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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2004/09/21 毎日新聞朝刊
[社説]江沢民氏引退 胡政権は大胆な政治改革を
 
 中国共産党の中央委員会総会で、江沢民・党中央軍事委員会主席が引退し、後任に胡錦濤副主席(党総書記)が昇格した。これによって、江氏と胡氏という二つの権力中心の併存する不自然な政治状況がやっと解消し、胡錦濤政権の基礎が確立した。
 中国では、党総書記、国家主席、党軍事委主席という党・政・軍の3権のトップを通常は一人の指導者が兼務する。江氏も総書記時代に3ポストを兼務していた。
 ところが2002年の第16回党大会後の指導部人事で江氏は、党総書記と国家主席の座を胡氏に譲ったが、軍事委主席だけは、党の定年規定に反してまで手放さなかった。
 この結果、共産主義青年団を基盤とする胡錦濤政権本流の「団派」と、「上海閥」と呼ばれる江沢民派との2大勢力の間で、激しい確執が続いている。
 曽慶紅国家副主席をはじめとする上海閥は、党政治局の多数派を占めている。昨年の新型肺炎SARS対策では、流行を発表せずに隠ぺいしようとした江派と、防疫対策を重視した胡総書記、温家宝首相らが対立した。
 今年は経済過熱を防ごうとする温首相の景気引き締め政策に対して、大型建設事業によって高い成長率を維持しようとする上海閥系の地方指導者から強い不満が噴き出している。
 党内抗争の火種はくすぶっており、江氏の引退がただちに政治の安定に直結すると速断できない。
 胡総書記は、名実ともに最高指導者となった。だが、共産党は、幹部の汚職腐敗が横行し、党中央の意向が地方に届かないなど、統治能力の低下が目立っている。
 胡氏は、中央委総会で「党の執政能力の建設強化」を進めると演説した。天安門事件直後に成立した江沢民時代にはタブーとされてきた政治体制改革、つまり民主化改革の方向へ、遅まきながら歩み出そうとしているように見える。
 経済成長につれ、持ち家の管理に関する権利保護だの、環境権の要求だの、一般庶民の間にさまざまな権利意識が急速に芽生え、それが政治参加の要求になっている。江沢民時代と一線を画そうとするなら、一党独裁の根幹に触れるほど思い切った政治改革に踏みこむスケールの大きな構想力が必要だ。官僚的で慎重と言われる胡総書記の課題だろう。
 胡政権は、台湾政策や日中関係についても、当面はこれまで通りの姿勢を維持するだろう。歴史認識問題にこだわった江沢民氏が引退したからといって、日中の局面が大きく転換するとは考えにくい。江氏の引いた線が胡政権にとって最低ラインとなる可能性さえある。
 いっそのこと公人の立場を離れた江氏に、日本を理解してもらうよう働きかけたらどうだろう。反日愛国教育運動の火付け役である江氏と、日本の有識者とが腹蔵無く歴史観を語り合い、相互理解を深めることができたなら、子々孫々のために日中関係を打開する良い知恵が出てくるかもしれない。
 
 
 
 
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