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2 インターネットの有効活用
(1)「口コミ」は、募集活動にとって最も有効な武器
 連日マスコミを通じて報道される悲惨な少年事件の数々、子どもたちは、今大変な時代に直面しています。
 文部科学省の審議会等で、従来から[子どもの育成には、学校・地域・家庭の連携が必要]と提言がなされながら、なかなか浸透しない状況にありました。しかし、歯止めのきかない危機的状況にあって、PTAを中心に連携の輪が広がり始め、PTAの活動は、「子ども・地域の危機管理対策を実施することを柱に位置付けた活動」へと変わりつつあります。
 長期にわたって、子どもたちの社会教育活動を実施してきた経験と実績のある海洋少年団も、PTAをはじめ学校、家庭、地域と連携しながら、子どもの安全を守る地域活動に積極的に参加することが必要と考えます。この真撃な活動こそが、結果として、海洋少年団が社会や地域に認知され、正しく理解されることで、高い評価を勝ち取ることができ、その評価が「口コミ」で広がります。
 「口コミ」効果とは、あるきっかけでとても感動したり、感激したりすることがあって、その感動に共鳴する人が次から次へと広がり、あっという間に大勢の人に知れ渡ることだといわれています。
 このような「口コミ」こそが、団員獲得に最も有効な方法なのです。
 海洋少年団は、評価を得るために無理したり、演出したり、何か特別なことをするのではなく、日常的な社会活動の実績を積み重ねていけば、とても素晴らしい団体だと周りが評価してくれるようになり、結果として、同じ価値観をもった父母や地域の人とめぐり合い、それを共有化することで、新しい仲間が増えることになるはずです。
 ただ黙々と活動しているだけでは、なかなか影響を及ぼすことはできません。なるべく沢山の人に伝わるように、注目してもらえるように工夫をしなければなりません。この工夫の仕方にもっと知恵を絞る必要があります。
 それには
ア もっと易しく率直に自分の言葉(肉声)で発言、表現する、子どもや親が期待し、理解できる言葉で語ることがとても大切です。
イ もっと沢山の人に知ってもらうために、「口コミ」を誘発する強力な武器として、日常的に使っているパソコン、携帯電話やデジタルカメラなどを有効に活用しましょう。
(2)インターネット広報の勧め
 「口コミ」を広げるための最大の近道は、同じ価値観(心身ともに健全な子どもに育ってほしいとか、友達と仲良くできる子どもであってほしい等)をもち、海洋少年団の「ちかい」と「やくそく」に賛同する人と出会い、その中からキーパーソン(共通の価値観を持った人たちに対して、大きな影響力を持っている人)と繋がりを付けることです。様々なかたちで、影響力のある人をもっともっと発見し、募集活動に協力してもらえるようにすることです。
 そのために、一番効率的で確実な方法は、インターネットを活用して情報を発信し、より多くの人と交流を図るというインターネット広報を実施することです。
 そこで、インターネット広報を推進するためには、次の作業が必要となります。
ア 先ずインターネット広報係を見つけよう
 この頃は、若いお父さんやお母さんだけでなく、インターネットを活用している人が急速に増加しています。インターネットを活用して広報することの重要性を説明し、海洋少年団の広報活動を担当できる者を見つけます。できれば一人ではなく、二人から三人位の広報担当を決めると良いでしょう。
イ メーリングリスト(会員データ)を作成しよう。
 先ず、インターネット広報担当の人に、団員のメーリングリスト、すなわち団長以下の全団員の氏名、電話番号、Eメールアドレス、メモ(学校名、学年など)を整理し、グループ(例えば、○○海洋少年団)登録します。
ウ 継続して発信できるように、役割分担して協力体制を作りましょう。
 「口コミ」を誘発するには、日常的な積み重ねが何よりも大切です。あまり無理をしないぺースで発信できるよう、交代制で役割を分担します。週一回か、月二回程度、海洋少年団の活動スケジュールに合わせて発信してください。
 しかしながら、今までのインターネットを使った広報は、専門的な知識や技術が必要なため、誰でも自由に発信することができませんでした。ところが、最近は、専門的な知識や技術が無くても手軽に簡単にホームページが作成できる『ブログ(BLOG)』という新しいタイプのホームページが普及してきました。
(3)ブログの作成
 今まで、時間と手間がかかり、作るのに難しかったホームページが、「ブログ」なら、初めての人でも簡単に作成することができるようになりました。
 「ブログ」とは、ホームページを意味する「ウェブ(WEB)」と、記録を意味する「ログ(LOG)」を組み合わせた造語「ウェブログ(WEB LOG)」の略称です。もともとは、日記風のホームページから始まったといわれ、日記形式でホームページを簡単に作成できる仕組みのことです。
 
〈ホームページとブログの比較〉
ホームページ ブログ
運営 HTMLという専門知識とホームページの作成ソフトが必要。 専門知識が無くても簡単に作成可能。
更新 かなりの時間と手間が必要。 携帯電話からでも簡単に更新可能。
アクセス フアンを作るのに時間がかかり、更新しないとアクセスされない。 「トラックバック」という機能で、連携が比較的簡単。
検索エンジンにも表示される。
交流 情報発信が主なので、相手の反応が見えにくい。 「コメント」機能で意見交換ができ、「トラックバック」機能でユーザー同志の交流が生まれる。
 
〈ブログの特徴〉
ア 作成が簡単
 ブログを作成する人を「ブロガー」といいます。
 最近ブロガーが急激に増えているのは、特別な専門知識が無くても、誰でも比較的簡単に作成できる簡便さにあります。今までの個人のホームページに比べ、検索エンジンに表示され易く、読者や仲間が集り易いため、その結果やる気が出て、長続きし易いようです。
イ 何処からでも手軽に更新可能
 インターネットに接続できる環境とパソコンがあれば、知り合いのパソコンやインターネットカフェ、あるいは携帯電話からでも手軽に更新できます。このように、携帯電話から更新できる便利さを最大限に活用しましょう。
ウ 様々な人と気軽にコミュニケーションが可能
 ブログの記事を通して、様々な人とコミュニケーションを図ることができる「コメント」機能があります。投稿された記事に感想や意見などのコメントをつけることで、意見交換や情報交換の場ができていきます。
 子どもの教育、子育ての不安や悩みなど、同じ環境の人との交流の場が広がります。海洋少年団の日常活動、子どもや地域のことなどを気軽に投稿し、書き込みがあれば、丁寧に返事を書くことで、仲間の輪が広がっていきます。
エ 関連した記事同士をつなぎ関連付けることが可能
 ブログ独自の機能として、自分ブログで書いた記事を、相手のブログに通知する「トラックバック」機能があります。他のブログで、自分のブログに書いたものと関連するテーマの記事を見つけたときや、自分のブログ内に、他のブログの記事を引用したときなどに使います。その結果、より多くの人に情報を伝えることができます。
オ 記事の整理や管理が簡単
 投稿した記事は、テーマ別、期間別(日別、週別、月別)のぺージへ自動的に分類されます。読む人は、興味のあるカテゴリーの記事だけ読んだり、1週間分まとめて読むことができます。
(4)ブログサービスの受け方
 先ず、無料の「ブログサービス」から始めよう。
 ブログサービスには、次のもの等があります。
FC2ブログ http://blog.fc2.com/
gooブログ http://blog.goo.ne.jp/
Seesaaブログ http://blog.seesaa.jp/
はてなダイアリー http://d.hatena.ne.jp/
ヤプログ http://www.yaplog.jp/
 ブログの開始手順は
(1)ブログサービスに加入する
 メールアドレスや個人情報を入力するだけで無料にて加入できます。
(2)IDとパスワードを決める
 自分のブログ作成画面にログインするために必要なIDとパスワードを決めます。
(3)ログインして制作する
 ログインすると管理画面が表示されますので、記事の作成や更新を行います。
(4)デザインとタイトルを決める
 デザインは、見本(テンプレート)の中から選ぶだけで簡単です。
(5)記事を作成して保存する
 投稿用の記事を作成したり、写真を取り込んで保存します。
(6)完成・インターネット上に公開される
 保存した記事がインターネット上に公開され、管理画面に戻ると、記事の修正や削除も簡単に出来ます。
(5)ブログのテーマとタイトル
 ブログの作成に当たっては、団員募集目的のブログですから、海洋少年団活動の日常、現実に直面して思うこと、子どものことなど、自分や子どもや仲間と団活動をベースにしたブログにすべきです。
 タイトルについては、出来る限り検索に引っかかるように、記事のテーマに関連したタイトルにします。○○海洋少年団という地域名のついたタイトルでは、検索されるときに広がりが小さいので、海洋少年団の「ちかい」と「やくそく」、活動の目的や狙い、具体的な活動などから連想される言葉を入れたタ海をきれいにブログ」「シーカヤックで遊ぼう日記」「元気な海っ子ブログ」など、・・・○○海洋少年団という名称は、サブタイトルにして、ホームページとの関連を図ります。
(事例1)「元気な海っ子ブログ」
 私たちは、海のような広い心で団結し、すべての人たちと友達になりたいと思っています。そのために海で体を鍛え、心を養い、立派な海の子になりたいと活動しています。そんな海っ子たちの日常すなわち団活動を日記風に連載していきます。
(事例2)「みんなで子育て日記」
 小学校の男の子の母親です。この頃の子どもが可哀想です。残酷な事件が次々と起こり、行き場のない怒りを感じています。地域住民がみんなで協力し合わなければ、子どもたちを守っていけない時代になってしまいました。○○海洋少年団という団体で、一緒に活動している仲間たちのことや、子どもたちの成長について、つれづれなるままに投稿していきたいと思います。
 上記事例のように、海洋少年団の日常をテーマに、何人かで継続して投稿できる内容にします。ただし、あまり自分や家族のプライバシーにかかわる話題には、細心の注意を払う必要があります。自宅周辺の写真や自分、家族、親類、友人の子どもの情報などを公開し過ぎると、犯罪に巻き込まれる可能性がある時代ですから、情報の出し過ぎには注意しましょう。
(6)ブログとホームページのリンク
 ブログを海洋少年団のホームページとリンクさせることで、ホームページのアクセスを飛躍的に伸ばすことが出来ます。ホームページを既に運用している海洋少年団は、ホームページの更新がなかなか出来ない状況にあるならば、これからはブログの更新を積極的に進め、ホームページは基本情報中心の更新に徹し、連動させることで役割分担をすべきでしょう。
 未だホームページを運用していない海洋少年団は、ブログそのものをホームページとして活用していくことが出来ます。ホームページと比べてブログは、簡単で、迅速に対応できますので、機動力のあるホームページとして、募集活動に威力を発揮することが出来ます。
 海洋少年団は、その活動をブログで日記風に投稿していくことで、記事のキーワードが検索エンジンに検索され、(1)子どもの父母との交流が促進される(2)地域の社会教育活動との連携で、団の存在意義をアピールできる(3)団員相互間の連絡体制が強化され、風通しの良い組織を形成する、のに役に立ちます。
 これらの様々なネットワークを相互にリンクすることで、海洋少年団の評判が形成され、結果として、入団者が増加していく活動を展開していくべきだと考えます。自分たちの考えを絶え間無く発信することで共感者が集まり、良い評判が「口コミ」として広がり、さらに、マスコミによる紹介(パブリシティー)があれば一挙にその評価が高まります。
 このような評価の連鎖状況を創造するために、インターネットを積極的に活用しましょう。地道な日常の社会教育活動の成果から生まれる良い評判「口コミ」こそが、新しい団員を獲得する最大の鍵と思います。


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