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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2004/03/07 毎日新聞朝刊
[社説]中国全人代 成長率を下げるのも難しい
 
 中国の国会、全国人民代表大会(全人代)が始まり、温家宝首相が「政府活動報告」の中で今年の施政方針を述べた。
 最大の政策課題は、過熱し始めた経済を妥当な成長率に下げることである。温首相は「安定した、比較的速い経済の発展を維持する」と、「7%前後」の成長を目標に掲げた。
 しかし、市場経済に転換して間もない中国が、安定を維持しながら下方調整するのは決して容易ではない。社会混乱を引き起こしかねない危うさをはらんでいる。
 昨年、中国の国内総生産(GDP)は9・1%成長を実現し、1人当たり1000ドルの線を突破した。巨大な市場めがけて世界中からモノやカネが流れ込み、日本の景気も「中国特需」という新語が生まれるほど刺激された。
 だが、高速道路でスピードを出しすぎタイヤから煙が出ている自動車のような成長に対して、このところ過熱やバブルが懸念されている。とくに昨年の夏以後、国内でだぶついている人民元が大都市では高級マンション、地方では豪華な政府庁舎や工業団地などの建設に流れ込んだ。
 市街地再開発などの名目で投機用の不動産建設が活発になり、デベロッパーと地元の役人が結託した地上げが横行した。
 共産党一党独裁体制の下では、「官」が握る強大な権力を「商」がワイロで操る「官商癒着」が後を絶たない。市場経済化によって中国でも次第に中産階層が形成されてきたが、その主な構成者は私営企業家と官僚だという。
 地上げブームは、官と商に成り金を生む一方で、十分な補償金もなく住まいを奪われた都市住民や農地を失った農民を生み出した。各地で抗議行動が起き、北京の天安門広場で焼身自殺するという事件まで起きた。地上げや強制立ち退きは社会問題になった。
 政府がいくら経済調整の号令をかけても、一部の特権者が甘い汁を吸う「官商癒着」の構造が続く限り、効果は期待できない。
 温首相は「人民の監督を自覚を持って受け入れよう」と述べている。一般の人民大衆が官僚の汚職腐敗を告発する法的権利を受け入れるという趣旨だが、法治国家では当たり前のことをわざわざ施政方針に盛り込まなければならないのが、中国の現実である。現に、上海の地上げ事件では、住民が集団訴訟を起こしたら、原告団の弁護士が投獄された。中国で最も進んだ上海ですらこんな状態だから、地方の農村の法の支配は推して知るべしだろう。
 胡錦濤国家主席、温首相の「胡温体制」になって、中国政府は「親民政治」(人民大衆のために親身になる政治)をスローガンにした。胡主席、温首相の誠実で実直な人柄は中国の人々から高く評価されている。しかし温首相の報告には、江沢民時代の「三つの代表」理論への賛美はあるが、一党独裁体制が生み出す構造的権力腐敗に取り組む改革案はあいまいだ。答えは温首相も知っているはずだ。民主化である。
 
 
 
 
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