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説明会資料
救命艇装置整備士の養成事業について
(社)日本船舶品質管理協会
1. 事業実施の趣旨
 救命艇の操練時や船舶検査時における救命艇落下等の事故の多発を受けて、海上人命安全条約(SOLAS条約)が改正され、救命艇及び進水装置(以下「救命艇装置」という。)の保守点検・整備については、2006年7月1日以降、定期的な点検整備が義務付けられることとなりました。
 定期的な点検整備の具体的方法、内容等は、SOLAS条約第III章第20規則及び脚注引用されているMSC/Circ.1093(救命艇、進水装置及びオンロード離脱装置の定期的整備及び保守に関するガイドライン)によることが規定されています。
 週毎及び月毎の点検並びにメーカーが指示する日常点検は、乗組員がメーカーから提供される指示書(点検マニュアル)に従って、上級士官のもとに実施されなければならない。年次点検、定期的整備や修理は、メーカーの要員又はメーカーにより適切に訓練され、認定された要員(有資格の整備技術者)によって実施されなければならないこととなります。
 また、メーカーが実施できない場合は、主管庁がその能力・資格を有すると認められる団体にメーカーがやるべき職務、権限を与えてもよいことになっています。
 これを受けて、救命艇装置メーカー及び国から整備技術者の教育訓練を当会で実施して欲しい旨要請が寄せられています。
 そのため、当会は、救命艇装置の保守点検・整備に従事しようとする方に対する整備技術講習会を開催し、資格を有する整備技術者を養成する事業を計画しています。
 現在検討中で未定の部分が多々ありますが、事業の趣旨をご理解いただき、講習会に多数応募いただきますようお願い申し上げます。
 
2. 救命艇装置整備士制度の概要
(1)概要
 当会に設ける救命艇装置整備技術講習委員会のもとに開催する整備技術講習会を受講し、所定の試験に合格した方を、救命艇装置整備技術者として資格認定します。
 資格認定を受けた方は、日本の救命艇メーカー5社及びボートダビットメーカー3社の製品の整備を行うことができます。
 なお、資格は有効期限を4年としており、研修会に参加することにより更新されます。
 
(2)養成・認定する整備技術者の技量
・救命艇及び進水装置を対象にMSC/Circ.1093が要求する点検整備に対応可能な技量を有する整備技術者を養成・認定することとします。
・対象とする救命艇及び進水装置は、次のメーカーの製品とします。
救命艇メーカー5社:(株)アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド
        (株)信貴造船所
        常石林業建設(株)
        (株)ニシエフ
        豊永船舶(有)
ダビットメーカー3社:(株)関ヶ原製作所
         辻産業(株)
         萬成工業(株)
 
3. 講習会の開催要領
(1)開催時期
・11〜12月頃を予定
・毎年1回開催予定
 
(2)開催場所
・大阪を予定
 
(3)講習会の受講資格
・整備技術者は、事業所に所属していることを原則とします。
・実務経験者(救命艇又は進水装置の整備に従事した一定の経験を有する方)とします。
 
(4)講習会の概要
・講習会は学課(講義)及び実技の講習と試験(技量認定試験)から構成します。
・試験は講義及び実技の講習終了後それぞれについて実施します。
・講習会の日数は、8日程度。(概ね、講義2日、実技・試験6日を予定)
・2年目以降、海外事業所からの受講者のための講習会も開催する予定です。
 
(5)学課講習(講義)
・関係規則、構造、操作、保守点検整備要領等の説明
・指導書を使用。必要に応じて各社の取扱説明書を使用。(指導書等は実技講習にも使用)
 
(6)実技講習
(内容)
・救命艇関係:救命艇の各部点検、整備
一斉離脱装置の操作(離脱、復旧、緊急時離脱)、分解・計測・組立 等
・進水装置関係:ボートダビット及びボートウインチの各部点検、整備、操作、ボートウインチブレーキ機構の分解・計測・組立、ブレーキパッドの交換、ボートフォールの交換 等
・実技講習の内容は、MSC/Circ.1093において、点検を求められている事項及び開放が求められているものの分解組み立てに重点をおいて行います。
(使用する教材)
・救命艇関係:代表的な救命艇(耐火救命艇、艤装品等完備) 一式
一斉離脱装置(フック部、ハンドル部、水圧インターロック装置、ケーブル等を含む) 各メーカー毎の形式
・進水装置関係:代表的なポートダビット(ウインチを含む) 一式
ボートウインチ(ブレーキ機構) 各メーカ毎の形式
(講習方法)
・受講者は少人数のグループに分かれ、代表的な救命艇及び各社の一斉離脱装置について順次受講します。更に、代表的なボートダビット及び各社のウインチ(ブレーキ機構)について順次受講します。
(講師)
・メーカー講師(各社)
 
(7)受講料
・受講料は、経費を勘案して、指導書を含め概ね25万円程度を予定しています。
 
(8)開催案内
・受講者の募集等の詳細につきましては、7〜8月頃案内します。
 
4. 講習会後の登録等
(1)技量認定試験、技術者名簿への登録、技術者証の交付
・講習会参加者の技量認定を行うため、講習会の末期に、学課及び実技について試験(技量認定試験)を実施します。
・技量認定試験に合格した方を技術者名簿に登録し、技術者証を交付します。
・技術者証の有効期間は4年間とします。
 
(2)技術者証の更新、研修会
・研修会に参加することにより、技術者証を更新します。
・研修会は資格継続のために行う補完教育で、講義及び実技から構成します。
 
5. その他
(1)講習会等の運営管理
 当会に、所定の規程を制定し、救命艇装置整備技術講習委員会及び試験小委員会を設置し、救命艇装置の整備技術者を養成するための統一的、標準的な教育訓練手法を検討、確立するとともに、講習会・試験の運営管理及び技量認定を行います。
 
以上


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