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吟剣詩舞
こんなこと知ってる?(7)
 昨年四月号から始まった新企画「吟剣詩舞こんなこと知ってる?」の七回目です。読者の皆さまと双方向で意見が交換できるコーナーとして設けております。
 吟剣詩舞の歴史、人物、身近な出来事など、読者の皆さまが驚くようなこと、是非、知らせたいことがありましたら財団事務局月刊誌係まで、ご寄稿をお願いいたします(形式は問いません。写真等も歓迎です)。
 今回は昨年十一月の東日本地区吟詠指導者特別研修会で、受講者の方からあったご質問について、本部事務局がお答えいたします。
 
“女性が吟詠する際の手の組み方は、左手を右手に重ねるようにしていますが、聞くところによると、デパートの女性の手の組み方は、これとは逆で、右手を上にして左手を隠していると聞きましたが、どちらが正しいのか、本当のところを知りたいです!”
 デパートの女性店員の方の手の組み方について高島屋東京店に確認しましたところ、男性店員も含めてお客さまを迎える際の立ち姿(立礼、お辞儀する場合も)では、右手を上にして、手を前で重ねているという回答がありました。
 また、立礼(お辞儀)について、女性のマナーに関する書物を何冊か開いてみましたが、立礼に際して、手を重ねるとする本も、手を重ねないとする本もありました。重ねるときも、左手が上の場合も、右手が上の場合もありました。重ねず左右の手を八の字に見えるようにして揃える場合も、左右の指をつけて揃えるようにする場合もありました。男性と同じように左右に開いて横につけてしまう場合もありますので、マナーの上ではこれといった決まりはないように思えました。
 しかし、女性が吟詠する際の立ち姿と手の組み方は、長年の経験から、見た目のよさ、発声の点からも、現在の形がとられるようになったと考えられます。
 東日本地区吟詠指導者特別研修会では、舩川利夫先生が回答された「吟剣詩舞道は、その成り立ちから武士道をよりどころとしてきましたので、右手(利き腕)を隠すことから、この形に定着した」が結論になったようです。
 
利き手は隠す
 あるお菓子屋さんの店員の接客時の注意事項に「利き手は隠してお客様に安心してもらう」というような説明があるそうです。例えば、接客の時に右手を隠すように左手を上からかぶせて組むようにします。理由は、私はあなたを殴ったりしませんよ、という意味だそうです。
 
女性が吟詠する際の手の組み方
 
右手は清浄な手
 インドでは古来、右手は清浄な手、左手は不浄な手とされてきました。合掌は、その両手を合わすことで、美しい心とみにくい心を一体にすることができるといわれています。数珠は不浄な手を清めるために左手に持つといいます。また、仏教では右手を仏さま、左手を自分とし、この二つがぴったり重ねられることで、仏と自分が合体し、祈る心、すなわち仏になると・・・。
 女性が吟詠する際に左手を上に重ねるという手の組み方は、仏さまにもたとえられる(神聖な)右手を、自分という左手で庇う、守ると考えてみてはどうでしょうか。
 

愛読者プレゼント
「武道館大会記念品」CDケースを五十名様に
 
 財団ではこのほど、「財団マーク入りCDケース(布製・黒)」を本誌愛読者五十名様にプレゼントいたします。
 このCDケースは昨年十一月に日本武道館で開催された第三十七回全国吟剣詩舞道大会の記念品として出演者に配布されたもので、市販はされていません。
 プレゼント希望者は、葉書に「CDケース希望」と記入し、郵便番号、住所、お名前、電話番号、月刊誌購読者番号をお書きになり、一月末日までに左記へ郵送してください。
 希望者多数の場合は抽選により決定、当選者発表はCDケース発送により替えさせていただきます。
〒105-0001
港区虎ノ門1-15-16 海洋船舶ビル
財団法人 日本吟剣詩舞振興会 プレゼント係り

 
今月の詩(5)
平成十七年度全国吟詠コンクール指定吟題から
【幼年・少年・青年の部】(絶句編)(5)
早に白帝城を発す  李白
 
【大意】朝早く白帝城を出発し、三峡の険を下って江陵に向かう舟旅をうたったもの。
 朝早く、朝焼け雲のたなびく白帝城に別れを告げて、千里の向こうの江陵まで、たった一日で進んでゆく。切り立つ両岸の猿の声が絶え間なく続くうち、軽い小舟は、いくえにも重なる山の間を通り抜けていた。
 
【一般一部・二部・三部】(絶句編)(5)
絶句  杜甫
 
【大意】この詩は、杜甫が四川省の成都の浣花渓にある草堂で生活していた時、去りゆく春を惜しみ、故郷に帰りたい思いを詠じたものである。
 錦江の水は深いみどり色に澄み、そこに遊ぶ水鳥はますます白く見える。山の木は緑に映え、花は燃え出さんばかりに真赤である。今年の春もみるみるうちに過ぎ去ってしまおうとしている。いったい、いつになったら故郷に帰れる時がやってくるのであろうか。
(解説など詳細は財団発行「吟剣詩舞道漢詩集」をご覧ください)


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