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2.4.2 大陸棚外側の限界線の自動選択
(1)目的と概要
 表1のデータが得られた後、それを総合して1本の大陸棚限界線を作成する。海洋法第78条によると、以下の条件によって大陸棚限界を決定する。
 
・200海里までの海底等を大陸棚とすることができる。
・200海里を超える海域であっても、脚部から60海里の地点、あるいは堆積岩の厚さが大陸斜面脚部からの距離の1%となる地点まで、大陸棚の限界を延長することができる。
・ただし最大350海里または、2500m等深線から100海里の地点のいずれか遠い方を超えてはならない。
 
 大陸棚限界線の連続線分データは手動編集するには大量であり、しかも上記の条件は複雑である。そのためこれらを総合し、大陸棚限界線を手動で決定するのは作業が多く、人為ミスも発生する。そこで大陸棚限界線の自動選択プログラムを開発した。
 
(2)入出力データ
 連続線分データを入出力する。入力する連続線分データの種類は表1に示したものである。
 
(3)アルゴリズム
 本プログラムの計算方法は3段階に分かれる。
 
(1)350海里線、100海里線から外側の線分を選択する。
(2)60海里線、1%線、200海里線から外側の線分を選択する。
(3)(1)と(2)の結果から内側の線分を選択する。
 
 この内、(1)と(2)は同じアルゴリズムであり、これを以降、外縁線選択アルゴリズムと呼ぶ。図42に外縁線選択アルゴリズムの流れを示す。
 
図42 外縁線選択アルゴリズム
 
 内側の線を選択するアルゴリズムは、外縁線選択アルゴリズムの交差陸沖判定が逆になるだけである。
 
(4)動作状況
 実際の連続線分データが作成されていないため、テストデータを作成し、本プログラムの動作を確認した。図43が作成した各種連続線分データである。この表示画面で赤色の連続線分が350海里線、濃黄色の連続線分が100海里線、濃緑色の連続線分が60海里線、紫色の連続線分が1%線、青色の連続線分が200海里線である。図の上が沖側に相当する。
 図44が制限線の選択結果であり、青色の太線が選択された連続線分である。表示画面には2本の制限線のみ表示される。これから外縁線が正常に選択されていることを確認できる。図45が定則線と200海里線の選択結果であり、赤色の太線が選択された連続線分である。これも外縁線が正常に選択されていることを確認できる。これら2つの結果を総合し、大陸棚限界線を自動選択した結果が図46である。緑色の太線が選択された連続線分である。これから内側の連続線分が正常に選択されていることを確認できる。また最終結果の計算と同時に頂点の座標がリストボックスに出力される。
 
図43 各種連続線分データ
 
図44 制限線選択結果
 
図45 定則線+200海里線選択結果
 
図46 最終結果


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