II. 地方環境関連税制の現状と可能性<ドイツ>
1. 法的枠組み
(1)独自課税
基本法(連邦の憲法)の第105条(2)aには「州は、同様の租税が連邦法によって規定されていない限りにおいて、地域消費・支出税を立法する権限を有する」と定められている。またこの条文を受けて、多くの州では、連邦法と州法で定めた租税と重複しない限りにおいて、地方自治体が独自の「地域消費・支出税」を徴収することを認めている。
(2)対価原則
各州の州法(地方自治体公課法など)には、「地方自治体は、手数料や分担金による費用回収が不可能な場合にのみ、租税を徴収することができる」と定められている。
(3)包装税(Verpackungsteuer)
包装税は、再利用不可能な包装材および容器を課税対象としたものであり、ヘッセン州のカッセル市が、地域消費・支出税として、1992年に導入した。複数の地方自治体がこれに続いたが、1998年、連邦憲法裁判所によって違憲判決が出された。連邦のゴミ政策との不整合が判決の理由である(租税を政策的誘引の手段として利用すること、そうした租税の立法権を州が地方自治体に委譲することは合憲とされた)。
2. 地方炭素税の可能性
⇒連邦税として石油税(Mineralölsteuer)が徴収されているため、新たに地方炭素税を導入することは難しい。1999年の「環境税制改革」では、石油税の税率が引き上げられ、電気税(Stromsteuer)が導入された。2002年には両税の税率はさらに引き上げられている。
3. ゴミ処理の負担配分
⇒地方自治体が収集・処理するゴミについては、大部分の地方自治体が、料金によって費用の100%を賄っている。料金によって100%の費用負担がなされる任務には、他に下水処理がある。
図表14: 環境税の税率
石油税 |
<動力用燃料> |
無鉛ガソリン(硫黄含有量10mg/kg超) |
669.80Euro/1kl |
無鉛ガソリン(硫黄含有量10mg/kg未満) |
654.50Euro/1kl |
有鉛ガソリン |
721.00Euro/1kl |
ディーゼル燃料(硫黄含有量10mg/kg超) |
485.70Euro/1kl |
ディーゼル燃料(硫黄含有量10mg/kg未満) |
470.40Euro/1kl |
液化ガス(プロパン・ブタンなど) |
161.00Euro/1t |
天然ガス |
12.40Euro/mWh |
<暖房用燃料> |
軽暖房油(leichtes Heizol) |
61.35Euro/1kl |
重暖房油(schweres Heizol) |
25.00Euro/1t |
液化ガス |
60.60Euro/1t |
天然ガスおよびガス状の炭化水素 |
5.50Euro/mWh |
電気税 |
20.50Euro/mWh |
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図表15: マールブルク市のごみ料金
1人あたり・2週間ごとに回収の場合 |
6.69Euro/月 |
1人あたり・4週間ごとに回収の場合 |
5.35Euro/月 |
最低料金・2週間ごとに回収の場合 |
10.04Euro/月 |
最低料金・4週間ごとに回収の場合 |
8.02Euro/月 |
*料金には、普通ごみ、紙ごみ、生ごみが含まれる。 |
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図表16: ハイデルベルク市のごみ料金(普通ごみ)
120リットルのコンテナー |
基本料金 |
61.00Euro/年 |
サービス料 |
1週間ごとの回収 |
296.00Euro/年 |
2週間ごとの回収 |
147.00Euro/年 |
240リットルのコンテナー |
基本料金 |
122.00Euro/年 |
サービス料 |
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1週間ごとの回収 |
604.00Euro/年 |
2週間ごとの回収 |
302.00Euro/年 |
追加の回収 |
サービス料 |
5.70Euro/袋 |
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