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日本船舶海洋工学会論文集 第2号

 事業名 造船学術の振興
 団体名 日本船舶海洋工学会 注目度注目度5


高速旅客船の乗り心地評価に関する研究(第1報)
―船体運動の計測と解析―
 
正員 有馬正和*  学生員 田村裕貴*
 
* 大阪府立大学大学院工学研究科
原稿受理 平成17年9月12日
 
Evaluation of Ride Comfort of High-Speed Passenger Craft (1st report)
-Measurement and Analysis of Ship Motion-
 
by Masakazu Arima, Member
Yuuki Tamura, Student Member
 
Summary
 The purpose of this study is to establish an evaluation method of ride comfort of high-speed passenger craft. For the conventional displacement-type ships, vertical acceleration was used to be analysed so as to estimate ride quality of vessels or the motion sickness incidence (MSI) which represents the percentage of a group who will vomit during the voyage. This is because the principal vertical motion of most ships is close to 0.2 Hz where motion sickness sensitivity is considered to be at a maximum. Various types of stabilizer have been designed to reduce the rolling motions of ships. However, it is pointed out that lateral acceleration cannot be negligible for evaluating ride comfort of especially high-speed catamaran. Effect of vertical motion might be rather small because oscillatory frequencies of vertical motion are somewhat higher. Sway motion of high-speed crafts therefore comes to be a research subject overseas too. The authors have conducted experiment on ride comfort of a high-speed craft. Ship motion and subjects' psychological and physiological responses were measured in a high-speed craft running across the Bay of Osaka. The present paper deals with analysis of ship motion and proposes an evaluation method introducing the concept of the "frequency weighting" defined in ISO 2631-1 (1997).
 
1. 緒言
 著者らは,船舶の乗り心地評価に関する研究を行い,客観的な乗り心地評価指標を確立するために動揺暴露時の人体の生理的・心理的反応を計測,解析してきた。また,表情による乗り心地評価手法について検討を行い,心理学分野における基本感情に基づく表情評価モデルを構築して,新しい乗り心地・乗り物酔いの評価手法として提案を行った。
 近年,船舶の高速化が図られ,欧州を中心に数多くの高速船が運航されている。高速船では,流体力特性が従来の排水量型船舶とは異なるため,予想もしなかった運動特性が現れ,波浪中で針路が不安定になりやすいと言われている。このため,乗り心地の悪化や船上活動能力の低下が指摘されている。
 現在,国内では比較的小型の水中翼付高速双胴船が数多く就航しているが,その乗り心地の評価手法についてはこれまで十分な検討がなされてこなかった。
 船舶の乗り心地は,排水量型の中型旅客船を中心に実験データが集められ,実験室における動揺暴露実験の結果を併せて,乗り物酔いを発症しやすい周波数帯域が見出された1)。現行の人体振動に関する国際規格ISO2631-1(1997)では,乗り物酔い(motion sickness)の評価手法として,上下加速度に対する周波数荷重曲線が定義され,嘔吐率(全乗客のうち航海中に嘔吐した人数の百分率)の予測方法としてMSDV(Motion Sickness Dose Value)が提案されている2)
 従来の船舶の乗り心地評価手法では,指標として嘔吐率を用いることが多かったが,小型の水中翼付高速双胴船は荒天時には欠航することが多く,嘔吐に至る乗客もそれほど多くないことから,嘔吐率による乗り心地の評価が必ずしも適切ではないと考えられる。
 今回,株式会社淡路開発事業団のご理解とご協力を得て,淡路島洲本港(兵庫県洲本市)と関西国際空港(大阪府泉佐野市)を結ぶ洲本パールライン「パールブライト2」において高速旅客船の乗り心地評価に関する実船実験をする機会を得ることができた。本論文では,第1報として,高速旅客船の船体運動を解析し,従来の上下揺れ加速度による評価だけでは不十分であることを指摘して,左右揺れ加速度をも考慮した乗り心地の評価について提案を行う。
 
2. 高速旅客船における実船実験
2.1 高速旅客船「パールブライト2」の概要
 高速旅客船「パールブライト2」の主要目をTable 1に,一般配置図をFig. 1に示す。本船は,前後に水中翼をもつ双胴船で,約28knotを超える速度域で浮上して航走する。
 
Table 1 Principal particulars of “Pearl Bright 2”.
Ship's Name Pearl Bright 2
Gross Tonnage 73 ton
Length x Breadth x Depth 26.50 m x 6.20 m x 2.35 m
Max. number of a persons allowed on board Passenger 120
Crew 3
Service Speed 32.4knot (60km/h)
 
Fig. 1 General arrangement and experimental zone.
 
2.2 実船実験の概要
 本研究では,平成16年6月29日(火)から平成17年2月24日(木)にかけて8往復の計測実験を行った。いずれの日も往路と復路は,それぞれ関西空港09:50発・洲本港10:38着の下り2便と洲本港14:50発・関西空港15:39着の上り5便であった。計測項目は,船体運動と被験者の心電図と表情である。船体運動の計測位置および被験者の着座位置をFig. 1中に示した。計測機器の電源の確保と一般乗客に迷惑を掛けないために,実験は毎回左舷最後尾で行った。
 平成16年10月22日(金)にGPSシステムで計測した本船の航跡をFig. 2に示す。出港10分後から約30分間は船速30 kmotで航走したが,淡路島に大きな被害をもたらした台風23号による大型浮遊ゴミが多く,何度も避航操船をした。
 
Fig. 2 Course of“Pearl Bright 2”.


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更新日: 2019年10月12日

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