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3.3 節の参考文献:
1) Lum Puay Yuen (2004): A Cost Effective Solution for VLCCs Ballast Water Treatment, 2nd International Conference & Exhibition on Ballast Water Management, Proceedings
2) Bai Mingdong (2004): Studies on Killing the Invasive Marine Species in Ship's Ballast Water Using Advanced Oxidation Technology, 2nd International Conference & Exhibition on Ballast Water Management, Proceedings
3) Carl Tullstedt / Fredrik Norén (2004): Benrad Advanced Oxidation for Ballast Water Treatment, 2nd International Conference & Exhibition on Ballast Water Management, Proceedings
4) Stephan Gollasch and Oliver Kerschek (2004): Bremen Ballast Water Treatment Project (BBP), First Land-Based Tests Results of Various Ballast Water Treatment Techniques, 2nd International Conference & Exhibition on Ballast Water Management, Proceedings
5) Jose Matheickal and Steve Raaymaker eds (2004): 2nd International Ballast Water Treatment R and D Symposium, IMO London July 2003, Proceedings
 
 
 バラスト水のサンプリング及び検査方法に関しては、MEPC52に提案された次のバラスト水サンプリングガイドライン(以下、G2)の解析より開始した。MEPC52に向けては、その解析結果を基に我が国の対処方針を検討した。
 G2草案(MEPC52/2/1、ANNEX 1、ドイツ提案)の構成は、次の通りであった。
 
バラスト水サンプリングガイドライン
1 目的
2 サンプリング目的
3 サンプル及びサンプリング効率の代表性
4 コンプライアンス(応諾)管制のためのサンプリング
4.1 バラスト水交換基準(規則D-1)のためのコンプライアンス(応諾)管制
4.2 バラスト水性能基準(規則D-2)のためのコンプライアンス(応諾)管制
バラスト水タンクのマンホールからのサンプリング
バラスト水排出ラインからのサンプリング
5 職務上の健康と安全
6 サンプリング・トリップの計画と実行
7 乗船
8 下船
9 サンプル識別、ラベル及び記録
9.1 サンプルデータフォーム
9.2 サンプル容器ーのラベリング
10 サンプル保存、取り扱い及び生物活性の分析
10.2 大型プランクトン(50マイクロメーター以上)
10.3 小型プランクトン(50マイクロメータ未満で10マイクロメータ以上)
10.4 微生物
11 運航中の船舶のために推奨される標準的なバラスト水サンプリング・キット
APPENDIX I
固定剤
1. ルゴール液:
2. フォルマリン/ローズベンガル溶液
 
 G2草案(MEPC52/2/1、ANNEX 1、ドイツ提案)の内容を解析して、次の対象方針案を提案した。
(1)サンプリング場所が、マンホールから行うことを中心に考えており、サンプリングするバラストタンクの代表性が科学的に確定できないこと、水生生物は航海中に沈降するため、表層部でしかサンプリングできないマンホール法は生物濃度の過小評価になることを指摘する。そして、サンプリング場所は、排水口、例えばバラストポンプのエアー抜き等からの方が適切であることを指摘する。
(2)分析方法が、サンプリングした後に薬品で固定(保存液で処理)することを前提にしており、生きた生物の濃度を規定しているD-2基準との適合性を判断する検査方法としては、不適である。よって、生きた生物数を特定できる分析方法、例えばG8での日本提案である次の提案文書に記載している方法の採用あるいは応用を提唱する。
・テスト・ベッド試験に使用されるバクテリアの定量的分析方法(MEPC52/2/7、巻末資料集に収録)
・テスト・ベッド試験に使用される生物の定量的分析方法(MEPC52/2/8、巻末資料集に収録)
 MEPC52以降は、ドイツがコーディネーターを務める通信部会に参加し、MEPC52での議論を基に再作成されたG2草案に対する修正意見を通知した。他国の意見も含めて修正された現在のG2草案は、2005年4月に開催されるBLG9の次の提案文書となっている。
(1)バラスト水サンプリングのためのガイドライン(BLG9/XX、ドイツ提案、巻末資料集に収録)
3.4.3.1 MEPC52後の通信部会で通知されたG2草案に対する日本の意見
 MEPC52後にドイツから回章されたG2草案を解析し、次の意見を通知した。
(1)ガイドラインのタイトルは、G8のサンプリングと明確に区分するために、PORT STATE CONTROL用のバラスト水サンプリングのためのガイドラインに変更すべきである。
(2)沿岸国が特定の条件なしに、いつでもサンプリングできる表現に変更すべきである。
(3)科学的に実証されていない事項に関しては、仮置き扱いとすべきである。
(4)サンプルの濃縮等に用いるメッシュサイズは、対角線で規定すると、D-2で規定されているサイズよりも小さくなるため、サイズの規定は開口部の1片の長さとすべきである。
(5)サンプリングの場所は、排出口、例えばバラストポンプのエアー抜き等が適切である。
(6)サンプルの分析は、保存液を使用せずに、G8と同様にサンプリング後6時間以内で行う方が、生物の生死判定に適切である。
(7)サブサンプルは、サンプル採取時及びD-2基準との適合を判断するための生死判定に用いた正サンプルの一部を保存液で固定する2種類採取して、サンプルの紛失等や生死判定結果の検証のために行うようにする。
(8)採取したサンプルに保存液を注入して固定する記載は削除する。その理由は、固定することによって、生きた生物数を規定しているD-2基準に適合しているか否かを判定することが不可能になるからである。もし、固定の方法を規定するのであれば、分析後のサンプルの保存のための規定であることを明示すべきである。
(9)サンプルの分析方法に関しては、現G8草案と同様に、特定の方法せずに、現状の記載としては主管庁が認める適切な方法とし、標準方法のリストを載せる程度にとどめる。
(10)D-2基準との適合は、排出されるバラスト水の平均的な生きた生物数で判定されるべきであり、サンプリング及び分析方法は、この基本原則に従って記載されるべきである。
(11)プランクトンネットに関する詳細な記載は、必要無い。その理由は、プランクトンネットはマンホールからのサンプリングだけに使用可能なものであり、排出口等では使用不可能なものであるためである。もし、記載するのであれば、排出口等でのサンプリングに使用する機材と共に記載すべきである。
 2005年4月に開催されるBLG9には、上記、G2草案に対する我が国の意見も含め、次の提案文書が提出された。
(1)バラスト水サンプリングのためのガイドライン(BLG9/XX、ドイツ提案、巻末資料集に収録)
 以下には、本提案文書の構成を示す。
 
PORT STATE CONTROL用のバラスト水サンプリングのためのガイドライン(G2)草案
1 目的
2 サンプリングの目的
3 サンプルの代表性
4 遵守管理の為のサンプリング
4.1 バラスト水交換基準の為の遵守管制(規則D-1)
4.2 バラスト水性能基準(規則D-2)の為の遵守管制
マンホール経由のサンプリングバラスト水タンク
バラスト水排出ラインのサンプリング
[soundingパイプないしはエアーパイプを通じてのバラスト水サンプリング
5 職業上の健康及び安全
6 サンプリング作業の計画及び実行
7 乗船
8 離船
9 サンプルの同定、ラベリング及び記録
10 サンプルの輸送
11 副サンプルの推奨
12 サンプリング器具の洗浄
13 サンプル保存液
13.1 大型プランクトン(50マイクロメーター以上)
13.2 小型プランクトン(50マイクロメーター未満及び10マイクロメーター以上)
13.3 微生物
14 サンプル分析
14.1 サンプル分析の目的
14.2 大型プランクトン(50マイクロメーター以上)
14.3 小型プランクトン(50マイクロメーター未満かつ10マイクロメーター以上)
14.4 微生物
14.5 D-2の遵守
15 船上での帯同の為の推奨される標準的なバラスト水サンプリング器具
付録1
サンプルデーターフォーム
付録2
保存液
1. Lungol's Iodine:
2. フォルマリン/Rose Bengal溶液:
3. SET稀薄エタノール固定液(在庫より製造された新品)
 
 
 バラスト水管理条約では、前記G8,G9及びG2を加え、合計13のガイドラインが作成される予定である。MEPC52ではG8とG9を主体に論議されたため、他のガイドラインに関してはあまり進展していない。当調査研究では、G8,G9及びG2以外のガイドラインの作成動向の把握作業として、MEPC52における次の提案文書を解析した。また、そのうちバラスト水交換ガイドライン(以下、G6)は、MEPC52以降に通信部会が行われ、各国の意見を踏まえた現時点でのガイドラインは、2005年4月に開催されるBLG9に提出されることになっており、その解析作業を行った。なお、各ガイドラインの現時点の草案の仮和訳は、巻末の資料編に収録している。
(1)バラスト水条約におけるガイドライン(MEPC52/2、英国提案):次のガイドライン案を記載
沈殿物受入施設のためのガイドライン(G1)
バラスト水管理計画ガイドライン(G4)
バラスト水受入施設のためのガイドライン(G5)
バラスト水交換のためのガイドライン(G6)
バラスト水交換のための設計及び建造基準のためのガイドライン(G11)
船上での沈殿物管理ガイドライン(G12)
(2)バラスト水管理同等対応のためのガイドライン(G3)草案(MEPC52/2/2、ISAF提案)
(3)バラスト水管理条約のためのガイドライン草案(MEPC52/2/4、ノルウェー提案):次のガイドライン案を記載
リスクアセスメントのためのガイドライン(G7)
プロトタイプバラスト水処理技術の承認のためのガイドライン(G10)
緊急事態を含む追加方策のためのガイドライン(G13)







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