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青木 孝安(あおき たかやす)(昭5.6.28生) 東京都杉並区
 
 昭和51年、都会の子ども達を山村の学校で1年間学ばせ、村の生活を経験させ豊かな自然の中でのびのびと育てる「山村留学制度」を創設し効果を上げて来た。その活動は全国に広がり過疎の自治体の活性化にも役立つなど山村留学制度を多年にわたり展開されている。
(推薦者:富岡 賢治)
 
Mr. Takayasu Aoki
(Born on June 28, 1930)
Suginami-ku, Tokyo
 
 In 1976 Mr. Takayasu Aoki founded the "mountain village study program" to give children from urban areas opportunities to experience life in villages and grow up surrounded by nature through studying at schools in mountain villages for one year. His program has been effective and spread nationwide, thus helping to rejuvenate depopulated municipalities.
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 青木さんは、長野と東京の小中学校の教師を勤めた経験から、都会の子ども達は自然に触れることが少なく、学校も知識一辺倒の詰め込み教育に走り過ぎ、不登校や非行が増加するなど、教育環境が日増しに悪化してゆくことを憂えていた。子ども達には自然を体験しつつ人間形成をする場が必要と考え、昭和43年「育てる会」を発足させ、昭和44年に「自然教室」、昭和51年に日本初の「山村留学制度」を始めた。「自然教室」では、休暇期間に子ども達と長野県八坂村の農家に数泊し、様々な野外活動を体験させた。さらに参加者からの希望により、1年間親元を離れて里親農家等に分宿して村の学校に通い豊かな自然の中で生活する「山村留学制度」を始めた。都会の子ども達は、自然の恵みを知り、村の人々の人情や伝統文化に接し、村の子ども達と共に学び共に遊んで、子ども本来の明るさを取り戻し、積極的で自信に満ち集中力のある子に変わって行った。その実現までには、受け入れ先の農家に何度も説得を続けて理解を得る等様々な苦労があったが、やがてこの制度は受け入れ側にも良い影響を及ぼし、過疎化が進む農山村の学校や地域の活性化にも役立つことが分かってきた。山村留学制度は、現在全国79の自治体、140校で実施され、また、この制度の効果を知った多くの農山村の自治体、小中学校も、地域の児童生徒を対象に体験学習、通学合宿の制度を取り入れるようになってきた。
 
受賞の言葉
 夏休み、冬休み等の休暇期間中に行った青少年の自然体験活動でしたが、一年単位で山村に移住して学校に通うという、山村留学に発展しました。
 この制度は、現在、全国100以上の自治体で実施されています。やはり、教育効果や、過疎自治体の活性化に果たす役割が大きいからだと思います。
 このたびの私の受賞は、全国の山村留学事業を更に発展させる大きな動機となるでしょう。
 今回の受賞を励みに、なお、いっそう努力を重ねたいと決意しました。
 
 
 
 
山村留学の子ども達と稲刈り
 







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