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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1990/08/11 読売新聞朝刊
[社説]和解した中国とインドネシア
 
 冷戦解消の虚をつくイラクの暴挙が世界を緊張させるなかで、アジアでは、人口十一億の中国と一億七千万のインドネシアが二十三年ぶりに国交を正常化させた。
 両国の和解は時代の本流である緊張緩和の流れに沿った動きであり、アジアの安定に寄与するものとして、歓迎したい。
 両国の関係悪化は、六五年九月三十日にインドネシアを揺るがせた九・三〇事件に端を発する。共産党系軍人によるクーデター未遂事件で、数十万人の死者が出た。
 中国が東南アジアの共産勢力を支援した時代の不幸な事件だった。この事件を経て、スハルト現体制が生まれたが、スハルト政権は、中国が事件に関与していたとし、六七年に中国との国交を凍結した。
 だが、時代は変わり、中国はカンボジア紛争の力学からポル・ポト派を支援しているものの、東南アジアの他の共産勢力への支援を絶ち、内政不干渉など平和五原則に基づく現実外交に転じた。インドネシアも自信をつけ、対中国脅威感は薄らいだ。
 こうして、両国の関係修復はタイミングの問題となっていたが、その道を開いたのが昨年二月の故昭和天皇の大喪の礼を機とするスハルト大統領と銭其チン・中国外相の東京会談だった。
 予想以上に早く復交にこぎつけたのは、天安門事件で孤立化を強いられた中国が急いだことや、九二年の非同盟諸国首脳会議の議長をねらうスハルト大統領の思惑があったと言えるだろう。
 中国が東南アジア外交を進める上で、東南アジア諸国連合(ASEAN)の雄、インドネシアとの関係修復は欠かせない。インドネシアにしても、外交の幅を広げたいところだし、巨大な中国市場が魅力だ。
 両国の和解により、ベトナムとパイプを持つインドネシアと、ポル・ポト派を支援する中国の間に、もう一つのパイプができたことで、カンボジア解決への好ましい影響が期待できる。今回インドネシアを訪れた李鵬首相はスハルト大統領と、カンボジア問題で突っ込んだ意見の交換をした。
 両国の復交に続き、中国とシンガポール、ブルネイとの国交樹立も近いだろう。中国に対する脅威感がこの地域を覆っていた時代、中国系住民が八割近くのシンガポールは“東南アジアの中国”と見られるのを恐れ、ASEANの中では最後に中国と国交を結ぶと公約していた。
 ASEAN諸国との関係調整が終わると、東南アジアで中国が和解していない国はベトナムだけとなる。だが、カンボジア問題が解決すれば、両国関係も修復され、米国とベトナムも国交樹立へ動こうし、日本もインドシナ復興に協力できる。
 七〇年代に日本やASEANが描いた東南アジア像は、日本も協力してのインドシナを含む地域諸国の共存・共栄の安定構造だった。その夢はベトナムのカンボジア侵攻で挫折した。
 その意味でも、カンボジア問題の行方がこの地域の安定のカギである。包括解決に向けて、当事者、関係国の一層の努力が求められている。
 
 
 
 
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