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2.2.2 グリッド補間、公開グリッドの挿入
(1)目的と概要
 グリッドを生成したとき、グリッド上に各音響ビームのフットプリントが分布しない場所は、データが作成されない。本プログラムはグリッド上にデータが存在しない場所を補間することを目的とする。
 本プログラムは水深点の間隔が狭い部分を対象とし、平行に設定されている調査測線のスワス幅間の広いギャップを対象としない。補間方法はいくつか提案されているが、ここでは狭小な範囲を対象とするため、補間結果の差異が小さい。そこで簡易で計算時間の短い共一次内挿を補間方法として採用した。
 マルチビーム音響測深のスワスが重なっていない海域はグリッド化およびグリッド補間後もグリッドデータは得られない。そこでグリッドデータの得られていない海域に対し、インターネット等で入手可能な公開グリッドデータを挿入するプログラムを合わせて開発した。
 
(2)入出力データ
 本プログラムは複数のグリッドデータおよび公開グリッドデータを入力し、1つのグリッドデータを出力する。
 
(3)計算方法
 グリッドデータの補間と公開グリッドデータの挿入は図21の手順で実行される。
 まず微小なグリッド未存在部分を補間し、次に補間できなかった部分に公開グリッドデータを挿入する。
 
図21 補間・公開グリッドデータの挿入計算の流れ
 
 補間方法には共一次内挿法を採用した。共一次内挿は補間グリッド近傍の4グリッドを使用し、距離による重み付け平均で水深を計算する方法である。
 公開グリッドデータの挿入においても補間と同様、共一次内挿により、挿入水深を決定する。
 
(4)動作状況
 図22に示す実際の調査データを使用し、図23から図25のとおり本プログラムの動作を確認した。使用したグリッドデータはノイズ除去プログラムの動作確認で使用したものと同じ調査データから作成したものである。補間する対象は図中の緑色の四角枠で囲まれた範囲である。使用したグリッドのグリッドサイズは5秒である。これは約150mに相当する。このグリッドサイズの場合、補間半径を300mとすると、補間対象グリッドを中心とした4象限すべてにおいて、グリッドサイズの約2倍の距離以内にグリッドがないと補間できない。
 補間半径が増すごとに補間されるグリッドが多くなり、補間半径600mでほぼ全てのグリッドが補間できた。また、周囲のグリッドとの水深の整合もとれている。
 
図22 補間前データ
 
図23 補間結果(補間半径300m)
 
図24 補間結果(補間半径450m)
 
図25 補間結果(補間半径600m)
 
 次に公開グリッドデータの挿入機能を図26、図27に示す。選択した範囲はすべて公開グリッドデータで補間されている。しかし公開グリッドデータは入力グリッドデータと別の種類のデータであり、別の調査方法・調査機器で取得したデータであるため、計算前のグリッドとの水深の整合性はない。したがって、公開グリッドデータの挿入は、広い範囲を便宜的にグリッドの穴埋めするために用いるべきであり、詳細な解析には向かない。
 
図26 公開グリッドデータ挿入前
 
図27 公開グリッドデータ挿入結果


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