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資料(文献抜粋)
 新居町では昭和五十四年、町制施行九十周年記念事業としての『新居町史』編さん事業の中で鳥島漂流者の事実が詳しく取り上げられた。第三巻「風土編」に「人物」の項目で述べたが、第四、五巻(担当執筆者渡辺和敏氏)で江戸時代、新居関所に保管されていた関係文献資料の復刻が成された。ここに、『新居町史』をお手持ちでない人の便宜を図って、その『町史』四、五巻からの抜粋及び、新資料『豆州志稿』(羽衣出版・二〇〇三の写真翻刻)を活字化して掲載する。
(一)元文四年・無人島漂流者口書控(『新居町史』第四巻より)
 江戸時代から残る新居関所保有の文書で、昭和二十五年頃、郷土史研究家・疋田櫃治(ひつじ)氏によって静岡新聞で紹介されたが、それ以外、新居町ではほとんど言う人がなかった。これは元文四年、救出された漂流者、平三郎達が江戸城吹上御庭の幕府取り調べにおいて述べた口上書で、現在全国に、内閣文庫、豊橋市橋良(はしら)文庫(吉田城文書)、新居関所の三ヶ所に残されているものである。これには救出直後、(1)八丈島役所での取り調べ書(代官斎藤喜六郎)のもの、江戸城吹上御庭でのもの、新居帰着後の「国本江帰り候ニ付口上書」とあり、一方に、救出者宮本善八船船頭富蔵の口述書「舟頭水主拾七人申口」がある。その上、他に、吹上御庭における取り調べの一問一答を記した、(2)「相尋候答」(織田「漂流」の典拠か)がみる。第四巻には、それら合わせて、鎌倉〜江戸時代の故事・伝奇や著者自身の伝聞をあつめた『翁草』【前記二(4)】が収録されている(ここには再録なし)。ここには「新居町史第四巻」をお持ちでない人のために(1)、(2)を上げるものである。
 
(1)(表紙) 無人島帰国者口書 無人嶋漂着
 
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