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第二回青年吟剣詩舞道大学
■平成十六年七月二十三日(金)〜二十五日(日)
■湘南国際村センター・国際会議場
八年ぶりの青年吟剣詩舞道大学。
湘南の地に花開く、若き才能たち
 長い歴史をもつ吟剣詩舞道大学。本年は、本栖研修所で開催されて以来、実に八年ぶりに開かれた、青年のための吟剣詩舞道大学でした。若さあふれる吟剣詩舞道家が湘南の地に集合し、溌刺とした課業が展開されました。
【七月二十三日】
 笹川良一創始会長の発案から始まり、今年で三十七年目を迎えた吟剣詩舞道大学。なかでも若人を対象とした大学は、八年前の本栖研修所以来、二回目となります。参加した受講生は十八歳から三十五歳までの総勢一二三名。溌刺とした雰囲気が、会場である湘南国際村センターへ向かうバスの中にもあふれていました。
 目的地に到着した一行は、さっそく国際会議場へと向かい、矢萩保三事務局長から大学の心得や注意事項が伝えられました。とくに二泊三日、二十六時間のカリキュラムを受けるにあたり、団体生活のルール、時間を守ることについては強く注意されていました。
 
「学長あいさつ」を述べる河田和良会長
 
 つづいて開講式では鈴木吟亮専務理事の開講のことば、国歌斉唱のあとに河田和良会長が挨拶に立ちました。受講生誓いのことばでは、六班々長の新藤正代さんが受講する喜び、真剣に学ぶ姿勢を高らかに宣言しました。受講生記念合吟では一班々長の荒崎春奈さんが先導して「桂林荘雑詠諸生に示す その一」が吟じられ、若さに満ちた合吟を聞くことができました。
 休息する間もなく、一時限目の課業が始められました。河田和良会長による「吟剣詩舞道憲章の精神」では、笹川良一創始会長の人間的な素晴らしさ、そして吟剣詩舞への貢献を語られ、また笹川鎮江財団二代会長の吟詠における音楽性の確率にご苦労された話を、受講生は真剣な面持ちで聞き入っていました。二時限目は工藤龍堂常任理事による「財団の組織運営と指導者の役割」で、笹川良一創始会長が当時の吟剣詩舞道界をまとめ、財団誕生までにこぎつけるご苦労を話され、さらに財団の規模や組織の説明、予算や事業などを話されました。三時限目は鈴木吟亮専務理事が「吟詠の振興と吟詠コンクールの実態」を講義され、吟詠コンクール審査規定(平成十四年度改訂版)および笹川鎮江財団二代会長審査員講習会講義録をテキストにして、これからコンクールなどの審査員も経験するであろう若人に、審査とはどのようなものかを話されていました。入倉昭星常任理事による四時限目は「剣詩舞の振興と剣詩舞コンクールの実態」で、競争のない社会は発展しないように、コンクールによってレベルが上がったが、さらに吟をよく理解し、剣詩舞の本筋を忘れず、観る者に感動を与えられるような剣詩舞を目指してほしいと提言されていました。
 夕食を終え、五時限目の課業は石川健次郎先生による「吟剣詩舞の沿革と舞台動作」で、吟詠については日本音楽の中の吟詠の特質と、吟詠であっても見せる舞台が必要であることを説かれていました。剣詩舞では舞台動作や演技法などについて語られました。
 
【七月二十四日】
 本栖研修所時代には有名であった朝の「とり舟体操」と点呼が久々に復活。大きな掛け声とともに、皆さん一生懸命に体を動かしていました。
 朝食の後、六時限目の課業「意見交換会 その一」が、吟詠と剣詩舞それぞれ部屋を分けて行なわれました。内容は意見交換というより、実技指導が中心で、吟詠では箕輸緑崇理事の進行により、受講生が前に出て吟じた吟詠に対して、発声やアクセントなどがチェックされ、良い点や悪い点などが指摘されました。剣詩舞では藤上南山評議員が「青葉の笛」を、青柳芳寿朗評議員は「奥の細道」を題材に、振り付けの仕方や舞い方などをレクチャーし、実際に受講生もその場で振りを舞っていました。
 昼食をはさんで、七時限目の「吟詠及び剣詩舞の講演と実技指導」では、吟詠の指導を作曲家の舩川利夫先生が担当し、剣詩舞では舞踊家の藤間章作先生が、講演と実演を行ないました。熱血指導で知られる舩川利夫先生の吟詠指導には、さすがの若手諸君もたじたじで、顔が青くなったり赤くなったりで、一生懸命に指導を受けていました。日本舞踊ではご高名の藤間章作先生の講義と実技は大変役立つ内容で、受講生も真剣に舞台を見ながら、自分でも舞い、その動きや感性を身に付けようと懸命でした。夕食の後の八時限目は「吟詠及び剣詩舞の研究」で、この大学を受講した人は今秋十一月の武道館大会に出演でき、そのため吟詠、剣舞、詩舞がそれぞれに分かれて、武道館大会の課題を練習しました。
 
【七月二十五日】
 朝は点呼と「とり舟体操」から始まり、二十三日の夜、班別で話し合った意見を発表する「意見交換会 その二」が開かれました。その内容は「各地で開かれる大会に財団役員に来てもらい、財団の活動をアピールしてほしい」「コンクールの服装の基準が厳しい」「コンクールの伴奏を選ぶのに曲数が少ない」「地方のコンクール会場の環境が悪い」「コンクール優勝者の賞金額を上げる」「優勝者をテレビに出演させてほしい」「吟剣詩舞のイメージを改善したい」「海外へも進出したい」「生演奏をもっと利用する」「他のジャンルとも競演したり、インターネットを活用する」「コンクールの舞台撮影が禁止されているが、許可してほしい」など、若い方々の立場から様々な意見が出され、どれも今後の吟剣詩舞道界を考える上で大切なことだと感じました。
 そして、すべての課業が終わり、閉講式が始まりました。河田和良会長から受講生一人ひとりに修了証書が手渡され、三班々長の野上孝時さんが受講生感謝のことばをのべました。最後に財団会詩合吟が行われ、二泊三日にわたる大学も成功のうちに終了しました。
 ここで学んだことは受講生の皆さんにとって、今後必ずや役立つことでしょうし、ここで知り合った仲間の輸は、吟剣詩舞を発展させるネットワークとして全国に広がっていくことでしょう。彼等の今後の活躍に期待したいものです。
 
「受講生誓いのことば」を述べた
新藤正代さん
(兵庫県・大日本敬天社道場早淵流)
「誓いのことばは、バスに乗る前に言われました。それで副宗家にメールしたら、君は誓えるのかというメールが帰ってきて気持ちが解かれましたが、やはり実際にはガチガチになりました」
 
「受講生感謝のことば」を述べた
野上孝時さん
(栃木県・吟亮流雪朋支部)
「今回の研修は、ずっと緊張しっぱなしでした。意見交換会で吟剣詩舞に対しての要望を出しましたが、それ以上に我々が、頑張っていかなければならないと考えさせられた研修でした」
 
第2回青年吟剣詩舞道大学受講者一覧
荒崎 春奈 紫虹流紫虹会 迫 公秀 翔山流剣扇会
後藤未由子 関心流日本興道吟詩会 川野 佳代 日本壮心流
米澤 香織 日本詩吟学院岳風会岳智会 梶原いずみ 菊水流
高岡 直美 哲泉流日本吟詠協会 長坂 理絵 北辰神明流分家
須原 朋美 吟道錦城流 村田 竜洋 揚心流日本朗詠会
辻 久美子 栄陽吟道会 安倍 侑希 神心流尚道館
渡部 仁詞 神道流吟詠会 室田 典子 渋川流剣楓会
藤村 宜子 北海道詩吟連盟 多田 幸世 正義流詩舞同好会
鈴木 孝枝 関西吟詩文化協会浜松鷺長会 神尾由美子 北辰神明流分家
岡村 吉紘 日本吟心流詩吟國舟会 林 亮志 天心流南柳会
濱田理恵子 日本詩吟学院熊本岳風会 豊田 美樹 天津流舞踊詩舞
赤松 由紀 詩歌吟詠景心流六映会 大野 晶子 北辰神明流分家
内藤 理奈 響吟流吟詠会 阿部 真美 祥刀流祥煌館
生越 光恵 欽水流吟詠会 日下 和美 吟剣詩舞倭水流
川又恵里子 谿月流瑞恵吟詠会 小野 佳織 光翠扇流
古賀かほり 香雲堂吟詠精山会 曽根 敬志 神刀無念凱山流
湯川めぐみ 賀城流広島吟詠会 岡本菜穂子 北辰神明流分家
泉 麻耶 心嶺流吟詠心嶺会 野網 友香 水心黎明流
柴川 恵子 臥風流常盤吟詠会 上野奈美子 神心流尚道館
石川 和男 春洋流東洋吟詠会 高橋 博之 神宗流吟剣詩舞道
桂 奈緒美 日本詩吟学院岳風会宮崎岳星会 田村枝里香 寿岳流信濃吟詠会
草野 朋之 詩吟洌風流 小野 藍子 青柳流剣詩舞道神武館道場
上野眞由美 日本詩吟学院岳風会高知岳風会 坂井 瑠里 菊水流剣詩舞道本部
梅村 佳代 天心娼桜流吟道会 日野林美加 紫雲館吾妻流六六庵支部
松本亜矢子 関西吟詩文化協会緑扇会 清田さおり 日本壮心流
鈴木美枝子 吟道館流経風会 原 友美 神刀無念凱山流
原 知恵 吟道星心庵吟詠会 長坂恵里子 北辰神明流分家
川又麻里子 谿月流瑞恵吟詠会 村岡 麻央 大日本正義流剣舞術
佐藤 詩織 春濤会 神藤 奈那 日本壮心流
田中 優 日本詩吟学院岳風会 梨羽 太朗 剣舞一刀流尚武館
高越 恵 賀城流広島吟詠会 安河内陽子 聖舞塾
鎌田 美幸 籟洲流籟風会 田邊 小泉 青柳流剣詩舞道神武館道場
立田 依子 朋吟会 石渡 千紘 北辰神明流分家
大森 加織 清吟堂吟友会 吉田 俊夫 大和陽心流瑞城会
木村真由美 詩吟洌風流 太田賀津子 大日本敬天社道場早淵流
加藤 裕美 日本詩吟学院岳風会宮崎岳星会 上岡 由記 晄明流吟剣詩舞道
田坂真里奈 水真流桂林吟詠会 竹内 久晃 正親流吟剣詩舞平安研心館
岡田 育代 朝翠流秀鵬吟詠会 白水 英子 みやび(雅)舞総本部
野上 孝時 吟亮流雪朋支部 森田 裕子 瑞聖流瑞了会
山田 美和 雪山流吟詠会 新藤 正代 大日本敬天杜道場早淵流
郡司 明子 岳精流日本吟院渋川岳精会 工藤 直美 詩舞道光翠扇流
石田 静代 揚心流日本朗詠会 佐治亜有子 綿生流吟剣詩舞道
林田 麻由 淡窓伝光霊流 神籐 沙紀 日本壮心流
荒崎有紀江 紫虹流紫虹会 清本 裕美 静山流静慧会
加藤 尚子 天風南賜流南賜吟道会 岩下 美記 薩摩神刀自念流聖刀館
西野亜佐美 秀鳳流日本吟詠会 小笠原美亜 日本壮心流
佐藤 仁美 吟道翔風流日本吟翔会 高橋 篤司 神宗流吟剣詩舞道
大木 昌子 吟道秀明会 荒木 美津 大日本敬天社道場早淵流
甫守美和子 日本吟声流 田中 弘美 大日本水心流虎嘯館
高橋真理子 日本吟心流詩吟國舟会 岡田 隆之 渋川流剣詩舞道
桶谷 麻美 日本詩吟学院岳風会富山桜吟会 大倉 祐紀 菊水流
古賀 香織 日本吟心流詩吟國舟会 荒谷早智子 北辰神明流分家
吉田 直樹 雪山流吟詠会 田邊富士子 青柳流剣詩舞道神武館道場
奥村 由美 岳精流日本吟院 大野健太郎 玉城流剣詩舞会
菅 美紀 淡窓伝光霊流大分詩道会 鈴木 宏実 北辰神明流分家修容会
落合 大輔 朝翠流朝鵬会 尾曲七保子 吟詠大獅子吼流獅瑤会
若目田有紀 神刀無念凱山流 吉川 美江 日本壮心流
原 歩 菊水流 宮木 結加 秀蜂堂吟剣詩舞会
松本 幸子 日本壮心流 大倉 涼子 北辰神明流分家
埜本 藍子 八千穂流剣詩舞道会 黒川 恵子 綿生流吟剣詩舞道
岡 美澄 日乃本流 長澤 仁美 日本壮心流
山本 早華 星舟流詩舞星舟会


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