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透析医療資機材輪送懇談会 1月14日
透析医療資機材輸送懇談会
1. 開催日時
平成18年1月14日(土)
午後12時30分〜15時
2. 開催場所
神戸大学海事科学部 総合学術交流棟5階 会議室
3. 出席者:
20名
4. 議事:
「透析医療資機材輸送」について
 大規模災害発生により、透析施設が被災し医療材料や医薬品が不足する事態になった場合、あるいは支援施設で緊急に医療材料や医薬品が必要になる事態になった場合の、医薬品メーカー、医療材料メーカー、および医薬品卸等の企業と医療機関の連携及び海上輸送を含む物品輸送の問題点について検討した。
5. 内容:
1)開会挨拶及び主催者挨拶(井上)
2)各参加者自己紹介
3)プレゼンテーション
 
■プレゼン1 神戸大学 井上:
日本透析医会のこれまでの活動経緯
■プレゼン2 日本透析医会 武田:
日本透析医会情報ネットワークシステムについて
■プレゼン3 日本透析医会  山川:
輸送に関する問題について
■日本透析医会 山川:
 メーカーでは、どのようなコンセプトで災害時の対応をするのか。過去の災害時のメーカーの体験について情報を共有する事で災害時の搬送を考えていきたい。
■扶桑薬品工業(株):
●災害時ネットワークの情報を活用し、新潟では医療資機材、透析液を運ぶことが出来た。
●課題は通信手段の確保である。携帯や固定電話が不通となった際の代替手段を模索中である。衛星通信等。
■日本透析医会 赤塚:
●災害の種類によって通じやすい通信手段は異なる為、多種類の手段についての確保が重要である。また、衛星通信等、単一の物に固執すると、携帯同様、アクセスポイントのパンクにより不通になる事態も生じ得る。
 
■プレゼン4 中外製薬(株):
医薬品の流通の仕組み〈下図〉
●地域の卸協同組合を中心に集める(通常備蓄は半月分)
 
■中外製薬(株):
●製造⇔卸業者⇔医者(発注)⇔患者の流れがある。
●東京から運ぶのではなく現地調達を行っている。
●県の指示により組合を通じて卸業者→集積所→医者へ
●緊急時の薬剤供給は卸業者が表に出て行う。
●透析資機材に関しては、医薬品のネットワークに組み込まれておらず、構築する必要有り。
●日本透析医会のメーリングリストに登録し、常時観察している。これは、医薬品業界の中では進んでいる方だ。
●緊急時に前面に出るのは薬品の卸業者であり、その後に製造業者が関わっている。
■日機装(株):
●新潟時、社員からの情報が一番役に立った。機械が壊れたと聞き、正式な要請が無くとも静岡から機材を搬送した。物流センターからの運搬ルートさえ生きていれば持って行って据付まで可能である。
●搬送は、通常委託している運送会社が行った。業務に慣れている為、ルートさえ通じていれば現地に届く。
●大きなネットワークに組み込まれると、ジャッジを待たないと出動出来なくなり、困る。フレキシビリティがあるから素早い対応が出来る。
■神戸大学 井上:
●阪神・淡路大震災の時、周囲の人が何でも持ってきて受け入れ側が困った事もある。何がどこに、どれだけ必要なのかが分かるネットワークは必要である。
■日本透析医会 山川:
●中央ではタイムラグがあり、地域の判断で現場が動ける必要がある。情報の整理の必要がある。
■キリンビール(株):
●新潟災害時、水をまずはじめに運び、その後栄養ドリンクや日用品を輸送した。
●社内対策としては、本社東京に首都直下型地震が起きた時、機能代替について検討中である。集積センターヘ物品をどう配送するか等。
 
4)フリーディスカッション
■日本透析医会 山川:
●卸業者とメーカーの関係、災害に対する準備状況等についてお聞きしたい。
■扶桑薬品工業(株):
●薬品梱包は27kgもある。重いので輸送作業を減らす為、普段は工場から直接病院に物品を運んでいる。卸業者へは注文のみ。
●北海道から九州に拠点があり、陸上輸送はトラックで、海上では時刻に正確なフェリーを利用している。
●物品を運ぶことは出来るが、使用できるのか。水・電気等のインフラも大事である。
■日本透析医会 赤塚:
●扶桑薬品工業(株)では、過去の災害時、収集した情報をコーディネートして輸送の指示がでた。しかし、透析医会のネットワークでは情報は入って来るのみ。薬剤、患者に対してのコーディネートの問題が課題となる。
■日本透析医会 山川:
●どういう情報提供・コーディネーションであればメーカーにとって有用なのか?中身の問題や、地方での判断が必要と思うか?
■中外製薬(株):
●情報は県等からではなく自社の現地社員から来ていた。その情報により社内から指示が出された。
■神戸大学 井上:
●企業内での自己完結の仕組みは出来ている。しかし、大規模災害時にはもっと大きな仕組みが必要なのでは。
●また、海路の利用も念頭においておかなければならない。
■日本透析医会 山川:
●新潟の豪雪時、福岡地震時では、社内のネットワークが生きており、活用出来たようだが、阪神・淡路大震災時には、社員が被災し連携が出来なかった。この様な状況下で社内のネットワークがどれ程機能したのかが、問題となる。
■キリンビール(株):
●情報さえ収集できれば、決定はすぐに出来る。
■災害医療連絡協議会 押田:
●いざ輸送する時、事前準備については出来ているか?
●トラックは何tまで使用可能か。
●輸血情報の収集
●警察の先導は依頼できる状況か?
●電話の優先権など
■日本透析医会 山川:
●災害時の対応は、地域によって異なる。行政対応のバラツキは問題である。
■神戸大学 井上:
●警察も、連携を取りたいという動きはある。緊急時では協力が不可欠な対象である。
■神戸大学 矢野:
●船舶の出港の際、どこに何を集めてどこに運ぶのか、指示がないと船は動けない。
●通信手段については、衛星パケット通信や、VHF電話があり、海上保安庁など船舶同士の通信も可能である。
■神戸大学 広野:
●機器を単一の手段に絞るのは危険である。社会で必要な物として堅固な通信インフラを要求していく必要がある。輸送手段も同様である。
■日本透析医会 赤塚:
●(写真紹介)新潟災害時、全国より様々な物品支援があったが、一方ではトイレが集まり過ぎ、他方では洗髪者の長蛇の列が出来る等、何をどこへという情報の重要性が認識された。
●次の段階として、集まってくる情報をどの様にコーディネートするかが課題となる。
 
5)総括コメント
■日本透析医会 山川:
●医者だけのネットワークのみでは未知の事項が多い。医者だけで活動して来たが、次は患者の為に何が出来るかについて、活動を広げていきたい。
●平時のネットワークが東京直下型地震下でどれ程機能できるのか、今後はその様な状況についても、メーカーとの立場を超えて話し合っていきたいと思っている。
■災害医療連絡協議会 押田:
●異業種間交流という横の連携が、今後は大事になってくる。
●ITは発達したが、実際どの程度活用できるかは不明である。新しく使える道具について、皆で話し合って新しいものを作り上げていきたい。
■神戸大学 井上:
●異業種が連携するシステムの中には、陸上だけでなく海上にもルートがある事を忘れないでおきたい。
●海上で出来た連携システムの雛型は陸上でも使えるはず。
●次の大災害に備え、さらに各界からの参加者をつのって活動していきたい。
 
■災害時の医薬品流通のしくみ
(中外製薬高野淳一氏提供)


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