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2.3 モデル海岸Iにおける研究結果
2.3.1 現地観測
2.3.1.1 観測の概要
(1)対象海岸の概要および実測日時
 現地観測は前年度に引き続き鳥取県浦富海岸にておこなった。浦富海岸は東西を岩礁に囲まれた約1.5kmの入り江状の遠浅の砂浜海岸で、海底勾配は約0.01である(図−2.3.1)。汀線より250m、水深約3m付近に2基の潜堤(天端幅30〜50m、堤長400m、天端水深約2m)が設置されている。観測日時は以下に記すとおりである。
 
実測日時:
2002年9月1日〜16日
2003年7月2日〜8日
2004年8月30日〜9月6日
2005年9月1日〜9月14日
 
図−2.3.1 浦富海岸の概要
 
(2)実測機器
1)磁気式波高・波向き計(Wave Hunter) 1台
 測定インターバル1秒で波高、波向き、周期、水位、流速、流向、水温を計測する。今回の実測では潜堤開口部の沖合、水深約7mの地点に設置することで沖波波高、沖波周期、波向を計測する(図−2.3.2)。
2)圧力センサー 3台
 汀線に近い水深約1m付近に設置し、汀線付近の水位を1秒間隔で計測(図−2.3.3)。
3)圧力式波高計 4台
 圧力センサーと同様に水深約1m付近に設置し、汀線付近の波高を1秒間隔で計測。
4)電磁流速計 6台
 圧力センサー・圧力式波高計と共に設置し、汀線付近の流速を1秒間隔で計測(図−2.3.4)。
 
図−2.3.2 Wave hunter
 
図−2.3.3 圧力センサー
 
図−2.3.4 電磁流速計
 
5)気球
 長さ12m、容量14m3の飛行船型の気球で、充填ガスとしてヘリウムガスを用いた。カメラ装置を下部に設置し上空約150〜200mから観測する(図−2.3.5)。
6)ビデオカメラ装置
 気球の位置は風の影響があり細かく制御するのは困難であるため、気球に取り付けるカメラ装置の雲台を遠隔操作することによってカメラの撮影方向を変えられるようになっている。カメラの電源のON、OFF、ズーム機能も遠隔操作でき、これによって撮影範囲が大幅に広がり、撮影された映像は電波で地上のモニターに送られリアルタイムで観察ができるため、離岸流発生場所の撮影が的確かつ容易にできる。遠隔操作は地上からPHSを用いて行われ、気球に取り付けられたデジタルビデオカメラで録画を行う(図−2.3.6)。
7)GPS装置
 汀線形状及び地形形状の測量を行う。図−2.3.7のように背中にGPSを背負いながら汀線及び海底を歩くことにより形状を測量する。
 
図−2.3.5 気球
 
図−2.3.6 ビデオシステム
 
図2.3.7 GPS
 
(3)実測手法
 沖波波高、沖波周期を計測するために水深約7mの沖にWave Hunterを設置した。また離岸流を計測するために汀線付近に圧力センサー、圧力式波高計、電磁流速計を設置し、流速及びその時の水位を計測した。なお設置場所・方法については、あらかじめシーマーカー(海難救助に用いられる染料、海水を一時的に蛍光の緑色にする)を投入し、離岸流発生場所を確認したのち発生場所へ設置をした。同時に、気球に搭載したビデオカメラで上空約150mからシーマーカーの軌跡や周辺海況を撮影する。また地形の測量はGPSを用いて行い、汀線形状・地形形状を測量する。


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