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3 自治体広報誌への募集記事掲載
(1)自治体広報誌の掲載条件の把握
 「市政だより」や「市報」など自治体の施策を広報するための刊行物は、市民が最も信頼を寄せるものです。団体活動をする人たちは、これらの広報誌に、団員募集の記事を掲載することが出来るなら、そうしたいと望んでいるはずです。しかし、一部の例を除き、海洋少年団だけではなく、任意に活動している市民団体の記事が載ることは当たり前ではなく、団員募集記事の掲載には、条件が伴うようです。掲載できる場合でも、細かい規定や制限のある自治体がありますので、あらかじめ調べて対応をしなければなりません。
 その中にあって、沼津・福岡・門司等の海洋少年団は、「広報ぬまず」「福岡市市政だより」「市政だより きたきゅうしゅう」等に団員募集記事が定期的に掲載されているが、このことは、永年にわたる団活動の実績が評価された結果の現れだと思われます。
 今日の時代は、もはや自治体が青少年の健全育成を推進する直接の主体ではなくなりました。これからは、海洋少年団のような自主的な青少年団体が行う活動と、自治体がどのように協働していくかが問われるようになります。着実な実績をあげている海洋少年団活動に対しては、自治体も門戸を閉ざすことなく、団活動の広報を支援していく可能性が大きいはずです。
(2)情報誌・後援名義・イベント参加等
 自治体によっては、社会教育課若しくは生涯学習課で発行する情報誌に団体活動の様子を紹介することがあります。発行が毎月か隔月かにもよりますが、課の担当者は、掲載可能な良い情報を求めていますから、団体の方から原稿の掲載を打診したり、依頼したりすることも大切です。
 50有余年という長い歴史のある海洋少年団は、立派な社会教育団体ですから、こういう団体活動を支援する立場にある課と、折に触れて接触していれば、編集の状況も分りますので、上手に活用することを勧めます。ただ、情報誌には、団員募集という内容では掲載できない場合もありますので、担当者からあらかじめ説明を聞いて、その編集方針を理解したうえで対応する必要があります。
 団員募集に直接つながらなくても、団体活動のPRを有効に行う方法があります。それは、団体がイベント等を開催するときに、市教育委員会の後援を申請することです。どの自治体も、市や市教育委員会の名義の使用を許可して、そのイベント等を支援する仕組みがありますので、関係者に相談して、その仕組みを上手に使えば、市民の信頼を得て集客力が増すことになります。
 今、どの自治体も、活力ある街づくりを目指して、様々な施策を進めています。市が主催し、大きな関わりをもつイベントも、そのような狙いで行われますので、そうしたイベントに海洋少年団も参加して、一つのブースを持ち、海洋活動という他の団体にはできない企画を前面に出して、パフォーマンスをすれば、人々の注目を浴びることでしょう。遠回りのようですが、このようなデモンストレーションも、団員募集につながるPRの一つの方法です。
 また、団体が提案する体験活動を、社会教育課(生涯学習課)と一緒に開催する自治体もあります。海洋少年団ならではの体験活動を、社会教育課と一緒に展開できたら、地域の青少年にとって自然に触れる体験の場が豊かなものになることでしょう。
 さらに、今日では、社会教育課などで「人材登録」制度を設けているところもあります。これは、団体活動で培った知識や技術、豊富な経験を持った人が地域社会のために役立つように、人材とそれを必要とする人々をつなげる仕組みです。このような制度を利用して、PTAの行事などの場で、広く海洋少年団活動の素晴らしさを伝えることも、子どもを持つ父母に対して効果的なPR活動になると思われます。
 いずれにしても、今までの枠にとらわれないで、絶えず団活動の見直しをして、時代に合わないものは新たなものに改革するなど、勇断を持って団活動を魅力あるものにしていくことが、新規団員の獲得につながることになります。
 
4 チラシ等の効果的な配布
 チラシを配布する目的は、入団対象者及びその家族等に海洋少年団活動に関する情報を提供し、その活動を知り、理解した上で参加してもらうことにあります。
 その場合に、日本連盟提供のチラシは、その内容が全国共通の基本的なものであり、地域特性、あるいは各海洋少年団の実状を反映したものではないので、各海洋少年団は、団独自のチラシを用意し、日本連盟のチラシと一緒に配布した方がより効果的です。
 なお、海洋少年団独自のチラシを作成する際には、団員募集の内容、期限、連絡先等を明示しておくことが重要です。
(1)新聞折り込みチラシによる地域家庭への配布
 新聞折り込みチラシは、一定地域に対する広範囲な、または不特定多数へのPR効果が期待できるものです。
 各海洋少年団が新聞折り込みチラシを行う場合には、新聞もしくはミニコミ紙と配布依頼交渉(費用、時期、配布地域等)が必要になりますが、新聞に限らずミニコミ紙なども含めて、海洋少年団(社会教育)活動に理解のあるところを除き、一般的には有料となるケースが多いようです。
 なお、新聞折り込みチラシには、チラシの作成費と配布費用にかなりの金額が必要となりますが、配布したチラシが他のチラシと一緒になることが多く、配布された家庭において、そのチラシに関心がない、あるいはそのチラシが目立たない等の理由で、そのまま破棄されてしまうことも念頭に置いておかなければなりません。
 新聞折り込みチラシの配布は、チラシの内容や配布時期によって、団員募集に有効な方法となりますが、地域によっては、その投入した費用の割に効果が小さいこともありますので、各海洋少年団にあっては、魅力あるチラシ作りとともに、配布時期のタイミングを考慮する必要があります。
(2)学校経由での配布
 団員募集という目的からすると、学校経由での配布に勝る方法はありません。なぜなら、対象の区域や年齢など、的を絞った配布が可能となるからです。
 学校経由での配布には、次の方法があります。
ア 一番良い方法は、所在地域の各学校を直接訪問して、校長・教頭または担任の先生に団員募集の主旨を説明し、先生に配布を依頼する方法です。
 なお、学校を経由しての配布は、その効果が絶大ではありますが、その地域若しくは学校の状況によっては、依頼及び配布の条件が異なることもありえますので、現に実施されている『千葉市連盟』の事例を参考のため後記します。
イ 上記アの方法が難しい場合には、事前に学校当局から「登下校の時間帯に校門で配布すること」の許可を得たうえで、配布する方法もあります。
ウ PTAの役員を経由して、学校に依頼することも検討に値する方法です。
エ 団員の所属する学校長宛てに、「団員の氏名・学年」を明記して、海洋少年団の活動状況を知らせ、あわせて団員募集の協力方依頼する手紙を書くのも良い手段です。
 
千葉市連盟の事例
(1)特定の小学校にチラシを配布させてもらったところ、その効果があり、保護者からの問い合わせも増えたので、これを市内の全小学校に拡大できないかとの検討をした。
(2)千葉市内には、約120校の小学校があり、全ての学校を訪問することは不可能であったので、教育委員会の窓口である社会教育課に相談し、お願いした。
(3)社会教育課では、この種の学校への依頼は担当外であると、学校教育部学事課を紹介されたが、学事課も各学校内部の問題であり、権限は各学校長にあるとして、小学校長会を紹介される。
(4)小学校長会と何度も話し合いを重ねた結果、いくつかの問題点が確認された。
・海洋少年団が文部科学省と国土交通省の認可団体であるので、協力はするが、配布する手間が教員の負担になること。
・配布対象者は、希望者だけというわけにはいかず、学校としては、全児童が平等でなければならないこと。(市内の児童数は、約5万人である。)
・校長会としては、協力するが、各学校長に強制することは出来ないし、職員に対しても同様であること。
(5)上記校長会との問題点については、次のとおり対応することとした。
・全児童を対象に募集チラシを用意すること。
・市内全小学校に配布すること。校長会の同意のもと、教育委員会にお願いして、教育委員会に設置してある各学校宛ポストの使用許可を得、同ポストに投入する。
・児童への配布については、学校長の判断に委ねること。仮にチラシが配布されない場合でも、当方から苦情は言わないこと。
(6)以上の交渉に2年の時間が経過したが、市内全小学校を対象にチラシの配布が可能となった。
(7)初めのうちは、教育委員会の学校専用ポストに投函し、それを各学校が回収してくれる方法を取っていたが、部数が多く回収者の負担になるとのことから、近年は各学校へ持ち込み、または宅配にて配布を行っている。なお、宅配の場合は、事前に教頭先生に電話で連絡し、配布のお願いをすることにしている。
(8)毎回小学生団員に、学校からチラシが配布されているか確認しているが、年々配布される割合が増えているようですので、時間をかけ地道な努力が必要です。
(9)毎年配布する5万部の印刷、各学校に児童数に合わせた仕分け、配送、電話連絡等費用的な面はもとより、指導者の時間や労力負担が大変ですが、保護者側の受ける印象が、学校からの印刷物という訴求力の強さと実績を考慮すると、これからも続けていく意味は非常に大きいと確信する。
(10)近年チラシの内容の中に、「体験は無料である」こと、及び「入団する場合の年間経費」を明記するようにした。その理由は、他の団体において同様なチラシ等で声をかけ、見学・体験に参加したときに、その経費が必要となった事例があり、保護者はそのことを心配し参加を躊躇するとの指摘があったからです。


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