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平成17年度 国際的海上保安業務能力向上の推進 事業報告書

 事業名 国際的海上保安業務能力向上の推進
 団体名 海上保安協会 注目度注目度5


4. シスコセキュリティ
(The Commercial and Industrial Security Corporation; CISCO)
(1)概要
 CISCOは1972年に設立され、シンガポールにおいて唯一、商業ベースで船舶上での武装警備サービスを提供している組織である。CISCOは、シンガポール警察法(Police Force Act)において、補助的警察隊(Auxiliary Police Forces; APFs)として位置づけられている。このAuxiliary Police Forcesという概念は、日本には存在しないものであるが、シンガポール警察の公共の秩序を維持するという任務を側面的に支援するものとして認識されている。このため、日本においては公的機関の任務として位置付けられているものも、シンガポールではCISCOが提供する各種サービスの一つとなっている。このような業務の特殊性により、CISCOは監督官庁である内務省(警察)の厳密な監督を受けて、サービスの提供および組織運営などを行っている。
 なお、現在、シンガポールには、CISCOを含め、いくつかのAuxiliary Police Forcesが存在する。これらの組織は、これまで、特定の区域内においてのみ警察権限を行使することが許されていた。しかし、9.11米国同時多発テロ事件以降、セキュリティ環境やセキュリティ・サービスに対する必要性が注目され、セキュリティに対する意識が劇的に変化した。このことからシンガポールでは、2004年10月、これらのAuxiliary Police Forcesの警察権限行使(逮捕のみ)に係る場所的制限を解除することを含め、民間武装警備サービス産業の自由化を促進する警察法の全面改正が行われた。また、2005年1月には、CISCOを完全に企業組織化する法案が成立した(2005年7月1日施行)。これらの法整備の結果、今後参入する民間警備会社も含め、公平な競争を促進する法制度上の環境が整ったと考えられる。今後、CISCOは、政府所有企業として、他の民間警備会社と全く公平な競争環境の下、様々なセキュリティ・サービスを提供していくことになっている。
 
CISCO本部の外観
 
CISCO POLICEの職員の方々と
 
(2)業務内容
 CISCOが提供する主要なサービスには、刑務所における警備業務、受刑者の輸送業務、シンガポール港に停泊する外国軍艦の海上警備業務に加え、建造物警備、土地の警備、現金輸送、貴重品保管、情報セキュリティ、セキュリティ研修の実施、セキュリティ・コンサルタント業務などがある。
 海上警備業務は比較的新しい業務であるが、SOLAS条約関連の動向に対応し、CISCOは今後需要が拡大するという認識を有している。現在CISCOが提供する船舶関連のセキュリティ・サービスには、Changi海軍基地、Tuas海軍基地、Sembawang、Changi海軍基地沖の軍艦用錨地に停泊する外国軍艦、大型クルーズ客船に出入りする者の検査などがある。
 また、シンガポール政府は、このような公的機関と民間武装警備組織との組合せにより、行政サービス、民間サービスを含む、セキュリティ・サービスに対する必要性に柔軟かつ的確に対応し、安全な海域、安全なシンガポール港を実現しようと意欲的に活動していることが分かる。
(3)組織構成
 CISCOの最高意思決定機関は、セキュリティ関連企業幹部、内務省幹部、弁護士など12名で構成される、最高幹部委員会(Board of Directors)という機関である。この「Board of Directors」という機関の下に、前述のような実際のセキュリティ・サービスを提供する現業組織と、総務系統の組織(総務・財務、人事、営業、品質管理、開発・規制)とがある。
 CISCOの全社員数は約4,000名で、このうち約3,000名が武装警備員である。これらの者は、シンガポール警察と類似の制服、階級を有している。また、CISCOは、職員の教育訓練のため、独自の研修機関を保有し、約8週間の研修を経たのち、武装警備員としての資格証明書が政府から付与される仕組みになっている。なお、上級警備員については、英国における海外研修に参加させている。
 
業務中のCISCO POLICEの職員および車両
 
(4)質疑応答
Q1 Please tell us concerning the relationship between CISCO and public authorities. For example, how about legal basis and the limit (restriction)? In addition, what are things that generality police can do but CISCO cannot do?
(CISCOと官公庁との関係について教えてください。たとえば、法的根拠やその限界(制約)はどのようになっていますか。また、一般のPOLICEには出来て、CISCOには出来ないことは何ですか。)
A1 CISCO is positioned as support organization of police organization (public offices). And a legal basis is mentioned on law of police. The limit of law enforcement is a range that is permitted to the police organization. For example, CISCO can arrest but have no authority of judicial police. In addition, CISCO cannot do what police cannot do because the limit is a range that is permitted to the police organization.
(CISCOは警察機関(官公庁)の支援機関となっています。法的根拠としては、シンガポールの警察法に記載されています。警察力の権限行使の限界としては、警察機関に許可されている範囲となり、逮捕などは可能でも、捜査等司法警察の権限は与えられておりません。また、警察機関の許可の範囲内でしか行動できないため、一般のPOLICEに出来ないことはCISCOにも出来ません。)
 
Q2 How about fee system or a tariff of contract? For example, does the fee differ depending upon the size of the ship and the time of patrol? In addition, if patrol fails, how is fee?
(契約の料金体系はどのようになっていますか。たとえば、船舶の大きさや警備の時間によって料金は異なりますか。また、警備が失敗した場合はどうなりますか。)
A2 It acts basically by a couple of two persons, and the charge is about 190 dollars for two hours. The charge doesn't change basically in the content of work though the charge changes by extending time and zone time. However, there are exceptions, and the extra charge might be necessary in case of the guard of the ATM etc.
(基本的には2人1組で行動し、2時間で190ドル程度となっています。時間帯や時間の延長などで料金は変化しますが、基本的に仕事の内容では料金は変わりません。ただし例外もあり、ATMの警護など追加料金が必要な場合もあります。)
 
Q3 Please tell us what kind of training or education does the security staff get?
(警備する職員の日頃の訓練などはどのようなことを行っていますか。)
A3 We trains in the CISCO police school that is adjacent to the police academy. Training contents are gun and arrest skill etc.
(ポリスアカデミーに隣接するシスコポリススクールという場所で訓練を行っています。訓練内容としては拳銃や逮捕術などを行っています。)
 
5. シンガポール海事港湾庁
(Maritime and Port Authority of Singapore; MPA)
(1)概要
 シンガポール海事港湾庁(Maritime and Port Authority of Singapore; MPA)は1996年2月2日に海運局(Marine Department)、国家海事局(National Maritime Board)、シンガポール港湾庁(Regulatory departments of the former Port of Singapore Authority)が統合されて誕生した官公庁であり、運輸省(the Ministry of Transport)の傘下に置かれている。
 同庁は、海事全般を管理する官庁として、港湾、船舶等に関するあらゆる許認可を掌るほか、シンガポール港内及びマラッカ・シンガポール海峡TSS(Traffic Separation Scheme、分離通航方式)航路のシンガポール管轄区域内における船舶交通の管理、その他の航行安全対策、港湾・海事セキュリティ対策、海洋環境保全、港湾セールスに関する施策等、幅広い行政を担っている。
 業務の根拠となっている法律は以下のとおりである。
・The Maritime and Port Authority of Singapore
・Prevention of Pollution of the Sea Act
・Maritime Offences Act
・Merchant Shipping Actandrelated Regulations
 また、法律で定められた役割及び職務は以下のとおりである。
・港湾の使用、改良及び開発の促進
・港湾及びその周辺における船舶交通の管理
・航路標識等航行援助施設の整備及び管理
・航行船舶に対する情報の発信
・海事港湾行政に係る許認可の行使、その他施策等
 特に、東西2ヵ所の海事港湾庁港内管制センター(Port Operations Control Center; POCC)には、港内における事件、海難、災害発生時のオペレーション機能が備えられており、シンガポールにおける海上危機管理の中心的役割を果す機関となっている。現在、最も力を入れているセキュリティ関連の事業として、AISの搭載義務のない小型の船舶に関する動静把握システムの構築を急いでおり、詳細は次節で述べる。2004年MPAの年間総予算は約1億シンガポールドル(約68億円)であり、その内人件費、物件借用費・修理費、原価償却費等を含まない純粋な事業費は3,000万シンガポールドル(約20億4,000万円)程度となっている。
 
シンガポール全図
 
(2)最新海事セキュリティ政策 ハーツ(Harbour Craft Transponder System; HARTS)
 HARTSは総トン数500トン未満のAIS設置義務のない小型船やプレジャーボート等にトランスポンダを設置し、ID、位置および速力等を監視するというシステムのことである。緩衝帯のない狭い領海内には石油等危険物関連施設や海軍施設等多数のテロ攻撃の目標となり得る施設が存在するため、接近する船舶の正体をより早く突き止めることが本システムの目的である。
 
コンテナヤードが集合する本島南部拡大図
 
シンガポールコンテナヤード
(左岸Keppel Terminal、右岸Brani Terminal)
 
MPA本部が入るPSAビル
 
HARTSシステムの概要図
 
 港内に就役する約3,000隻の小型船やプレジャーボート等については、トランスポンダの設置費用と初年度のメンテナンス費用をMPAが負担する。2005年12月から運用開始予定で、それまでに第1回目の措置として500隻にトランスポンダを設置し、2006年12月までに識別装置を付加する。新造船については自己負担での設置が義務付けられる。AIS装置一式7,000〜10,000S$(約48万〜68万円)に対して、HARTSトランスポンダは1基1,000S$(約6万8千円)で年間のメンテナンス費用もわずかであるという。
 GPS携帯電話でお馴染みとなった、携帯電話ローミングのGPRS(General Packet Radio Service)通信ネットワークを利用することにより費用を安くすることが可能となり、東西2ヵ所の海事港湾庁港内管制センター(Port Operations Control Center; POCC)のほか、ポリスコーストガード(PCG)、海軍でも監視可能にする予定である。
 このトランスポンダには、パニックボタンという非常ボタンがあり、事故等非常時やハイジャック・テロ攻撃等の脅威が生じた際に監視海事機関に即座に通報することができる。また、盗難された際には自動通報される仕組みとなっており、利用者側にも設置するメリットが確保されている。この通報は、港内管制センターのスクリーンに表示される。
(3)質疑応答
Q1 Please tell us concerning the name of security department, the scale and number of your organization.
(セキュリティ担当部門の名称、規模、人員数を教えてください。)
A1 As some of the main departments which deal with security issue, MPA has "Maritime Security Department (21 members in 3 sections)" and "Policy Department (15 members)", which also handles general matters of the MPA.
(主な組織として、まず、Maritime Security Departmentが設置されており、3つのセクションに計21名の職員を配しています。
 次に、Policy Departmentでも総括的な観点からセキュリティ問題を扱っており、ここには現在15人の職員が配置されています。)
 
Q2 After 9.11 terror attack, how does harbor security change?
(9.11以降、港のセキュリティはどのように変化しましたか。)
A2 Typical changes after 9.11 must be as follows;
・Installation of the ‘ISPS CODE’;
・Reinforcement of the POCC's function
・Installation of the special ASSET force
 主な変化は以下のとおりです。
・ISPSコードの導入
・POCCにおける監視の強化
・ASSeT制度の創設
 
Q3 Please tell us concerning the relationship between MPA and other organization.
(他機関との協力体制はどのようになっていますか?)
A3 MPA has a strong connection with PCG and Singapore Navy to ensure port security.
(PCGや海軍とは港内のセキュリティ対策について強い協力関係にあります。)
 
Q4 Please tell us concerning the relationship between MPA and USCG.
(USコーストガードとの関係について教えてください。)
A4 Actually, USCG has a representative office in Singapore and they advice us to ensure port security.
(シンガポールにはUSCGの事務所がありMPAに対し港のセキュリティ対策に関するアドバイスを行います。)


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更新日: 2019年12月7日

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