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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1999/04/07 毎日新聞朝刊
[社説]朱首相訪米 中国は大胆な市場開放を
 
 中国の朱鎔基首相が6日、米国、カナダ訪問に出発した。中国の首相が米国を公式訪問するのは1984年の趙紫陽氏以来、15年ぶりのことである。
 米中関係は、ちょうど10年前に起きた天安門事件で悪化した。しかし、米国は中国に対して「積極関与政策」を取り、2年前に江沢民国家主席の訪米を実現した。昨年はクリントン米大統領が訪中し「建設的戦略的パートナーシップ」の追求で合意し、正常化を果たした。
 天安門事件で戒厳令を発令した李鵬前首相は、昨春、朱鎔基首相に交代した。朱首相が訪米して、中国の世界貿易機関(WTO)加盟で合意できれば、米中関係は「天安門事件の呪縛(じゅばく)」から解放されるはずだった。
 ところが、朱首相を迎える米国では、今年に入って対中感情が急速に冷え込んでしまった。
 2月、衛星の制御技術が中国側に漏れたとして通信衛星の対中輸出が禁止された。続いて、核弾頭小型化の技術を華人研究者が中国に流したというスパイ疑惑が急浮上した。
 中国の人権状況に対する非難も高まり、米国はジュネーブ国連人権委員会へ中国非難決議を提案することを決めた。上下両院も全会一致で提出を求める決議を採択した。
 この背景には、次期大統領選挙をにらんだ共和党の戦略が垣間見える。それだけに、クリントン大統領は、中国に対して安易な妥協ができなくなっている。
 一方、中国も、ユーゴ空爆を「新砲艦外交」と批判したり、台湾に対する戦域ミサイル防衛(TMD)構想への参加呼びかけに反対するなど、米国への対抗姿勢を強めている。
 しかし、不況が深刻化した中国にとって、いま最優先の課題は、最大の輸出先である米国との経済摩擦の回避である。
 日本や東南アジア市場の景気回復がすぐに望めず、中国は対米輸出に頼らざるをえない。それが貿易不均衡を一層拡大し、米国のいらだちを増幅させるという悪循環をもたらしている。
 朱首相は、携帯電話の米国規格採用や通信、金融分野への外資参入許可などを切り札に、「米国の怒りをなだめる」構えだ。
 しかし、米国は農産物、サービス、保険などの分野で一層の自由化を求めており、交渉の行方はまったく予断を許さない。
 朱首相は中国の指導者には珍しい豪放、率直な人柄で、米国メディアでも人気が高い。だが、中国共産党は集団指導制であり、朱首相は経済の担当である。人権問題や軍事問題は所管外だから、この方面で朱首相にあまり大胆な対応を期待しても限界がある。朱首相個人の才覚に対して過剰な期待を抱くことは避けるべきだ。
 アジア太平洋地域の安定と発展にとって、日、米、中のそれぞれの関係はともに良好でなければならない。
 クリントン大統領の訪中のさい、米国は、中国の希望で日本に立ち寄らず、日米関係軽視の印象を与える失敗をした。
 同様に、朱首相の訪米が、人権問題や核スパイ疑惑などで対立の場となり、米中関係が再び悪化するのは、日本にとっても好ましくない。市場開放では中国に譲歩を期待するが、人権問題などは、米国は粘り強く対応すべきだ。
 
 
 
 
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