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 図2.2.2.4は、7分間の観測生データを用い、平均化プログラムにより船や干渉のノイズを取り除いて平均化されたクロススペクトルである。3つのアンテナエレメントで構成されるループ1(A1)、ループ2(A2)、モノポール(A3)の信号強度(縦軸)を20dB離して赤、緑、青の3色でプロットしている。グラフの横軸の中央に対応する値がDCと称され、この位置の信号は動かない目標からの反射と、反射ではなくシステムに直接入ってくる信号である。このDCの両側に対称に出る強いピークが、レーダー波の1/2波長の海面波エコーによるブラッグ散乱を示す。横軸(ドップラ周波数)上下目盛り近傍の、マゼンタ色の短線マークは海流がないときのブラッグピーク位置を示し、42MHzでのドップラ周波数は0.66Hzである。右側のピークはレーダーに向かってくる波からのもので、正のドップラー効果による周波数のずれに対応する。左側は離れていく波で、負のドップラー効果に対応している。実際のピークが、海流がないときのブラッグピーク位置から左右へずれた場合は、海面上に海流があることを表している。また、図の中のドップラ周波数-0.6Hz近くのダークグレーの縦線がスキャンラインである。グラフ上のNoise欄以外の数値はすべてスキャンライン上での値を示している。したがって、モノポール(A3)のピークは98.50dBm、S/N比が25.13dBmの値である。スキャンライン上での各アンテナエレメントの位相差δPhaseはδ12=-39.75、δ13=116.88及びδ23=152.09度となる。スキャンラインは-0.6172Hzのところにあり、そこの海流のラジアル速度は16.710cm/secである。Noise欄の数値は、スペクトル2次領域の先の部分である外側部でのデータ平均値を示し、この例では、アンテナエレメントA1、A2、A3に対してそれぞれ-135.41、-126.32、-123.63である。視線方向は、アンテナエレメントの信号強度の比により求められる。
 
図2.2.2.4 平均化されたCSSクロススペクトル
 
図2.2.2.5 CSSデータ画面表示
(上段よりループ1(A1)、ループ2(A2)、モノポール(A3)の順に信号強度を色階調で表示。縦軸は距離レンジ番号、横軸はドップラ周波数)
 
図2.2.2.6 CSSデータの3D表示
(縦軸は信号強度、横軸はドップラ周波数、奥行きはレンジ番号)
 
図2.2.2.7 強流域が混在するCSSクロススペクトル
(図2.2.2.7は一つの距離レンジに弱流域と強流域が混在するため、幅広い反射信号の記録になっている)


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