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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1996/04/27 毎日新聞朝刊
[社説]北京宣言 “戦略協力”確認した中露
 
 エリツィン・ロシア大統領は3年半ぶりの訪中で、13にのぼる各種の協力文書に調印し、江沢民国家主席との共同宣言では両国の「新しい戦略的な協力関係」をうたいあげた。上海ではカザフスタン、キルギスタン、タジキスタンの中央アジア3国首脳とともに中国との国境地帯での軍事信頼醸成措置に関する協力協定にも調印した。中露関係は21世紀を前に、全面協力の段階に入ったといえる。
 今回、両国が結んだ協定や議定書などの各種合意文書は知的所有権保護から、原発建設、宇宙探査・開発、エネルギー、国境の為替管理、不当競争と独占禁止、輸出品の品質向上、麻薬取り締まりなどの犯罪防止協力まで、広範な分野での協力をうたったものだ。中国として初めて外国首脳との間にホットラインを設置することも決まった。
 中国は今世紀末までに一人あたりの国民総生産(GNP)を1980年の4倍にし、さらに2010年までにGNPを2000年の2倍に増やすことを目指している。すでに石油の輸入国になった中国にとって、この高度成長計画の最大のネックはエネルギー不足だ。今回、両国はシベリアの天然ガスを中国まで輸送するパイプラインを共同建設する計画でも基本合意した。
 エリツィン、江沢民両首脳の共同宣言には、これまでの「建設的なパートナーシップ」という表現に代わって、「新しい型の戦略協力のパートナーシップ」という言葉が登場した。2年前の共同宣言にはなかった「覇権主義、強権政治」批判も盛り込まれた。そこにかつての“同盟関係”復活のにおいをかぎ取ろうとする人もいるが、過剰反応は無用だ。
 4300キロもの長い国境を接し、帝政ロシア時代から紛争の絶えなかった両大国が、21世紀に向けて、長期的に安定した善隣友好の協力関係を築くことは、それ自体が重要な戦略的意味を持つ。
 江主席や李鵬首相、喬石全国人民代表大会常務委員長ら中国側首脳が、エリツィン大統領との会談や共同記者会見での発言では「建設的パートナーシップ」という従来の表現しか使わなかったことにも注意したい。「戦略的協力」について西側諸国から“誤解”されるのを恐れたためであろう。
 首脳会談と並行して行われた中露外相会談でも、この新しい関係は“同盟関係”を意味するものでなく、いかなる第三国に向けられたものでもないことがわざわざ強調された。
 中国と北の大国とは、かつて「中ソ同盟時代」と言われた時代でさえ、一枚岩ではなかった。ロシアの軍需産業が中国を格好の兵器市場と考えているのは事実だが、両国が新たな同盟関係を築かねばならない時代ではない。西側諸国の先進技術や資本は両国の経済改革と近代化推進に必要不可欠なものとなっている。
 今回の訪中で私たちは、エリツィン大統領が先のモスクワの原子力安全サミットで合意した核実験全面禁止条約(CTBT)の9月妥結について中国からも同意を取りつけることを期待していた。しかし中国側はCTBTの年内合意、平和的核爆発除外という当初の立場を変えなかったようだ。残念というしかない。
 中国は、CTBTに抜け穴を設けることは非核保有諸国の核開発に道を開き、中国の安全保障にもはねかえってくることに気づくべきだ。
 
 
 
 
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