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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1997/02/24 毎日新聞朝刊
[社説]米中貿易 中国が日本を追い越す日
 
 米国の貿易赤字、最大の原因が日本だった時代が去ろうとしている。代わって中国が、急速に米国との貿易で巨大な黒字国にのし上がってきた。今の勢いだと、今年中に中国の対米黒字が日本の対米黒字を抜き去ることになりそうだ。世界の貿易バランスは、来世紀に向けて大きな転換期を迎えている。
 当然、今後、米国と中国の間での通商摩擦の増加が予想される。慣れ親しんできた日米間の摩擦とは、様相を異にした通商交渉が世界貿易の中心課題として浮上してくる。当事者でなくなる日本は、情報集めに奔走する立場になる。米中交渉の結果がこちらに悪影響しないか、疑心暗鬼の中で、隔靴掻痒(かっかそうよう)を経験する時代がまもなくやってくる。それは、米国に対して譲歩してきたよりも、もっと面白くない経験かもしれない。
 世界貿易機関(WTO)に中国が早期に加盟することは、その意味で公平な世界貿易体制を守るために、必須(ひっす)のことになってくる。最大の通商摩擦国がWTOルールの外にいたのでは、WTO体制そのものが崩れてしまう。中国加盟は中国にとってよりも、日本と世界にとっての重要性の方が大きくなってきた。
 日本はそうした事態に備えて、通商に対する大原則を確立する必要がある。日本は巨大な輸入国として今後、相手国、特にアジア諸国に対して、市場開放を求めていくのか。そうした、米国と同じ方式ではなく常に事情を斟酌(しんしゃく)した妥協中心の和解方針でいくのか。その場合でも日本の原則は何なのか。世界貿易拡大のために市場の自由化を要求していくのか、他国の規制緩和を要求していくのか。明確に外に向けて日本のやり方を示していかなければ、たちまちのうちに、日本はどうでもよい国になってしまう。
 現在進行中のWTOへの中国加盟交渉は、米中、日中、日米間のやり取りを中心に、加盟条件が詰められている。通常の途上国扱いよりも厳しい条件を中国に要求する米国が、結局は妥協のかぎを握っている。例えば、中国は貿易黒字の累積で、米国国債を大量に購入しており、昨年だけをとると、日本よりも大きな金額を購入したといわれている。
 これを大量に売却すれば、米国の金融市場で大混乱が起き、世界の経済にも影響する。日本が米国債を保有するよりもその可能性ははるかに大きいと、中国の米国債大量保有の危険性を指摘する米国内の見解もある。ためにする議論との見方もあるが、少なくとも中国側も対米通商交渉上の切り札を次々と手に入れていることは確かだ。それだけ米中妥協の可能性は広がっている。
 これに対して日本は中国にどこまで独自の政策を貫くことができるのか。米中が先に妥協しても日本の主張を独自に貫く覚悟があるのだろうか。人的な関係が重要な中国政策に十分な人材を長期にわたって送り込んでいるのだろうか。いささか疑問だ。問題は中国政策だけではない。外務省や通産省など対外関係の役所でも、大臣を含め国内重視で、ところてん方式の配転を続けている。
 次に会った時はいつでもこちらは人が違ってもことなきを得てきたのは日本の貿易力が圧倒的に強かったからだ。中国もアジアも急速に変わっている。世界の流れに合わせた通商政策を再構築する時が来た。ここでも行政改革は時代の要請なのだ。
 
 
 
 
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