第3章 北部九州の離島における交通バリアフリー化の現状
1. 北部九州の離島における高齢者、身体障害者等の現状
(1)高齢者、身体障害者を中心とする人口動向
北部九州地域の海上旅客輸送におけるバリアフリー化の実態と、高齢者・身体障害者等の海上旅客輸送に対する利用者ニーズを把握するにあたり、ここでは海上旅客輸送の利用対象者となる高齢者、身体障害者を中心として、長崎県及び福岡県における人口動向を整理する。
(1)北部九州の離島における人口分布とその推移
本調査の対象とする離島地域は、長崎県対馬島を中心とした6島からなる対馬地区と、同県壱岐島を中心とした6島からなる壱岐地区、及び福岡県北部の8島からなる筑前諸島であり、離島数は長崎県内が12島、福岡県内が8島、計20島である。
これらの市町村は8市町村(5市2町1村)にまたがっており、このうち対馬市、壱岐市、大島村は全域が離島に存する市町村となっている。一方、北九州市、宗像市、新宮町、福岡市、志摩町は本土と離島にまたがるため、以下において市町村ごとのデータを扱う際には、参考として各表の末尾に示している。
図3-1-1 対馬・壱岐・筑前諸島の離島
図3-1-2 対馬地区(旧町単位)
図3-1-3 壱岐地区(旧町単位)
資料)長崎県ウェブサイトほかよりUFJ総合研究所作成
|
なお、宗像市に属する地島は、2003年4月1日に玄海町が宗像市と合併する以前は玄海町に属していた。対馬市と壱岐市は2004年3月1日に島内の町が合併して誕生した市であり、図3-1-2、図3-1-3に示すように合併前は、対馬市は厳原町、美津島町、豊玉町、峰町、上県町、上対馬町の6町によって、壱岐市は郷ノ浦町、勝本町、芦辺町、石田町の4町によって構成されていた。以上3市については、合併前のデータしか得られなかった場合は、旧町単位でデータを示している。
離島の人口分布をみると、対馬地区に約4.1万人、壱岐地区に約3.4万人、筑前諸島に約3千人が住んでおり、離島部を合わせると約7.8万人となる。対馬・壱岐地区の人口分布を旧町単位でみると、対馬地区では厳原町が約1.6万人で最も多く、ついで美津島町が約9千人となっている。また壱岐地区では郷ノ浦町が約1.3万人で最も多く、ついで芦辺町が約1万人となっている。
表3-1-1 離島の人口分布
都道府県名 |
地域名 |
島名 |
市町村名 |
人口 |
長崎県 |
対馬地区 |
対馬島 |
対馬市 |
41,016 |
海栗島 |
|
62 |
泊島 |
|
15 |
赤島 |
|
58 |
沖ノ島 |
|
41 |
島山島 |
|
38 |
計 |
6 |
1 |
41,230 |
壱岐地区 |
壱岐島 |
壱岐市 |
32,979 |
若宮島 |
|
24 |
妻ケ島 |
|
2 |
原島 |
|
145 |
長島 |
|
164 |
大島 |
|
224 |
計 |
6 |
1 |
33,538 |
合計 |
12 |
2 |
74,768 |
福岡県 |
筑前諸島 |
馬島 |
北九州市 |
49 |
藍島 |
北九州市 |
299 |
地島 |
宗像市 |
212 |
大島 |
大島村 |
909 |
相島 |
新宮町 |
409 |
玄海島 |
福岡市 |
708 |
小呂島 |
福岡市 |
211 |
姫島 |
志摩町 |
211 |
合計 |
8 |
6 |
3,008 |
離島部 |
3 |
20 |
8 |
77,776 |
|
注)「国勢調査(2000)」に基づく。ここでは「離島振興法」に基づき、無人島及び本土と結ばれた島等は除く。
資料)「離島統計年報(2003)」(財団法人日本離島センター)よりUFJ総合研究所作成
人口規模別の離島数分布をみると、「100〜499人」が8島で最も多く、ついで「50人未満」6島となっている。1,000人未満の人口規模の離島が9割を占めるのに対して、約4万人の人口を有する対馬島と、約3万人の人口を有する壱岐島の2島は、「10,000人以上」と特に人口規模が大きい。
図3-1-4 人口規模別離島数分布
資料)「離島統計年報(2003)」(財団法人日本離島センター)よりUFJ総合研究所作成
|
過去20年間の人口の推移をみると長崎県の人口は約150万人で推移しており、1980年から2000年における人口増減率は4.7%の減少となっている。また、福岡県の人口は1980年の450万人強から2000年の500万人強へと増加しており、20年間で10.2%の増加となっている。
離島部の市町村では対馬市、壱岐市及び大島村とも過去20年間、一貫して人口が減少しており、人口増減率をみると対馬市と壱岐市はいずれも約18%の減少、大島村はさらに大きく30.2%の減少となっている。
表3-1-2 離島部市町村における人口推移
|
1980年 |
1985年 |
1990年 |
1995年 |
2000年 |
人口増減率 (2000/1980) |
長崎県 |
1,590,564 |
1,593,968 |
1,562,959 |
1,544,934 |
1,516,546 |
-4.7% |
福岡県 |
4,553,461 |
4,719,259 |
4,811,050 |
4,933,393 |
5,015,699 |
10.2% |
対馬市 |
50,810 |
48,875 |
46,064 |
43,513 |
41,230 |
-18.9% |
壱岐市 |
41,035 |
39,528 |
37,308 |
35,089 |
33,538 |
-18.3% |
大島村 |
1,303 |
1,202 |
983 |
917 |
909 |
-30.2% |
北九州市 |
1,065,078 |
1,056,402 |
1,026,455 |
1,019,598 |
1,011,471 |
-5.0% |
玄海町 |
9,243 |
9,216 |
8,949 |
9,085 |
9,559 |
3.4% |
新宮町 |
13,863 |
14,954 |
15,493 |
19,227 |
22,431 |
61.8% |
福岡市 |
1,088,588 |
1,160,440 |
1,237,062 |
1,284,836 |
1,341,470 |
23.2% |
志摩町 |
14,335 |
14,922 |
15,903 |
17,599 |
17,571 |
22.6% |
|
資料)「国勢調査(各年)」よりUFJ総合研究所作成
|