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(a)9月3日
 天候は快晴、風がやや強かった。図−2.3.14、図−2.3.15に、この日のWave Hunterによる沖波データを改めて示す。周期が大きく、波高が少し高めであるので、この日の海は少し荒れ気味であったといえる。潮位に関しては、12:00〜16:00の間はほぼ一定、16:00頃から潮が引き始め22:00頃までに約20cm減少した。その後、潮が満ち始めている。有義波高、有義周期には大きな変化は見受けられない。潮の満ち引きによる潮位の変化以外は大きな海況変化はなかったといえる。以降、強い離岸流が計測された12:00〜16:00と20:00〜O:00、一方流れが弱くなっている16:00〜20:00に分けて考察する。
 
図−2.3.14 Wave Hunter(9月3日)
 
図−2.3.15 Wave Hunter(9月3日)
 
(1)9月3日(12:00〜16:00)
 図−2.3.16のシーマーカーの流跡から見られるような離岸流が発生している。ビデオ画像のシーマーカーの流れより流速を算出したところ約65cm/sであった。No.1の流速データ図−2.3.17でも岸沖方向に最大約50cm/s、西方向に最大約40cm/sの流れとなっている。流れ方向の流速は最大で約60cm/sもあり、非常に強い流れであった。実際に海に入り作業を行っている際にも流れに逆らって岸に戻るのが困難な程の流れになっていた。この日の離岸流は二つのbarの間を通る流れであった。器材設置場所の西側により強い離岸流れがあり、その場所へ流れ込むため計測結果に西向きの流れが強く含まれていると考えられる。大きな水位変動は見られなかったが、周期約1分〜2分の長期変動が見られた。流速についても周期約1分〜2分の長期変動が見られ、入射波に長周期波が含まれていることが伺える。
 
図−2.3.16 気球画像(9月3日 12:26)
 
図−2.3.17 時系列データ(9月3日 12:00〜16:00)
 
(2)9月3日(16:00〜20:00)
 この時間帯は引き潮になっており水位が徐々に下がっている。No.1の流速データ図−2.3.18から読み取れるように17:00〜19:00の時間帯には離岸流はほとんど発生していない。他の流速計を見ると、No.5の流速計においては向岸流、東向きの沿岸流も見られる。この時間帯は全体的に離岸流の流れが小さくなっている。なお、12:00〜16:00や20:00〜24:00と比べ、Wave Hunterによる沖波データには大きな変化は見られず、流速計の埋没等の器材の不具合による影響だとも考えにくい。また別の日や過去のデータにおける引き潮時の海況データからは同じような現象は見られないため単純に潮の満ち引きによる影響とも考えにくく、他の何らかの要因の可能性も考えられる。
 
図−2.3.18 時系列データ(9月3日 16:00〜20:00)
 
(3)9月3日(20:00〜24:00)
 図−2.3.19に示すように、この時間帯では強い離岸流が見られる。12:00〜16:00の時とほぼ同様に沖向き・西向きの流れが見られ、流れ方向の流速は最大で約60cm/s程と非常に強い。夜であったので実際に確認はできていないが12:00〜16:00同様、器材設置場所の少し西側により強い離岸流が発生していたのではないかと思われる。この時間は周期約1分の流速の長周期変動、周期約2〜3分の水位の長周期変動が見られた。水位の長周期変動と流速の長周期変動が非常に似かよっているため長周期波が流れに大きな影響を与えている可能性も考えられる。
 
図−2.3.19 時系列データ(9月3日 20:00〜24:00)


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