応じて上手く制御すると、横揺れを著しく減少できる可能性がある。平山ら4)は、無風状態の中を高速船が航走して正面から相対風を受ける場合について数値計算を行い、横揺れ角や角速度に比例した帆角の制御で旋回中の横傾斜を低減できることを示した。しかし、帆装の目的は風力エネルギーの利用にあり、正面からの風では風力エネルギーが活用できないので通常は縮帆され、こうした局面は現実の帆装船では生じず、帆装船では種々の風向を想定する必要がある。
 本報では、Fig. 1に示すような簡単なキャンバス帆で、帆の角度を自由に駆動できる三角帆を船尾に装備した状態を供試船として想定し、種々の風向に対して横揺れを低減させる場合の力学的メカニズムを解明し、その制御手法を検討して、その有効性を模型実験で確認することとした。
 
Fig. 1 General arrangement of the sail equipped ship.
(拡大画面:53KB)
 
2. 帆による横揺れ減衰のメカニズム
 帆は船の推進力だけでなく横方向にも大きな力を発生させ、この横力が船を傾斜させるモーメントになる。帆の力は風向によって、揚力が主体の局面と、抗力が主体となる双方があり、あらゆる風向に対して帆の力の横揺れに及ぼす影響を明確にしておく必要がある。
 帆による横傾斜モーメントをKASとすると、船が直進中で波浪外力が無い場合の横揺れφの運動方程式は次式で表される。
 
 
Fig. 2 Co-ordinate system for sail on board
 
 相対風速と風向がそれぞれUA、θで、船の横揺れ角速度がの時、帆に作用する相対風速Uaと帆の相対迎角の変化εはFig. 2に示す座標系を用いて、近似的に次式で表される。
 
 
 したがって、帆による傾斜モーメントKASは次式で表される。
 
 
Fig. 3 CL and CD of sail
 
2.1 帆の揚力が主体で迎角が小さい場合
 Fig. 2の座標系に示すように、帆の角度をδsoとして帆の迎角がαで航走している場合、横揺れ角速度がで、かつ帆の角度をΔδs回転させると、帆の相対迎角は(α-Δδs+ε)となる。ここで帆の迎角がFig. 3のα1付近のように、主に帆の揚力Lを主体とする向かい風から横風の局面を想定する。この場合Fig. 3のように、揚力係数CLと抗力係数CDが迎角に比例すると仮定すると、CL=c(α-Δδs+ε)CD=b(α-Δδs +ε)となり、帆の角度を横揺れ魚速度に比例してΔδs=kと制御した場合、線形の減滅係数は次式となる。
 
 
 上式中a0は帆が無い場合の減滅係数である。第2項が、帆角が一定で制御しなくてもパッシブに減揺する部分であり、これは帆面積AS、帆の相対風速UA、船の重心と帆の中心までの距離zSの自乗に比例する。第3項が帆の制御によりアクティブに変化する部分であり、その大きさは帆面積ASの他、帆の揚力係数勾配c、帆の相対風速UAの自乗、船の重心と帆の中心までの距離zS、および帆の角度の制御定数kに比例して大きくなって、前者のパッシブな減揺と構造がやや異なることが理論的に示される。
 
2.2 帆の抗力が主体で迎角が大きい場合
 他方、Fig. 3のα2付近のように、帆の迎角が90°に近く、抗力Dが主体となる追い風の局面では、揚力傾斜が迎角に対して逆の特性になるので、CL=c'{90°-(α-Δδs+ε)}となる。また、抗力係数は前述と同様、CD=b(α-Δδs +ε)となり、帆の角度を横揺れ角速度に比例してΔδs=kと制御すると、減滅曲線の線形項減滅係数は次式となって、アクティブに減揺する第3項の極性は(5)式と逆になり、この場合の減揺するに必要な帆の角度は、揚力が主体の(5)式の場合と逆方向となる。
 


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更新日: 2019年10月12日

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