日本財団 図書館


2)陸上試験手順
 陸上試験は、a. 試験準備(処理システム導入・試運転、試験生物培養:海産・汽水産・淡水産の内2ケース×2サイズ区分=計4種)、b. 試験実施、c. 試験排水処理に大別される。
 試験手順は以下のフローに示される。
a. 試験準備(処理システム導入・試運転、試験生物培養)
 
試験準備フロー:
 
b. 試験実施
 以下には、1サイクルの試験手順を示す。試験は、海水・汽水・淡水の中から2ケースを選択し、各5サイクル実施することになる。よって、最低、合計10サイクルの試験が必要となる。なお、試験原水は、天然水を利用しても良いので、近隣から海水、汽水、淡水が取水できる施設では、特別に準備する必要がない。ただし、取水が不可能な施設では、運搬等で試験原水を入手する必要がある。 試験水の水質条件であるDOC、POC、TSSの濃度に関しては、生物濃度条件をクリアーする試験水では、同様にクリアーするものと考えられる。
 
試験実施フロー:
(拡大画面:333KB)
 
3)陸上試験候補施設
 陸上試験施設は、前記した設備とサンプルの分析及び前処理が可能な設備が必要となる。しかし、現在の日本においては、そのような施設は存在しないことから新設することになる。ただし、既存の研究機関の施設を活用することで、効率的に新設することが可能になる。
 候補となる研究機関の条件を以下に示す。
(1)天然の海水、汽水、淡水の内、2ケース、最低でも1ケースの取水設備が整っている。2ケースとも整っていれば、原水一次貯蔵タンクは不必要になる。
(2)水生生物の培養設備が整っている。最終培養槽(例、60m3)は、既存の機関には無いと思われるが、それ以前に必要な小型培養装置や各種器具が整っていると考えられる。
(3)既存の試験排水の浄化設備がある。処理システムには、活性化物質の使用が予想されることから、浄化設備は不可欠である。このような設備は、既設されていることが望ましい。
(4)分析室及び分析設備が整っている。新たに建設あるいは購入するよりも、すでに整っている方が望ましい。
(5)ISO/IEC17025等の国際標準認証機関であるか、取得可能な機関である。 試験を実施する機関は、主管庁が認める国際標準に基づき試験の品質保証及び管理を実行することになっており、すでに取得しているか、あるいは取得可能な機関であることが望ましい。
 上記、条件の内、一部あるいは複数をクリアーしていると考えられる研究機関は、次の通りである。(具体的名称は割愛)
(1)海洋・水産関係の大学
(2)(独)水産研究所
(3)(県)水産試験場、栽培漁業センター
(4)(民)造船所、試験研究会社
 また、貯蔵タンク等の要件をクリアーする船舶を試験期間中傭船して実施、及びETVへの試験委託等の方法も考えられる。
(2)船上試験
(現在[ ]扱いである船上試験あるが、本項では実施されることを前提にとりまとめた。)
1)船上試験設備概要
 船上試験の設備に関しては、船上試験が「船上で実施されるバラスト水管理(処理)システムの完全なフルスケールの試験」と規定されていることから、試験の対象とする船舶と処理システムのスペックによって決まることになる。よって、本項では具体的な仕様を記載せず、以下に、基本的に必要となる設備を示した。
 
(1)バラスト水処理システム制御設備
(2)バラスト水処理システムモニター設備
(3)バラスト水サンプリング設備
 バラスト水取水ポイント、バラスト水排水ポイント
(4)バラスト水タンク
 処理対象となるバラスト水を貯蔵する全タンク(内、1タンクは未処理バラスト水を貯蔵するタンク)
(5)廃棄物処理設備
 ろ過法等、バラスト水処理によって廃棄物が発生する場合の処理・排出・処分設備
(6)試験・分析室、分析機器
 分析を船上で行う場合には、船舶内に分析室が必要になり、前処理・分析機器も配備することになる。
 分析を下船後に行う場合には、船内に前処理機器を配備して、サンプルの前処理を船上で行った後に、下船して所定の分析室で分析することになる。
2)船上試験手順
 以下には、1サイクルの試験手順を示す。試験は、連続して3サイクル実施する必要がある。一連の試験は、システム作動及び生物学的効果試験で構成される。作動試験は、通常のバラスト水オペレーション及び処理システムの精通者で主管庁が認める技師が船舶に乗船し、取水―処理―保管―排水までの一連のバラスト水オペレーションにおいて処理システムが正常に作動することを観察・記録することである。以下では、作業が複雑な生物学的効果試験について整理した。なお、以下の内容は、船上でサンプリングと試料の前処理を行って、下船後に分析室内で試料の分析を行うことを想定している。
 
船上試験実施フロー
(拡大画面:227KB)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION