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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2001/08/05 読売新聞朝刊
[社説]中国共産党 「看板」は掛け替えないのですか
 
 階級政党から国民政党への脱皮を意図した動き、と見ればいいのだろうか。
 創立八十周年を迎えた中国共産党の最高指導者、江沢民総書記が、私営企業の経営者の入党を認める新たな方針を打ち出した。従来の方針を百八十度転換するものだ。
 一九八九年の天安門事件直後、改革派が後退した状況下で、総書記に就任したばかりの江氏は「私営企業家は労働者を搾取しており、入党を認めるわけにはいかない」と表明していた。
 共産党が方針を変えた背景には、市場経済が進展し、社会が多元化・多層化している現実があると言えよう。
 改革・開放政策が始まった七〇年代末以来、中国は「社会主義」の看板を掲げながら資本主義的な道を歩んできた。
 私営企業はすでに百七十万社を超え、従業員は二千四百万人にのぼる。中国の経済発展をリードし、その存在はますます重要になっている。
 共産党から私営企業の経営者を排除することは、党外に強力な利益集団を放置することになる。経営者が政治力を高め独自の政治勢力を形成するようになれば一党支配を揺るがすことになりかねないと危惧(きぐ)したのだろう。
 江氏は昨年二月に唱えた「三つの代表論」を用いて、方針転換を正当化している。先進的な生産力、先進的な文化、広範な人民の利益、の三つを共産党は代表すべきだ、という考え方をもとに、経営者の入党は、広範な人民の利益を代表することになるという論理だ。
 財産の有無や多少ではなく、政治的立場や優秀な人材かどうかを、入党の条件にすべきだという主張でもある。
 江氏は、経営者の入党によって、党の権力基盤が強化され、その影響力が増大すると考えているようだ。
 「三つの代表論」は、来年秋の共産党大会で党規約に明記され、党の「指導思想」として位置づけられる予定だ。
 だが、共産党内の保守派などは、新しい方針について、「労働者階級の前衛である共産党の変質をもたらし、金持ち資本家のための政党に堕落させる」と強く反対している。
 私営企業の経営者という新たな階層を党内に抱え込むことで、党の統一を損ない、党の分裂につながりかねない、と懸念する党員も少なくないようだ。
 経営者の入党が権力と金銭の癒着を招き、腐敗をより深刻化させる、との意見もある。
 新しい方針で一党支配を維持・強化したい、という党指導部の思惑通りになるとは簡単に言えないだろう。
 
 
 
 
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