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地域防犯システムの構築に関する研究

 事業名 地域防犯システムの構築に関する研究
 団体名 地方自治研究機構 注目度注目度5


≪自治体の評価(団体に与えた影響、および犯罪抑止面に与えた効果)≫
 
●約半数が「防犯意識の向上」、「治安の向上」を評価
●犯罪発生件数の減少や看板・防犯カメラの設置による防犯環境の充実
 
 支援事業が犯罪抑止面に与えた効果として、「住民や店舗の防犯意識の向上」を約半数の自治体が挙げており、住民および地域の意識啓発面で変化が生じたことがわかる。次いで「犯罪発生件数の減少」や「検挙件数の増加」がみられたとする回答が9件あり、防犯対策としての実際的な効果がうかがえる。
 また、『落書きはほとんどなくなった』(マキノ町)、『駅周辺にたむろする少年がいなくなり、駅利用者の不安感が低減』(西浅井町)など、地域の雰囲気の改善やモラルの向上(領域性の強化)がみられた。その他、『防犯啓発看板やビラは、「無言の目」による監視効果があった』、『プライバシーへの配慮を検討した上で設置した防犯カメラは犯罪抑止効果があった』(以上大津市)など、被害対象の強化および監視性の確保に効果があったとする記述もみられた。
 
図表1-49 犯罪抑止面での効果(自治体による回答)
 
●「メンバーの意識・活動の質向上」、「地域団体間・行政との連携強化」、「地域での意識啓発」などに効果
●活動助成金による装備充実⇒メンバー意欲向上⇒活動充実⇒地域での活動の認知⇒地域連携の強化という好循環の契機に
●活性化した団体が行政の対応に不満を抱くケースも
 
 支援事業が自主活動団体に与えた影響として、「活動メンバーの意識・意欲の向上」(12件)、「他の地域団体や自治体・警察との連携強化」(11件)、「防犯活動内容・活動量の充実」(11件)、「地域での活動の認知・理解・信頼等の向上」(7件)などが上位に挙げられた。
 これらの回答の特徴として、例えば『ジャンパー、腕章等装備の充実により、活動団体構成員の意識向上が見られ・・・』(近江八幡市)など、1つの団体の回答の中で同時に記述されるケースが多い。つまり、〔活動助成金による装備・備品の充実〕が〔メンバーの意識・意欲向上〕を生み、〔活動内容が充実〕し、それによって〔地域での活動が認知〕され、〔地域内連携の強化〕につながる、というように活動活性化の好循環(発展ストーリー)を生み出す契機をもたらしたといえる。
 一方で、自主活動団体の意識や活動の高まりによって、危険箇所への対応など行政への要請が活発になってくるのに対し、予算確保の困難性や対応体制の未整備などにより迅速・的確に対応できず、団体が不満を持つこと(竜王町)も留意する必要がある。
 
図表1-50 自主活動推進の効果(自治体による回答)
 
ウ 活動を推進する上での課題(自主活動団体による回答)
 
●人材確保や結束の強化等、活動の継続性確保に向けた組織基盤強化
●地域活動のPRや地域・行政との連携強化
 
 自主活動団体が活動を進める上での課題については、「人材確保・結束強化等活動の継続性の確保」、「財源の確保」(各7件)、「参加メンバーの多様性の拡大」(2件)、「一部のメンバーへの負担集中」(2件)などが挙がっており(合わせて18件)、団体の組織基盤の脆弱性に関する課題が浮き彫りになっている。
 また、『全町的な取組としてはほど遠いものがあるので、もっと活動について周知徹底を図っていく必要がある』(米原町米原学区)、『行政・関係機関の迅速な対応、体制の確立』(草津市玉川学区)として、地域への活動のPRや地域・行政との連携・強化を課題として挙げている(合わせて6件)。
 その他では、『毎年替わる会員が多いので、継続性や専門性に乏しいように思われる』(日野町南比都佐地区)、『権限や防御の問題から、不審者や非行少年に注意することができない』(草津市草津学区)など、各メンバーの専門性の確保や、民間の立場で防犯活動を行うことの権限に関する指摘もあった。『男女共同参画社会となり、昼間親が不在で子どものみ在宅時の防犯対応』(野洲市北野学区)、『他人の子どもにも関心を示すような活動を推し進めたい』(湖東町湖東南地区)などの弱者対策(3件)などが挙げられた。
 
図表1-51 活動を推進する上での課題(自主活動団体による回答)
 
エ 今後の活動の展開方向(自主活動団体による回答)
 
●「パトロール」「意識啓発」など既存の活動内容の充実強化
●地域団体間での連携の強化
●「民間交番の設置」や「安全・安心マップづくり」など新たな取組を展望
 
 今後の自主活動団体の展開方向としては、『不法投棄パトロール』(野洲市北野学区)など「パトロールの強化」(5件)、「住民の防犯意識啓発」(2件)、「防犯灯の点検」、「まちの雰囲気の改善」、「防犯講習会の充実」(各1件)など、現在行っている活動内容の充実に関するものが多くなっている(合わせて10件)。
 また、「他の地域団体・行政との連携」(6件)、「他地域での活動団体発足に向けた取組」(2件)、「自主活動のリーダーとなる人材の養成」(1件)など、地域との連携や組織強化の方策が挙がっているほか、「民間交番の設置」(1件)や、「安全・安心マップづくり」など、新たな取組を展望する回答があったことも留意しておきたい。
 
図表1-52 今後の活動の展開方向(自主活動団体による回答)
 
オ 自主活動団体支援事業による犯罪抑止効果
 自主活動団体に対する支援事業を実施したことによる、地域における犯罪抑止効果について、事業実施前(平成12〜14年)と実施後(平成15〜16年)の活動区域における刑法犯認知件数を比較した。
 自主活動団体支援事業の実施前では増加傾向にある犯罪が、事業実施後では減少に転じており、これは「『なくそう犯罪』滋賀安全なまちづくり条例」の制定や落書き消し隊事業など全県的な犯罪抑止の取組と相侯って、地域の犯罪防止に貢献したことがうかがえる。
 
図表1-53 自主活動団体支援事業実施後の
活動地域における刑法犯認知件数の推移
(カッコ内数値は前年比増減率)
注1) 自主防犯活動団体の活動区域(学区域が中心)と、地域の犯罪統計の基礎単位(交番・駐在所管轄区域)は必ずしも一致しないため、今回は活動区域と交番・駐在所の管轄区域がおおむね重なる地域を選定し、掲載している。
注2) 刑法犯認知件数統計は各年1〜12月のもの。
出典)滋賀県警察本部刑事部捜査第1課「滋賀の犯罪(平成12〜16年)」より作成
 
(3)まとめ
ア 活動活性化の好循環形成の契機
 支援事業の効果として、住民の防犯意識の啓発や治安の向上、活動メンバーの意欲・活動内容の充実など地域および自主活動団体それぞれの活性化に寄与したことが掲げられており、支援事業の有効性が確認される結果となった。また、アンケート結果に加え、支援事業実施後の刑法犯認知件数の減少という点でも、具体的な効果を数字でみてとることができる。
 特に注目すべきことは、支援を活用した制服や看板設置などの防犯装備の充実により、メンバーの意欲向上や連帯感を育み、活動の質が向上することによって地域での認知や信頼感が高まり、さらに地域の連携が生まれていくという好循環の形成がみられた。この点に寄与していることも支援事業の大きな効果であろう。
 
イ 活動基盤の強化に対するニーズ
 自主活動団体が支援の効果や活動上の課題と認識しているところはメンバーの意欲や人材確保、あるいは地域での連携に関するものが多く、団体の関心は組織の基盤強化に向いていることがうかがえる。今後の活動の展開方向についても現行の活動の充実に関するものが多くみられ、活動を安定させ、軌道に乗せることに主眼を置く団体が多い。
 
ウ 団体の発展段階に応じた支援メニューの必要性
 支援事業は自主活動団体の立ち上げ時に有効であるが、一方で活動の継続性確保や地域・行政・警察との連携を今後の課題とする活動団体が多く、こういった課題は経済的な支援では解決できない。
 自主活動団体の活動が軌道に乗り始め、さらに活動を発展させようという段階にある団体を行政が支援するときには、施策も次のステップのものが用意されていなければならないということになるだろう。そのような発展段階に応じた支援メニューを行政や警察が用意しておくことで、持続性の高い地域防犯システムの構築が可能となるであろう。







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