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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1991/11/08 読売新聞朝刊
[社説]中越両国の和解を歓迎する
 
 ド・ムオイ共産党書記長らベトナム指導部の中国公式訪問が十四年ぶりに実現し、江沢民共産党総書記ら中国側との会談で、両国関係の正常化が宣言された。
 七九年には直接、戦火を交えたこともある両国の和解を歓迎したい。
 両国の和解は、アジアを対立の構図から共存・共栄の構図に変えていく過程の加速を期待させるからだ。中越対立がアジアの不安定要因だったのは言うまでもない。
 十世紀まで中国歴代王朝に支配されたベトナムにとり、中国は脅威でもあり、頼もしい味方ともなった。一九四九年成立の現中国は同じ社会主義国として北ベトナムと連帯し、ベトナム戦争の六〇年代にはベトナムを支援する重要な役割を果たした。
 その両国が決定的対立に至るのは七八年になってからだ。ベトナムが旧南ベトナムで社会主義改造を進めた結果、多数の華僑が難民化し、中国を怒らせた。
 事態は中国の対ベトナム援助の停止、ソ越友好協力条約の締結、ベトナム軍のカンボジア侵攻、中国の対ベトナム制裁戦争へと進んだ。この間、中国は米国と国交を樹立した。中越対立の背景には、対米路線の対立があり中ソ対立があった。
 両国が今回、和解に至ったのは、ソ連社会主義体制の破たんにより冷戦が終わったためである。ベトナムはソ連をあてにできなくなり、カンボジアを含むインドシナ連邦構想を断念せざるを得なくなった。その結果、中越対立の主要な要因となっていたカンボジア紛争も和平にこぎつけた。
 ソ連、東欧の民主化は中国とベトナムを共産党独裁堅持の数少ない社会主義国にした。両国とも、西側が平和的に社会主義体制をつぶそうとしていると警戒している。その点、両国は同じ言葉で語り合える間柄だが、今回の和解で社会主義同盟が成立するとは思えない。江沢民氏も五〇、六〇年代の関係に戻るのは非現実的と言った。
 双方の歴史的、地政学的警戒心が消えたわけでもあるまい。今回、話し合い解決で一致したとはいえ、南沙群島の領有権問題など、潜在的対立要因は少なくない。
 何よりも、両国はその経済建設を進める上で、平和な環境を求めている。西側や東南アジア諸国連合(ASEAN)の協力を必要としている。中国がインド、ソ連、インドネシア、シンガポールと一連の関係を正常化し、西側との関係修復を急いでいるのもそのためだ。ベトナムもASEAN諸国や西側との関係修復に腐心している。
 ベトナムのボー・バン・キエト首相が訪中前にASEAN三国を訪問したのも、中越同盟化の懸念を打ち消すためだろう。
 先のASEAN外相会議には中国が招かれた。ベトナムは来年にも紛争の平和的解決をうたう東南アジア友好協力条約(ASEAN諸国が原調印国)に加入しよう。
 かつて中国は地域の共産勢力を支援し、ベトナムはカンボジア侵攻で、ASEAN諸国との関係を損ねた。カンボジア紛争は中越対立の産物でもあった。東南アジアに協和の新時代を定着させるため、両国は歴史の教訓を生かしてもらいたい。
 
 
 
 
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