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保健センター
保健センターは母子保健に関して様々な相談活動を行っています。
妊婦訪問・新生児訪問
健診・相談事業
4か月児健診、10か月児健診、1歳6か月児健診、2歳児育児教室、3歳児健診
検診時の問診及び診察後、要フオローと判断した児については、心理判定員との個別面接を必要に応じて行います。
その後のフォロー体制
家庭訪問、心理相談、療育グループ等
 
※保健所、保健センタ等の一覧を掲載する
保健所・保健センター名 所在地 電話番号









 
診断について
 近年、自閉症に関する研究や理解が進んでいくに伴って、知的障害の重い方が診断を受けることがほとんどであった以前と比べ、知的障害のない、さらには学業などが優秀な方々まで、幅広く診断を受けるようになって来ました。また、自閉症と診断を受けても、成長によって診断基準をはっきり満たしにくくなる方もおり、「広汎性発達障害」あるいは「自閉症スペクトラム」といった幅広いとらえかたもするようになって来ています。
 現在使われる診断基準は、主にDSM-IV(米国精神医学会の診断基準)、ICD-10(国際疾病分類)の2つが使われています。2つは、細かい点で違いはあるものの、大きな違いはありません。お互い、広汎性発達障害というカテゴリーの中に自閉性障害(自閉症)、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害(非定型自閉症など)といった診断名が含まれています。
 
(1)診断基準について
 まずは、広汎性発達障害の中で代表的な自閉性障害の診断基準について説明します。
 大きく3つの項目があり、(1)対人的相互反応における質的な障害(2)コミュケーションの質的な障害(3)行動、興味、および活動の限定された反復的で常同的な様式の、それぞれを満たす必要があります。(1)(2)(3)には、それぞれ(a)〜(d)と4つずつ項目がありますので、1つずつ見ていきましょう。
(1) (a)目と目で見つめあう、顔の表情、体の姿勢、身振りなど、対人的相互反応を調節する多彩な非言語的行動の使用の著明な障害(視線が合いにくい。あやしても笑うことが少ない。抱っこしても反り返る。バイバイやこっちおいでなどのジェスチャーが理解できず、できない。など)
(b)発達の水準に相応した仲間関係を作ることの失敗(一人遊びが好き。社会性が育ちにくい。友人を作る意欲や能力に難がある。など)
(c)楽しみ、興味、達成感を他人と分かち合うことを自発的に求めることの欠如(手がかからずおとなしい。抱かれようとしない。興味のあるものを見せる、持って来る、指差すことなどが生じにくい。など)
(d)対人的、または情緒的相互性の欠如(人見知りが見られない。母の後追いがなかった。呼びかけても振り向きにくい。イナイイナイバーをしても反応が返らない。よく迷子になる。うれしいことなど、他人と分かち合うことが難しい。など)
 
(2) (a)話し言葉の発達の遅れまたは完全な欠如(身振りや物まねのような代わりの意思伝達の仕方により補おうとする努力を伴わない。抽象的な表現が苦手。オウム返しが多い。など)「意いを伝える」という意識を持っていないように見える。
(b)十分言葉が有る者では、他人と会話を開始し継続する能力の著明な障害(自分の事だけしゃべって他人の話を聞かない。自分でもわかっている質問を繰り返しする。など)会話における相互性の欠如。
(c)常同的で反復的な言語の使用または独特な言語(いつも同じ言葉を繰り返すのが目立つ。文法や助詞の使い方の習得が困難、発音がおかしい。など)
(d)発達水準に相応した、変化に富んだ自発的なごっこ遊びや社会性を持った物まね遊びの欠如(形式的な遊びが多く、イメージに富んだ遊びが乏しい。)
 
(3) (a)常同的で限定された型の、1つまたはいくつかの興味だけに強度または対象において異常なほど、熱中すること(おもちゃの車を一列に並べ、横目や極端に近づいて見る。物をまわす。人とのやり取りより、文字やマークに興味を示す。など、特定のものにこだわる。)
(b)特定の、機能的でない習慣や儀式にかたくなにこだわるのが明らかである。(道順にこだわる。寝るときにお決まりのことをしないと寝ない。ものが同じ場所にないと怒る。など)
(c)常同的で反復的な衒奇的運動(例えば、手や指をばたばたさせたりねじ曲げる、または複雑な全身の動き。)
(d)物体の一部に持続的に熱中する(車のマークやタイヤばかり見る。換気扇や光の点滅をじっと見つめる。水道から流れる水を見続ける。など)
 
 この(1)から2つ以上、(2)、(3)から1つ以上選択され、(1)、(2)、(3)の少なくとも1つが三歳以前に始まっていれば、自閉性障害と診断するということになっています。
 また、アスペルガー障害に関しては、(1)から2つ以上、(3)から1つ以上で、言語あるいは認知的発達において臨床的に明らかな全般的な遅れがみられないこととなっています。
 そして、特定不能の広汎性発達障害は、(1)、(2)、(3)のいずれかを満たすが、自閉性障害やアスペルガー障害の基準を満たさない場合となっています。
 現在のところ、診断の幅は診断する医師によって多少の違いがあります。また、自閉性障害か特定不能の広汎性発達障害か、または、広汎性発達障害か広汎性発達障害に当てはまらないか、など、見方によってはどちらともとれるという場合もあります。ですから、微妙なところにいらっしゃる方は、診断名を使うことで有利に働くことがあれば、時と場合に応じて利用されるのも一つのやり方(例えば、診断名があることで、丁寧なかかわりをしてもらえる、補助や加配の先生をつけてもらえる、周囲の方々に理解してもらいやすくする、施設を利用できる。など)だと思います。
 
(2)これから大きくなっていくうえで
 広汎性発達障害の方々も、ひとつひとつ経験や理解を積み重ねていくことで、必ず成長していきます。ただし、一般のお子さん方と違って、例えば、1を知れば10を知るといった応用が効きにくい分、ひとつひとつ、より丁寧なかかわりが必要になってきます。そのためにも、それぞれのご家族のペースで、お子さんの年齢や発達段階に合わせて、広汎性発達障害の理解を進めることを続けていただきたいと思います。
 また、広汎性発達障害の方々も、人とのかかわりがないと寂しいし、人に認められるとうれしいといった気持ちが生まれます。しんどい時にはどうしてもマイナスの面ばかり見えてしまうこともあるかもしれませんが、いい面も見てあげる、何かができたらほめてあげる、そして、人との基本的信頼感や愛着を育ててあげる。そういったことで、人への不安や抵抗をやわらげ、家庭、療育の場、園、学校などで、やりとりや興味などの広がりが生じやすいように支援してあげることが大切です。
 
専門診断機関(精神科・児童精神科)一覧
名称 所在地 電話番号









 
療育機関について
 毎日通園を基本とした知的障害児通園施設や個別指導形態の教室そして病院のデイケア等、療育機関は多数あって、それぞれ形態や方針は様々です。たとえば、知的障害児通園施設について言えば、自閉症のお子さんだけに対象を限定していませんが、障害を持った子どもの育ちをトータルな視野で見て保育を行っており、全面的な発達を促し、食事・排泄・衣類の着脱など基本的な生活習慣の自立を図りながら、身体を使っての楽しい遊び、季節に即した行事に取り組んでいます。
 それぞれ、子どもに合うか合わないかは、一口には何とも言えません。又、良い評判を聞きつけて問合せをしても、待機児が多くてすぐに療育に入れず、その場所に固執するあまりに、乳幼児期の大切な時間を無駄にしてしまうこともあるかもしれません。
 将来、この時期に受けた療育が生きる力につながるよう、工夫と見直しを常に忘れずに療育に取り組んでいけるといいですね。
 
療育機関一覧表
名称 所在地 電話番号 療育内容











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