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資料13: PORT STATE CONTROL用のバラスト水サンプリングのためのガイドライン(G2、仮和訳)
 
PORT STATE CONTROL用のバラスト水サンプリングのためのガイドライン(G2)草案
 
1 目的
 
1.1 このガイドラインの目的は以下の通りである:
 
.1 Port State Controlがバラスト水サンプリングの計画及び実施の方法、即ち船舶が条約の9条船舶検査に基づき船舶が条約を遵守しているか否かを査定する為の現実的かつ技術的指導要領をIMOメンバー国及び他の団体に提供することを目的とする、又
 
[.2 一連のバラスト水サンプリングの方法、手続き及び設備をIMOメンバー国及び他の団体に提供する為である。]
 
2 サンプリングの目的
 
2.1 バラスト水サンプリングの目的を規定することはいかなるほかの行動をとる前に不可欠である。理由はサンプリングのアプローチ、設計及び選択された設備はサンプリングの目的に密接に関わりあっているからである。
 
2.2 サンプリングプログラムの主たる目的は、サンプル収集の目的そのものである。即ち科学的研究、リスク査定、危険分析、バラスト管理の効果の証明、遵守のモニター、公的認知、あるいはサンプリングチームの訓練である。
 
2.3 非遵守の明確な理由 の存在が証明されたときにのみ、Port State当局ないしは他の権限を有する当局(例えば環境庁ないしは検疫局)による船上のサンプリングが実施されねばならない。これらはバラスト水管理計画書が守られていない。ないしはバラスト水処理システムが製造者の指図どおりに運行されていないことを含む。ただしこれに限定されない。
 
3 サンプルの代表性
 
3.1 タンク内での異なる地域の多様性と同様に多数の船舶の型、バラストタンクの設計及び構造の多様性を考えた場合、プロトコール及びサンプリング技術の代表制に関する疑問は今後の課題となる。これは異なるプロトコール及びサンプリングの技術が異なる条件の下では必要とされることを意味する。
 
4 遵守管理の為のサンプリング
 
4.1 Port State Control検査官により実施されるサンプリングプログラムは単純で、持ち運び可能な、迅速な、バラスト排出の港に適用可能な方法を採用することが必要とされ船舶の運行を遅延させたり阻害することがあってはならない。[しかしながら非遵守の疑いがある場合船舶の不当な遅延は正当化される。]サンプリングを容易にする為、船舶は港湾当局よりサンプリング準備の為の事前通知を受けることが出来る。
 
4.2 プランクトンネット、ビン、ホース等の全てのサンプリング設備は、以前のサンプリングの生物によりサンプルが汚染されることを避けるため、使用前に十分洗浄される必要がある。
 
4.3 反復してサンプルが収集されねばならない。検討されるパラメーターに基づき各々のサンプリングに対し最低[3つの]反復される必要がある。
 
4.4 Port State Control当局がある特定の目標種にのみ関心を示す場合、遺伝子調査やポータブルflowcytometryの道具のような迅速性のある診断技術の開発が関連する。
 
4.5 バラスト水交換基準の為の遵守制御(規則D-1)
 
4.5.1 項目4.5は船上でのバラスト水サンプリングの状態を改善する目的を有する一連の技術的推奨事項を構成している。下記に記載されている特定された手段、設備、備品及び道具は、バラスト水管理条約、あるいは、他のバラスト水ガイドラインで規定されている強制的技術要求ではないが、バラスト水サンプリングの状態を改善する為の船舶の設置のための選択肢である。
 
4.5.2 船舶がバラスト水交換要求に準拠していることを査定する観点より、物理的/化学的パラメーターのために[ないしは沿岸及び海洋の‘評価’種の存在の確認の為に]入港する船舶のバラスト水のサンプリングは遵守条件に関する情報を提供可能となる。
 
4.5.3 バラスト水の物理的及び化学的パラメーター(例えばpH,塩分、濁り、有機物の含有など)は交換の実施を示す公海上の海洋性の水であるかまたは交換が実施されていないことを示す港湾ないしは沿岸の水であることを表す可能性がある。[米国の沿岸警備隊は乗員している士官がバラスト水の塩分の測定及び交換の実施を査定することを可能にする簡易かつ迅速なサンプリング方法を真水の港からバラスト水を取り入れている船舶の為に開発した。(http://www.uscg.mil/hq/g-m/mso/mso4/bwgal.html)]
 
[4.5.4 バラスト水中の沿岸及び海洋の種の存在ないしは不在は、バラスト水が沿岸ないし海洋の源であるか又必然的に交換が実施されたかいなかの指標となりうる。Vancouver港湾当局はこのアプローチ(即ちharpacticoid copepodsの存在/不在が沿岸動物性プランクトンtaxaとなり得る)に基づきサンプリング方法を開発しワシントン州(米国)がされにこれを発展した。]
 
4.5.5 これらのアプローチは[両方とも]サンプリングの効果・代表性に重大な制約を受けることをはじめ、制限及び資格の拘束を受ける、又ある一定の塩分濃度[及び指標種]は事実沿岸及び大洋に存在することが推定される。[指標種に基づく合致サンプリングは又時間及び特に停泊中の船舶に対し整合性を評価する際のサンプル分析に要求される分類学上の専門知識により制約を受ける。]
 
[4.5.6 バラスト交換の要求に準拠していることを査定する、より効果的な方法は船舶に取り付けられたインラインのサンプラー及びモニターシステムに存在する。そのようなシステムは水位、温度、塩分及び圧力のようなバラスト水のパラメーターに関するデーターを取込む又船舶のバラスト及び他の操作上のシステムを通じて設置されている自動センサーからポンプの始動・停止、船舶の位置(GPS)及び日付・時間のような操作上のデーターを取込む。データーは中央処理機に記録され(船舶の航海データー記録装置を含む)陸上の事務所に転送される。これは文書によるバラスト水記録フォーム及び不具合や不規則性の記録及び報告の必要性を削除する。そのようなシステムは米国沿岸警備隊及びウクライナのGloBallastにより現在開発されている。]
 
4.5.7 上記に記載されている手続きに加え機関室日誌及び甲板日誌が記入された日付及び位置でバラスト水交換が実施されたかいなかの判定にチェックされる。同様に企業のISM手続きが又使用される。
 
4.6 バラスト水性能基準(規則D-2)の為の遵守制御
 
4.6.1 Port State Control中で、船舶がバラスト水管理計画書に準拠していない証拠が発見された場合、船舶が条約の規則D-2に準拠しているか否かサンプルを収集することにより査定される必要がある。サンプルは[望むべくは]バラスト水排出中の排出ラインから収集されねばならない。しかしながら現行の船舶の設計は排出ラインのサンプリングを不可能にしている。これらの場合、バラストサンプリングの位置がバラスト水排出ラインに直結していないときは、中間的措置としてバラストタンクのマンホール[ないしはsoundingパイプ]経由でサンプル収集が可能である。
 
4.6.2 代表的な結果を示すことに制限を受ける為、soundingパイプ経由ないしエアーパイプでのサンプリングは推奨できない。Soundingパイプないしエアーパイプによるサンプルは生物の密度の正確な推定を示さないことが科学的実験で示されている。即ちsoundingないしはエアーパイプのサンプリングは生物の数を過小評価し、結果的にある場合間違った確信 につながる可能性がある。結果としてsoundingないしエアーパイプのサンプルはバラスト水中に存在するbiotaの不正確な数字を示すことになる。[しかしながら他のサンプリング地点が使用不可能な場合、soundingパイプのサンプルは取得可能である(例えばマンホールが上積みの荷物でブロックされているとかサンプリング地点が確保できず排出ラインのサンプリングが不可能な場合)]
 
4.6.3 規則D-2は生物及び指標微生物グループの2つのサイズの分類を参照している:
 
.1 50マイクロメーター(minimum dimension)以上、
 
.2 50マイクロメーター未満かつ10マイクロメーター以上(minimum dimension)、及び
 
.3 3つの異なる指標微生物(サイズ規定なし)。
 
マンホール経由のサンプリングバラスト水タンク
 
4.6.4 マンホール経由でバラスト水のサンプリングの大きな利点はバラストタンク及びバラストホールドに容易にかつ直接アクセスできることである。これにより水槽の全体に接近可能なサンプリング(例プランクトンネットの引上げ)、ある一定の水深からのサンプリング(例Ruttnerサンプラー及びvan Dornサンプラーのような採集用のボトル)、或いは水表面からのサンプリング(例バケツを下げる事による)の多様性の機材の使用が可能となる。プランクトン網を使用する際、サンプルはタンク内で接近可能な最深の地点から垂直に網を引き上げる方法で収集されねばならない。この種のサンプリングアクセスの不利な点はマンホール及びハッチの開閉のために事前の準備が必要な点である。上積みされる荷物がサンプリングのアクセスを妨害する可能性がある。又タンク内のハッチは一段ずつ交互に設計されていることがまれで、このためタンクが3つ以上のデッキを所有していても最上段のデッキ(3メーターの深さしかない)しかアクセスが可能でないことがあり得る。更に、ある船舶ではアクセス用のハッチはタンクの側にあり従ってタンクが空でない限りアクセスできない。
 
[4.6.5 科学的研究では他のサンプリングアクセス地点(例soundingパイプ)と比較して、マンホールからのサンプリングはタンク内での生物の種類及び密度をもっとも正確な評価を示すことが実証されている。しかしながら、マンホールふたの下で生物の濃縮の働きをする表面光度を増やさないよう注意を払うべきである]
 
4.6.6 各々の反復の為に収集されるべきサンプルに対し統一的評価を可能にする為に
 
.1 50マイクロメーター以上の生物サンプルに対し対角線上 で50マイクロメーター未満のメッシュサイズを使用し、プランクトンネット(垂直にネットを引き上げる)ないしは対角線上で50マイクロメーター未満のメッシュサイズのプランクトン網を通過する排出のポンプを使用せねばならない。サンプルの量は[1,000リッター]以上でかつ一回の模写の量は100リッター以上でなければならない。もしもサンプルが算出の為凝縮される場合、サンプルは対角線上で50マイクロメーター未満のふるいを使用して凝縮されねばならない。
 
.2 50マイクロメーター未満で10マイクロメーター以上の生物サンプルに対し、対角線上で10マイクロメーター未満のメッシュサイズを使用し、プランクトンネット(垂直にネットを引き上げる)ないしは対角線上で10マイクロメーター未満のメッシュサイズのプランクトン網を通過する排出のポンプを使用せねばならない。サンプルの量は10リッターを超えねばならない。かつ一回の模写の量は1リッターを超えねばならない。もしもサンプルが算出の為凝縮される場合、サンプルは対角線上で10マイクロメーター未満のふるいを使用して凝縮されねばならない。
 
.3 バクテリアの評価のために、最低500ミリリッターの水が少なくとも3つの異なる水深で無菌ボトルに収集されねばならない。
 
4.6.7 全てのプランクトンネットはバラストタンク内のもっとも深い地点まで下げ約0.5m/sの速さで回収されねばならない。要求されるサンプルの量を満たすために複数回の垂直のネットの上げ下ろしが必要とされる可能性がある。
 
4.6.8 ポンプへの取り入れパイプは、垂直線上のサンプルを取得する為、異なる複写サンプルのために複数の深さに(可能であれば)下げる必要がある。
 
4.6.9 サンプルは少なくとも[3つの]模擬のグループに分け収集される必要がある:
 
.1 50マイクロメーター以上の生物に対し、少なくとも1000リッターの総量のサンプルが収集され、かつ各々の模擬サンプルの量は100リッターを超えねばならない。
 
.2 50ミクロメーター未満で10マイクロメーター以上の生物に対し、総量100リッターのサンプルが収集され、かつ各々の模擬サンプルは1リッターを超えねばならない。
 
バラスト水排出ラインのサンプリング
 
4.6.10 その利点は港湾当局に取り最大の関心事である排出されるバラスト水に存在するbiotaをサンプリングすることである。この方法の不利な点は機関室で乗組員の助けを借り実施されねばならないことである。現在の船員確保の観点から多くの商業船舶の乗組員はそのような仕事に割く余裕がない。更にバラストタンク内で生物が幾層にも重なり合う可能性は代表的なサンプルの収集に長時間要する結果となる。更に言えば、サンプリング地点がパイプラインに据え付けられる必要があるため、追加費用が発生する可能性がある。
 
4.6.11 サンプリングの箇所は船舶のバラスト水ポンプと排出地点の間の排出ラインの水平面上の箇所に設置されねばならない。
 
4.6.12 バラスト水タンク内の生物は均一に分布していない即ち排出されるバラスト水内の生物の密度は異なる為、最低3つのサンプルが収集されねばならない
 
.1 バラストタンク容量の[10]%が空になったとき、
 
.2 バラストタンク容量の[50]%が空になったとき、及び
 
.3 バラストタンク容量の[80]%が空になったとき。
 
4.6.13 50マイクロメーター以上の生物のサンプルは1,000リッターを超えねばならない。もしサンプルが算出の為凝縮される場合、対角線上で50マイクロメーター未満のふるいを使用してサンプルは濃縮されねばならない。
 
4.6.14 50マイクロメーター未満で10マイクロメーター以上の生物のサンプルは10リッターを超えねばならない。もしサンプルが算出の為凝縮される場合、対角線上で10マイクロメーター未満のふるいを使用してサンプルは濃縮されねばならない。
 
4.6.15 バクテリアの評価の為、最低500ミリリッターの水が無菌ボトルに収集されねばならない。
 
[soundingパイプないしはエアーパイプを通じてのバラスト水サンプリング
 
4.6.16 soundingパイプないしはエアーパイプによるサンプリングは制約を受けるが、他のサンプリングアクセス地点が接近不可能な場合サンプルが収集可能となる。この方法の利点はsoundingパイプないしはエアーパイプはアクセスが容易で、迅速なサンプリングを助け又ほとんど全ての船舶がsoundingパイプないしはエアーパイプを所有していることである。しかしながらsoundingパイプによるサンプリングの欠点は代表性を欠如することである。理由は全ての水のサンプルはタンクの底より摘出され(soundingパイプはタンク内側に開口している)従ってサンプルはタンク全体を代表しない可能性が大である。別の欠点はポンプ特に手動式のポンプを使用する際、大きな容量のサンプル水の収集に比較的長時間要することである。
 
4.6.17 各種のポンプがsoundingパイプないしはエアーパイプによるサンプルに使用可能である。手動ポンプはポンプヘッドに制約を受ける即ち8から10メーターの長いsoundingパイプを所有する深いバラストタンクはサンプル収集が不可能である。更に、電動式ポンプの使用はある船舶の型では安全上の制約の為に使用できない可能性がある。
 
4.6.18 50マイクロメーター以上の生物サンプルの総量は1,000リッターを超えねばならない。又一回の模擬の量は100リッターを超えねばならない。もしサンプルが算出の為凝縮される場合、対角線上で50マイクロメーター未満のメッシュのふるいを使用してサンプルは凝縮されねばならない。
 
4.6.19 50マイクロメーター未満で10マイクロメーター以上の生物の各々のサンプルの総量は10リッターを超えねばならない。又一回の模擬の量は1リッターを超えねばならない。もしサンプルが算出の為凝縮される場合、対角線上で10マイクロメーター未満のメッシュのふるいを使用してサンプルは凝縮されねばならない。
 
4.6.20 バクテリアの評価のため、最低500ミリリッターの水が無菌ボトルに収集されねばならない。]







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