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海洋教室を終えて
呉―竹原地区小型船安全協会会長 庭田 雄二
はじめに
当地区は平成17年度日本財団助成事業として「海洋教室」を実施しました。
「海洋教室」の実施には周到な準備と多くの方々のご支援を必要としますが、将来を担う小中学生に「海」を体験してもらうことは有意義であり、小安協活動を一般市民に知ってもらう上からも重要な事業と考えています。他の地区で同様な行事を開催される場合の参考になれば幸いです。
前回の反省
当地区は平成11年に「海洋教室」を実施しました。その時は「国立江田島青年の家」で“親子海洋教室”と題し、(1)親子でのカッター体験、(2)刺し網漁の体験、(3)海洋汚染防止の実習として家庭の廃てんぷら油を利用しての「石鹸づくり体験」、と盛りだくさんのカリキュラムを用意して1日で実施しました。
やってみますとそれなりの効果はありましたが、地区小安協の指導員の方々は勿論、呉海上保安部長さんをはじめ警救課長さん係員の皆様も総動員して大変な手間と労力を要しました。それと子供達の集合と移動に時間と費用がかかり、いささか草臥れた次第でした。
次回、当地区で実施するときは、費用と労力が少なくて効果のあることを考える必要があると色々と腹案を練っていた矢先、(社)小安協事務局から声を掛けてもらったので、早速お引き受けした次第です。
地元の施設・組織の利用
さて、今回「海洋教室」を実施するに当って先ず考えたことは、前回の反省に基づき全て地元の地域にある施設、組織を有効に活用することでした。
先ず施設ですが、幸い呉地区には海上保安大学校と言う日本で一つしかない海に関連した立派な施設があります。そこにはカッター、ヨットを始めあらゆる舟艇があります。又一昨年それらを収容する立派な艇庫とその二階に冷暖房完備の広い研修室も完成したばかりですし、さらに良い事には学校ですので学生さんには夏休みがあります。その休みに入ってすぐ行事を計画して、その学生さんのお手をお借りすることはできないものかと考えました。
早速、校長さんにお願いしましたら、“地域社会に貢献できることだし、休日とかで大学として設備を使用していないときなら自由に使って下さい、大学としても応援しますから”との暖かいお返事をいただきました。
次に組織に関してですが、平成14年4月から学校教育に導入された新「学習指導要領」(約10年経るごとに見直される)で初めて「水辺活動」と言う言葉が導入されました。それは長らく続いた所謂「詰込み教育」の反省から、「ゆとりある教育」への転換の一環として“自然の中での遊びなどの体験が不足している現状から、戸外での身体活動を積極的に取り入れていく”狙いから提案されたもので、「体育、保健体育」の分野における「水辺活動」の具体的活動の内容として「ヨット」、「カヌー」、「シュノーケリング」などが提唱されました。
平成14年から学校週5日制度が始まり、呉市体育協会所属の呉ヨット連盟ではこの学校教育における「水辺活動」の推進の流れに乗って、「“海とヨット”の子供クラブ」と言う組織を立ち上げて活動を始めていました。
この活動は毎年5〜6月頃から10月頃まで月1回、呉市周辺の小学校5、6年生から中学生約20名程度を募集してヨット教室(OPディンギーの指導)、カッター漕ぎやロープワークの指導などをしながら、子供達に海を通しての自然体験をさせて来ました。
ただ、これは全くのボランティア活動でして呉市教育委員会後援とはなっていても予算は一文も頂いていません。従ってその継続的運営には大変な苦労があったようです。たまさか、当地区小安協の海上安全指導員の藤井 健氏が呉ヨット連盟の理事長でもあった事から、今回の「海洋教室」はこの「“海とヨット”の子供クラブ」の組織を利用して実施すればお互いに効果のある事業が達成できると考えました。
藤井 呉ヨット連盟理事長のご職業は国立呉工業高等専門学校の建築学科の教授ですが、学校では体育サークルのサッカー部の部長をなさったり、ヨット競技ではJSAF(日本セーリング連盟)のA級審判員として国体のヨット競技の審判部長をされたり、且つ日本体育協会のA級スポーツ指導員の資格もお持ちで青少年の指導には打ってつけの方なので、早速計画の立案に参画していただくことになりました。
正に、こう言った青少年の指導のベテラン、且つ熱心な方がおられたからこそ、今回の「海洋教室」が成功裏に終了できたと思っています。
内容の検討
早速今回の「海洋教室」をどのような内容で実施するかについて関係者で検討しました。
海上保安大学校にも相談しましたら、カッター訓練、ヨット教室、ロープワーク実習などは当然OKが出ましたし、更に新しい施設として4月から運用が始まったばかりの巡視船をモデルにした操船シュミレーションの見学実習もどうかと提案がありました。
又、呉海上保安部では呉所属の巡視船「みささ」には常時潜水士が乗り組んでいるので、小学生は無理としても中学生ぐらいなら海保大の潜水用のプールを使用してシュノーケルによる潜水体験をさせてはどうか?丁度昨年「海猿」の映画が好評で子供達にも興味があるようなので・・・などなど、色々面白そうな発想からの提案がありましたが、海保大の訓練の日程や保安部の業務スケジュールとの摺り合わせが難しく実現しませんでした。
ただ、呉市蒲刈町「県民の森」のB&G財団の施設を利用してシーカヤックの体験訓練は今までに無いカリキュラムなので実施することにしました。
海洋教室の実施
以上のような経緯があって、今回は1日で終える単発の教室でなく7月から10月の期間に海を舞台に4回の野外行事を行う形を採ることとし、次の日程・内容で実施しました。
名称:平成17年度日本財団助成事業「海洋教室」
主催:呉―竹原地区小型船安全協会
協力:呉ヨット連盟・JSAF外洋西内海支部呉フリート
後援:呉海上保安部、呉市教育委員会、海上保安大学校
参加者の募集は呉市の広報誌である「市政だより<くれ>」に募集記事を掲載して行った結果、小学5年生から中学3年生の男女25名の申込がありました。
「海洋教室」実施に際し、人数は毎回異なりましたが、次の所属団体からそれぞれ、延べ6名から70名程度のご支援をいただきました。
○小安協の海上安全指導員、○呉海上保安部の担当係官、○呉ヨット連盟役員、○海上保安大学校のヨット部メンバー、○呉宮原高校、市立呉高校のヨット部のメンバー及びOB、OG、○JSAF外洋西内海支部呉フリートのメンバー。
□ 第1回 7月18日 海の日
呉市かるが浜で、親睦を兼ねたバーベキューと2台のイカダ作りを行いました。イカダは太い竹と廃棄されたオイルフェンスの浮力体を使って、ノコギリとロープだけで作り、イカダに乗り組む前は呉海上保安部の方から救命具の効果と着用方法のお話を聴き、2台でかるが浜の南から北まで乗ったり、泳いだりして楽しみました。最後にイカダ材料を全てトラックに積み込み、付近の海岸を清掃して終了しました。
□ 第2回 8月28日(日)
海上保安大学校を会場として、小型ヨットの乗船体験を行いました。呉ヨット連盟所属の海上保安大学校ヨット部、市立呉高校及び呉宮原高校ヨット部からディンギーヨットとヨット部学生のセーリング指導員を出していただき、海上保安大学校沖を3時間にわたって3〜5メートルの順風の中でセーリングを楽しみました。子供達もティラーを握ってヨットを操縦し、ヨットは自然の風エネルギーだけで帆走できること、風向に関係なくどの方向にも帆走できること、全く空気も海も汚さないことを身をもって体験しました。
□ 第3回 9月11日(日)
蒲刈町の「県民の浜」のB & G施設を使って、シーカヤックのローイング体験をしました。「県民の浜」への交通アクセスは決して良くありませんが、予算から貸切バスを借上げて頂き、往復することができたため実現した行事でした。
初めはこわごわとパドルを動かしていましたが、直ぐに慣れて指導員の後を一直線になってローイングしたり、海上で横一列になって互いのパドルを掛渡して小休止したり、2時間の予定であったが時間がまだまだ欲しい感じの貴重な海洋体験でした。
□ 第4回 10月2日(日)
30〜40ftの4艇の大型ヨットの合計定員が十分でしたので、希望の保護者も一緒に乗艇してクルージング体験をしました。乗り込むと直ぐに全員救命具を着用して、オーナーからギャレー、バース、トイレなど大型ヨット各部の説明を受けました。最初はエンジンで機走し、やがてセーリングで呉湾を帆走しましたが、特に船酔いをした子供もなく楽しい半日を過ごすことができました。
今回の参加者全員に事務局で作成されたCD(68ページ148枚の写真アルバム)を贈り、4回の「海洋教室」参加者に「海洋教室終了証」を手渡しました。
終わりに
以上、実施した行事の概略を述べましたが、短期間の行事ですので目だった成果は期待できませんが、多少でも効果が期待できると思われることを少し述べてこの稿を終わりたいと思います。
最近の子供達は、何時も誰かがしてくれるものと考えている風潮があるように見受けられます。最初のイカダ作りの実習で太い竹材を鋸で切断するにも鋸の使い方も分からない子も沢山いました。ロープの結わえ方などでも直ぐに解けるようなやり方では物の用に立ちません。指導員の指示に従って子供達同士の共同作業で何とかイカダらしきものになりましたが、沖に出すと忽ちばらばらになりました。
それでも子供達は結構楽しかったようで中々沖から帰ってきませんでした。遊びの中から色々と学ぶことも多いようです。
ヨット(ディンギー)の実習では、始めは指導員が同乗して手ほどきをしますが、すぐに子供達だけでやらせます。中々前に走らずに苦労している子もいれば、器用な子はすぐにコツを覚えて走らせていました。自然相手のものは理屈ではなく体で覚えることが分かったらしめたものです。
「海」は自然そのものです。そこに出て行くには予測し得ない自然条件に出合うことも覚悟しなければなりません。それには可能な限り自然条件に対する知識を持つことが大切なことは勿論ですが、常にライフジャケットの確実な着用などの習慣を忘れてはなりません。それもこれも自分の身は自分の責任で守る考えが大切です。
他人に依存することなく、安全は自分自身で守るのだということを忘れないように指導したつもりです。
瀬戸内海の汚れは以前に比べ良くなったとは言え夏場はまだまだです。ことに昨年は9月の2度の台風直後は小型船舶が航行できないほどの汚れでした。
最初のイカダ作り実習のところでも触れましたが、帰る前には付近の人工砂浜を来た時以上に意識的に清掃して終了しましたし、ヨットを陸揚げした後の斜路の清掃も習慣づけるように指導したつもりです。
以上、気の付くままに感想を述べてみました。子供達からも素直な感想文を寄せてきていますが、紙面の都合で割愛させていただきます。
終わりに、このような試みは中々すぐに効果が現れるものとは思いませんが、当協会といたしましては、地域関係行政機関、諸団体と連携し、青少年に向けた海洋におけるマナー教育にも積極的、且つ継続的に実施して行きたいと考えています。
今後とも末永いご支援のほどよろしくお願いします。
GPS携帯電話の2007年問題
総務省情報通信審議会緊急通報機能等高度化委員会答申(2004年6月30日)によると、2007年4月1日から新規に提供される携帯電話(第三世代携帯電話と呼ばれています)は、原則としてGPS測位方式により位置情報通報通知機能を持つこととされました。
これは118番や110番により、緊急通報を受けて現場に駆けつけるまでの時間(レスポンス・タイム)が、携帯電話の普及とともに長くなって来たという不都合が生じてきたため、GPSその他の方法により位置情報を通知出来ることが必要と判断されるに至ったことによります。
現在、海上から救助要請等を行う場合、ボートが自分の位置を正確に伝えることが難しい状況にありますが、導入後は118番緊急通報受理機関に緊急通報を行うと同時に位置情報が伝達されることになり、早期救助に貢献できるものと期待されています。
GPS携帯電話の普及率目標は、2年後の2009年4月で50%、4年後の2011年4月に90%とされています。
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