2.4 限界画定のためのソフトウェア開発
大陸棚限界線の描画プログラムとして、与えられた基準線から任意距離の円弧描画プログラム、大陸棚外側の限界線の自動選択プログラムおよび60海里ショートカットの最適化プログラムを作成した。
2.4.1 基準線から任意距離の円弧描画
(1)目的と概要
大陸棚限界画定では表1に示したデータを作成する必要がある。これらのデータは図35のように指定した基準線の各頂点から一定の距離の円弧を描くことによって作成される。本プログラムは指定した基準線からの等距離の円弧を描画することを目的とする。
図35 一定距離の円弧の概念
(2)入出力データ
連続線分データを入出力する。入力データは基線、2500m等深線、脚部線、その他である。
(3)アルゴリズム
円弧計算のアルゴリズムは柴山他(2003)のアルゴリズムに若干の修正を加えたものを採用した。
円弧は図36に示す基点Xと円弧上の計算点の関係に基づき、図37に示すアルゴリズムにより計算される。
図36 円弧計算の概念
図37 円弧計算の流れ メインルーチン
大陸棚画定のための距離計算では、最大で350海里の距離計算をしなければならない。これは約650kmに相当する。長距離計算のため、緯度・経度座標を平面直角座標系に変換したあと距離計算した場合、回転楕円体で近似される地球表面上で計測した距離との差が大きくなる。例えば緯度30°で測地線距離360海里の2点間は、緯度経度を平面直角座標に変換した後距離計算すると約350海里となる。そこで本プログラムでは緯度・経度座標から直接超長距離基線を計算する。アルゴリズムには辰野(1989)の「積分法による測地線距離計算方法」を組み込んだ。
(4)動作状況
複雑な三陸の海岸線データを使用し、本プログラムの動作を確認した。図38で、赤色の海岸線が使用した連続線分であり、1本の開線分からなる。図39の緑色の連続線分が計算した200海里線である。1本の開線分データから、正常に円弧を計算できている。
沖に仮の島を作成し、図40のとおり三陸の海岸線データに加え、再計算した。再計算に使用したデータは1本の開線分と1本の閉線分からなる。図41がその結果であり、そのデータでも正常に円弧を計算できた。
図38 三陸沖海岸線データ
図39 三陸沖200海里線計算結果
図40 島を含む三陸沖海岸線データ
図41 島を含む三陸沖200海里計算
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