4.2 実証システムの解析・評価
まず単筒エンジンの基礎データを取得した。表.4-2-1に試験ケースを示す。
表.4-2-1 基礎データのケース
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case1 |
case2 |
case3 |
case4 |
負荷 |
% |
80 |
100 |
100 |
100 |
燃料噴射 |
ATDC |
-5.8 |
-1.8 |
-3.8 |
-5.8 |
Pme |
MPa |
1.60 |
2.12 |
2.12 |
2.12 |
Pmax |
MPa |
20.5 |
23.1 |
21.0 |
23.2 |
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負荷100[%]で正味平均有効圧力は、2.12[MPa]程度である。本試験にて実機相当の性能がでていることを確認した。本データにおける負荷100%の進角-5.8[deg]をベースとして、試験を進めていく。(エンジンの負荷100[%]データについては、毎回の試験ごとに取得する。)
つぎに実際に超臨界水を噴射したときの結果にっいて述べる。各試験ケースの主要性能データを表.4-2-2に、また噴射時の筒内圧波形、A側、F側の超臨界水噴射弁の針弁リフト応答を図.4-2-1に示す。
表.4-2-2 試験ケースと主要性能データ(超臨界水噴射試験)
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単体 |
case1 |
case2 |
負荷 |
% |
100 |
100 |
100 |
噴射水圧力 |
MPa |
- |
32 |
32 |
噴射水温度 |
℃ |
- |
434 |
437 |
噴射量 Gw/Gf |
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- |
1.73 |
1.60 |
効率 |
- |
1.0 |
1.069 |
1.056 |
NOx |
- |
1.0 |
0.71 |
0.60 |
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図.4-3-5に噴射量に対する効率およびNOxの変化を示す。(後述のデータもあわせて示す。)結果の示すとおりケース1では効率が約7[%]改善、NOxは30[%]低減し、ケース2では効率が約5.5[%]改善、NOxは40[%]低減した。これにより本システムのコンセプトを確認することができた。図.4-2-1に示すとおり、TDCあとに近いところで噴射されたケース1でより効率が改善され、TDC付近で噴射したケース2でよりNOxが改善される結果となった。
本データが本試験において超臨界水を最大噴射した結果である。図.4-2-2に示すとおり、F側の超臨界水噴射弁のリフト量が少ないために、当初予定の噴射量が確保できなかった。図.4-2-2のとおりアクチュエータリフトはいずれも目標値並のリフト量が出ており、噴射弁本体の問題であったと推察される。要因としては、針弁摺動の悪化、ピストンロッドスリットの変化などが考えられる。ノズル部は400[℃]以上にさらされるため、熱膨張による摺動への影響、また軸方向の熱延びによる応答性能への影響が少なからず生じる。これらに対処するロバストな噴射弁構造が必要となる。
本試験では噴射指令からアクチュエータ開までのタイミング差はクランク角度で15[deg](3.5[ms])であった。アクチュエータの開直後より針弁が応答しているのが読み取れるが、立ち上がりは緩やかな応答となっている(超臨界水噴射弁の単体試験と比較して)。これは針弁の作動が筒内圧力に依存しているためと考えられる。針弁は針弁と直結しているピストン上部の油圧が開放されるとリフトするが、このときリフト方向への力は、噴射流体圧力とサック内圧力による力である。サック内圧力は、噴孔およびサックボリュームにより筒内圧に対して圧力応答に遅れが生じるため、今回のような針弁応答の遅れが生じると考えられる。
図.4-2-1 超臨界水噴射試験結果
図.4-2-2 超臨界水噴射試験結果(超臨界水噴射弁応答)
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