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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1997/09/29 毎日新聞朝刊
[社説]日中正常化25年 相互依存関係を重視して
 
 25年前の9月29日、日本と中国は国交正常化の共同宣言を発表した。 長い戦争状態に終止符を打ち、子々孫々の友好を誓い合った共同宣言は当時の両国民に圧倒的に支持された。ところが、ここ数年、両国関係はさまざまな面できしみが目立っている。中国の核実験、日米防衛指針、尖閣諸島問題、首相の靖国神社参拝などをめぐる政府間のあつれきに加え、国民レベルでも相手を「嫌い」と答える率が上がっているのだ。
 この背景には、日中戦争から半世紀以上たった時の流れと、両国を取り巻く国際環境の変化があるといっていいだろう。
 25年前、日本国民の間には長年にわたる大陸進出で中国の人々に多大の災禍をもたらしたという共通の思いがあった。中国にも世界で孤立しているという危機感があった。だから共同宣言を発表した直後、正常化した関係を大切にしていかなければならないという国民レベルの確かな土壌があった。
 両国には国際政治の冷徹な思惑もあった。旧ソ連を仮想敵としていた日本にとって中国と関係を深めることは、日米安保体制を補完し、旧ソ連包囲網を強化することを意味していた。共産主義をめぐるイデオロギー論争に加え、国境問題などで旧ソ連と対立していた中国にとっても、日本と組むことは旧ソ連へのけん制になった。
 いずれにしろ両国間には友好関係を維持していかなければならないという熱い国民感情と具体的利益が目に見える形で存在していた。
 ところが、旧ソ連は社会主義を放棄したばかりか連邦も解体した。ロシアは米国との敵対関係を解消し、先進国首脳会議(G8)のメンバーにもなった。ロシアと日本は領土問題が絡んで平和条約を結ぶに至っていないが、11月には橋本龍太郎首相とエリツィン大統領がシベリアで会談する。ロシアと中国も「戦略的パートナーシップ」で結ばれ、国境貿易は飛躍的に伸びている。
 1990年代に入って両国関係がぎくしゃくしてきた背景には、戦争の記憶の風化と、利害関係が見えにくくなったことが大きく影響しているといっていいだろう。
 だが、この四半世紀の間に日中関係は後戻りができないまでに関係を深めている。人的交流は数十倍に増え、貿易額は57倍になった。日本にとって中国はいまや米国に次ぐ第2位の貿易相手国だ。中国にとっても日本は第1位の貿易相手国で88年から輸出超過が続く。日本の経済援助は2兆円を超し、投資も昨年だけで45億ドルに上った。開放政策をとる中国にとって日本はなくてはならないパートナーになったのだ。
 環境問題でも日中の協力関係は不可欠で、その対立は東アジア全体に不安定状態を生み出し、結果として両国に不利益をもたらす。
 夫婦や友人でも、関係が深まれば深まるほど、小さな利害の対立に目を奪われたり、感情のもつれが反目につながる場面が出てくることは避けられない。だが、良好な関係を壊すことの不利益に思いをめぐらすことがお互いの自制を生み、危機を克服するように、両国も相互依存関係を直視することで関係を維持、発展させることができるはずだ。
 国交正常化から四半世紀という節目を契機に、両国は日中関係の重要性を改めて想起すべきだろう。
 
 
 
 
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