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3. シミュレーションデータによる本手法の有効性の確認
 シミュレーションデータを用いた再構成を行い,本手法の有効性について確認する.式(11)およびFig. 3に示すような成層化した密度場を模したデータを与えた.
 
 
Fig. 3 Original data of phi
 
 はじめに,前報および今回用いた手法の比較検討を行う.(11)式で与えられるφの勾配データを元に前報と今回の手法で再構成した結果をFig. 4およびFig. 5にそれぞれ示す.Fig. 4および5はそれぞれ前報と同様に領域内部の矩形吹き出しのみで再構成した結果と,前報に加えて境界上に線吹き出しを追加して再構成した結果である.違いを見やすくするため,x座標を一定でφを切り出したラインを全て重ね合わせている.前報のように矩形吹き出し単体で解いた場合は外縁の矩形吹きだしが線状吹き出しの代替をするため,外縁付近で再構成結果に歪みが生じる.そのため,本来一本の線に重なるはずのラインが歪み再構成結果にばらつきが生じている.一方,境界部の線状吹き出しも考慮に入れた本手法による結果Fig. 5は完全に同一のラインに重なっており,前報に比べ再構成領域の外縁部において発生していた歪みの改善が見られる.
 
Fig. 4  Reconstructed result by previous method
(without boundary integral)
 
Fig. 5  Reconstructed result by present method
(with boundary integral)
 
 次に,本手法による最小二乗法による勾配ベクトルのノイズの低減効果についても調査した.(11)で与えられるφの勾配データに実際の過誤ベクトルを模擬するため,Fig. 6のような空間内でランダムに発生するノイズを勾配場に与えた.格子点数は,x方向50×y方向50とした.このデータを元に再構成したφをFig. 7およびφの勾配をFig. 8に示す.なお,再構成時の境界条件は全周においてその法線方向のφの二階微分値がゼロとなるようにした.具体的には境界線上において再構成後の法線方向勾配と計測値の法線方向勾配が等しくなるようにした.Fig. 7より高さφは良好に再構成されていることがわかる.またFig. 8からノイズにより乱された勾配場がノイズを加える前の元データに近い形に回復されており,これにより,再構成と同時に過誤ベクトルの補正が行えていることがわかる.
 
Fig. 6  Original gradient of phi
(added pulse noise)
 
Fig. 7 Reconstructed result of phi
 
Fig. 8 Gradient of Reconstructed phi


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