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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2000/11/06 読売新聞朝刊
[社説]新5か年計画 WTO加盟に備える中国
 
 中国の二十一世紀初頭の発展戦略ともいうべき第十次五か年計画(二〇〇一年から〇五年まで)の基本方針がまとまった。全体の計画はこれから起草され、来春の全国人民代表大会(国会)で討議、採択される。
 経済大国への道を歩む中国は、二十一世紀の半ばには近代化をなし遂げ、国民一人当たりの国内総生産(GDP)で中進国の仲間入りをしたいと考えている。そのため二〇一〇年のGDPを二〇〇〇年の二倍に増やすことが当面の目標だ。
 新五か年計画は、このGDP倍増構想を具体化するための青写真で、年間7%程度の成長を目指している。中国経済の安定的で継続的な成長は、もちろん国際社会の歓迎するところだ。
 この五か年計画に課せられたのは、世界貿易機関(WTO)加盟への対処である。遅くとも、来年前半には確実なWTO加盟は、中国経済が国際経済体制により深く参入し、厳しい国際競争に直面することを意味している。七〇年代末に始まった中国の改革・開放は、いや応なく新たな領域に踏み込むことになると言えよう。
 新計画は、経済構造の改革によって経済の質と効率を高めることを強調している。その努力がなければ、WTO加盟がもたらす「機会と挑戦」に、十分には対応できないだろう。
 中国経済の構造上の問題点は、不合理な産業構造や不均衡な地域発展、さらには不十分な「都市化」などである。
 第三次産業の大幅な発展や、IT(情報技術)による産業高度化の推進等が、産業構造改革の中心課題だ。WTO加盟を「外圧」として活用し、国有企業改革を促進することも意図されている。
 改革・開放によって東部沿海地域は急速に発展したが、西部内陸地域との格差は拡大した。新計画が打ち出した西部大開発構想は、地域格差解消策であり、経済成長の維持に不可欠な内需拡大にもつながる。
 西部では分離・独立への動きも見られ、民族融和を実現するためにも西部の開発は重要な意義を持っていよう。
 西部大開発には、資金、技術、人材が不可欠だ。外資に期待するところは大きい。先に訪日した朱鎔基首相は西部への投資をさまざまな場で訴えた。
 だが、外資は必ずしも積極的ではない。外資にとって魅力的な西部となるには、投資環境の整備がまず必要だ。
 中国の農村人口は七割を占め、余剰労働力は一億人を数える。余剰労働力を減らし農民の生活水準を押し上げるため、都市化や工業化は避けられない。
 作れば売れる時代は過ぎ去って、農村の余剰労働力吸収の原動力となってきた「郷鎮企業」(農村企業)は曲がり角にある。郷鎮企業が近代的な中小企業に脱皮できるかどうかが一つのカギである。
 西部開発であれ、都市化であれ、それらが環境に十分配慮したものであるべきことは言うまでもない。
 
 
 
 
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