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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1992/08/22 毎日新聞朝刊
[社説]中国を引っ張る華南経済圏
 
 「改革・開放」の道を進め市場経済をさらに大胆にとり入れていく中国のニュースが最近頻繁に伝わってくる。その先端を走るのは華南経済圏だ。
 華南経済圏の範囲は中国の広東、福建、海南省と香港、台湾、マカオからなる。面積は三十七万平方キロメートル、人口は一億二千万で、ともに日本とほぼ同じだ。域内総生産(GDP)は日本の十分の一とはいえ、その規模はブルネイを除く東南アジア諸国連合(ASEAN)と肩を並べる。
 東アジアは世界の高成長地域だが、とりわけ活発な動きを見せているのはこの華南地域である。
 今年にはいって中国の最高実力者、トウ小平氏が広東省を中心に南方を視察、この地域の経済活動が一段と活気を帯び始めた。中国の「改革・開放」路線は後戻りできないところへきており、華南経済圏の動きが、今後の中国の進路に大きな影響を与えるという意味では、日本としても目が離せない。
 中国南部の人たちの顔は北京をうかがっているが、その目と耳は香港と台湾に向いているという。華南経済圏の八割以上の経済力は香港と台湾からきているが、ここ数年の中国南部の成長は目覚ましい。広東では一人当たりGDPが改革・開放前に全国平均以下だったが、今では逆に五割以上も上回っているのは、注目されてよい。
 この地域に香港と台湾の企業が進出したことには背景がある。
 香港では一九八五年のプラザ合意以降、ドルにリンクしていた香港ドルが安くなり輸出が飛躍的に拡大した。この外需を賄い切れず安い労働力を求め中国南部に進出、その地に生産ラインを移し、委託生産加工を始めた。
 香港といえば「玩具(がんぐ)」「履物」などを連想するが、この種の製品のほとんどは今や広東省で生産されている。省内八百万人の労働者のうち、四人に一人は香港系の企業で働いている。
 台湾の事情もあまり変わらない。八〇年代に入り人手不足、賃金上昇、地価高騰などが顕在化、最大の輸出市場である米国との間で深刻な通商摩擦が表面化した。こうした問題を克服するため、地の利が良く労働力も安い対岸の中国南部に目をつけたのだ。
 中国もこの動きを歓迎している。
 香港、台湾と華南三省の人々が同じ民族で文化・言語を共有、またこの三省は多くの華僑・華人の出身地であることも、この地域の強みだろう。このため日本の企業はやや出遅れている。
 華南経済圏の前途は基本的に明るいが、課題もある。たとえば広東省と中国内陸部の貴州省との所得格差は七対一にまで拡大した。この格差を、中国政府はどう解決していくのか。しばしば起きる経済の過熱化現象も問題だ。
 この地域は日本にとっても重要だ。華南は二十一世紀に華中、華北の沿岸部と結んで一大工業ベルト地帯を形成する可能性がある。中国の経済発展を手助けするためにも、ここでつくられる製品に日本の市場を開き、さらに華南の産業構造高度化のため日本企業が貢献していくことが望ましい。それは東アジアの安定にも役立つだろう。
 
 
 
 
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