日本財団 図書館


津波に関する資料
○「津波が予測される場合の船舶安全確保に関する調査研究報告書」著者:(社)日本海難防止協会 TEL: 03-3502-2233
○「よくわかる津波ハンドブック」著者:東海・東南海・南海地震津波研究会 定価:700円 販売:事務局 TEL 06-6245-4901
○「津波・高潮ハザードマップマニュアル」(平成16年度版)著者:(財)沿岸開発技術研究センター 定価:2,100円 販売:書籍担当 TEL 03-3234-5861
○広報CD-ROM「津波から命をまもるために」著者:気象庁 定価:500円 販売:気象庁業務支援センター TEL 03-5281-0440
○「静岡県市町村災害史」=(財)静岡総合研究機構防災研究所のHP
<国立国会図書館蔵書から(1998〜)>
★1998:
○「パプアニューギニアの北西部沿岸域の津波災害に関する調査研究」著者:河田恵昭(京都大学)
○「パプアニューギニア津波災害救済国際緊急援助隊医療チーム報告書」著者:国際協力事業団
○「沖縄における地震・津波・火山噴火資料」著者:沖縄気象台
○「山腹崩壊に伴う津波災害に関する研究」著者:桧谷治(鳥取大学)
○「新津波警報伝達システムの普及事業実施報告書」著者:日本海難防止協会
○「日本被害津波総覧」著者:渡辺偉夫
★1999:
○「GPS津波計測システムを用いた津波防災システムの開発」著者:加藤照之(東京大学)
○「港湾域における津波の挙動の調査研究」著者:日本水路協会
★2000:
○「気象海象要覧」著者:日本気象協会
○「次の南海地震津波時における四国沿岸域住民の避難および被災軽減対策」著者:村上仁士(徳島大学)
○「津波による物質移動と環境改変の解明」著者:箕浦幸治(東北大学)
○「水底・海辺堆積物に見られる地震および津波痕跡の研究」著者:都司嘉宣
★2002:
○「近地津波の早期検知手法の開発」著者:大町達夫(東京工業大学)
○「原子力発電所の津波評価技術」著者:土木学会原子力土木委員会津波評価部会
○「湖沼堆積物記録に残された昭和、安政、宝永南海地震津波の検証」著者:松岡裕美(高知大学)
○「次世代レーザー津波計測ネットワークシステムの開発研究」著者:伊藤弘昌(東北大学)
○「堆積学的手法による地滑り津波の発生機構の解明」著者:今村文彦(東北大学)
○「島嶼地域における危機管理に関する研究」著者:亜熱帯総合研究所
○「南海道地震津波阪神・淡路大震災被災地からのメッセージ」著者:中川健次
★2003:
○「恐怖の大津波」著者:鵠津波を語り継ぐ会
○「神戸市地域防災計画 地震対策編南海地震津波対策」著者:神戸市防災会議
○「ドキュメント災害史」著者:国立歴史民俗博物館
★2004:
○「GISを利用した地震防災情報管理の最前線」著者:地震工学委員会
○「平成15年十勝沖地震調査報告」著者:札幌管区気象台
 
海の気象
冬季、北西太平洋で発達する低気圧に注意を
気象庁予報部予報課 杵渕 健一(きねぶち けんいち)
はじめに
 冬季の北西太平洋は、アイスランド沖の大西洋北部と並んで、発達した低気圧の存在することが多い海域です。一般的に、北西太平洋の低気圧は、日本付近やオホーツク海から発達しながら進んでくるもので、ここで最盛期を迎え、その後は動きが遅くなります。この際、時として低気圧は急速に発達しながら進んでくるため、北西太平洋では1〜2日の間に風や波が急速に強まることがあります。
2004年2月の低気圧
 2004年2月22日9時に日本海にあった低気圧は、発達しながら北海道を通過し、2日後の24日9時には千島の東海上に達しました。中心気圧は996hPa(22日9時)から2日間で44hPa下降し、24日9時には952hPaになりました。低気圧の中心に近い海域では、最大風速60ノット、波の高さは12メートルを超える猛烈なしけとなりました(図1、図2)。
 同じように強風をもたらす台風と比較して、このような低気圧は強風域が広く、発達期には移動速度が速いのが特徴です。
 例えば2004年の台風第6号の場合、最盛期には915hPaに発達し中心付近の最大風速は100ノットに達しましたが、風速30ノット以上の強風域は中心から半径300海里以内の海域でした。一方、この事例の低気圧の最大風速は60ノットでしたが、強風域は中心から南西側1,400海里、北東側900海里以内まで広がりました。また、熱帯域にある台風は一般に10ノット程度で移動するのに対して、この事例のような低気圧は20〜30ノット、場合によっては40ノットもの速さで進みます。
 
図1 アジア地上天気図(2004年2月24日9時)の一部抜粋
 
図2 外洋波浪実況図(2004年2月24日9時)の一部抜粋
 
 このように、冬季の低気圧は広い強風域を伴いながら比較的速い速度で移動するため、船舶は低気圧から離れていても最新の予報・警報に注意し、早い段階から高波や暴風への対策をとる必要があります。
海上悪天予想図と海上警報
 船舶の安全な航行を支援するため、気象庁は海上の悪天予想図を作成し、JMHで配信しているほか、気象庁のHPにも掲載しています。海上悪天予想図には24時間予想図と48時間予想図があり、予想図には30ノット以上の風が予想される海域や、海氷や着氷・海霧が予想される海域を示しています。
 図3は、2月22日9時を初期時刻として、24日9時を予想した海上悪天48時間予想図です。図1と比較すると、低気圧の中心位置や前線の位置はわずかにずれているものの、低気圧の中心気圧や周辺での50ノットを越える暴風は的確に予想できていることが分かります。
 
図3 海上悪天48時間予想図(2004年2月22日9時を初期の状態として24日9時を予想)の一部抜粋
 
 この他に、気象庁は解析時刻から24時間先までの海上警報を、セーフティーネットやナブテックスを用いて配信しています。ここでは50ノット以上の暴風を伴う低気圧を解析した場合、もしくは24時間以内に50ノット以上の暴風を予想した場合に、最大風速や強風域の広さ、24時間後の低気圧の予想位置を報じています。また、アジア地上天気図にも同様の情報を掲載しています。
 海上悪天予想図や海上警報で報じる予想は、コンピューターを用いた数値シミュレーション(数値予報)による予想図をもとに、予報官が作成しています。近年、数値予報の精度が向上し、この事例のようにスケールの大きい低気圧については、発達の程度や位置を精度良く予想できるようになりました。急速に発達する冬季の低気圧に対してこれらの資料が有効に利用され、早めの対策、ひいては海難事故の防止につながることを期待しています。
おわりに
 数値予報の精度は年々向上していますが、それを支えているのはさまざまな観測に基づく実況のデータです。船舶から通報される海上のデータも、貴重な資料として、実況の解析や数値予報などに有効に活用されています。より正確な解析・予報・警報のために、今後とも船舶による観測・通報をよろしくお願いします。


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