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 一方、100m2当たりの漂着物平均個数は402個/100m2であり、この内訳は、「プラスチック類」が288個/100m2(100m2当たりの総個数の71.5%)と最も多く、次いで「発泡スチレン類」66個/100m2(同16.5%)、「ガラス・陶磁器類」23個/100m2(同5.8%)の順であった。
 また、昨年度の100m2当たりの漂着物平均個数は427個/100m2であり、「プラスチック類」が308個/100m2(100m2当たりの総個数の72.2%)と最も多く、次いで「発泡スチレン類」79個/100m2(同18.5%)、「ガラス・陶磁器類」15個/100m2(同3.5%)、「その他の人工物」9個/100m2(同2.2%)の順であり、両年度とも100m2当たりの漂着物平均個数の「プラスチック類」や「発泡スチレン類」のプラスチック製のものの占める割合は、極めて高い結果であった。
 調査海岸別では、佐賀県の相賀の浜(日本)6,089個/100m2、山形県の飛島西海岸(日本)1,512個/100m2、島根県の河下海岸(日本)1,400個/100m2、長崎県の清石浜海水浴場(日本)1,219個/100m2、富山県の島尾・松田江浜(日本)1,034個/100m2が多く、ハバロフスク地方のオブマンナヤ入江2個/100m2、忠清南道の大川(デチョン)海水浴場3個/100m2と少なかった。その比は最も大きいところで約3,000倍もの違いが認められた。
 
図3.5-4(1)海辺の漂着物100m2当たりの個数
(拡大画面:76KB)
 
図3.5-4(2)海辺の漂着物100m2当たりの個数割合
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 このように日本海沿岸を中心に海岸に漂着されたものの多くは、恒常的にいわゆる“プラスチック製のごみ”であることが確認され、この物質は、自然分解されず、軽いため遠距離を漂流できる特性を備えている。また、人間が取り除かねばいつまでも存在し続けるため、景観を損なうだけでなく、微小化した「プラスチック破片」等は海岸の砂などに混在している。このため、これら漂着物は、誤飲等による生物への影響を与えるだけでなく、適切に処理されないプラスチック類は、いずれは海に流れ出し、他の海岸、他の海域に影響を与える。さらに海辺に住む以外の海鳥や水棲生物の誤飲等や海洋・海岸の汚染を発生する可能性もある。
 今後とも、漂着物問題解決に向けて、沿岸諸国が連携・協力して引き続き調査研究を進めるとともに、国内外に向けた日本の漂着物実態の情報発信などを中心とする発生源対策及び漂着物を実際に処理する際に参考となる漂着物処理対策事例集(仮称)を作成するなどの具体的な有効施策を検討する必要がある。


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