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「沖ノ鳥島の有効利用を目的とした視察団」報告書

 事業名 海洋・船舶の実情調査及び研究等
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


−環境にやさしい持続可能な利用と国際貢献を目指した海洋温度差発電利用−
佐賀大学海洋エネルギー研究センター 副センター長 池上 康之
1. 概要
 本視察には、沖ノ鳥島における海洋温度差発電利用の可能性及びその有効性に関する問い合わせ、実施に当っての協力依頼要請などが10年以上前からあり、これらに応えるべく参加させていただいた。本視察の成果を活かし、近年の海洋温度差発電の研究成果を活かした沖ノ鳥島の「環境にやさしい持続可能な利用方法」と「我が国をはじめ国際社会に貢献できる活用方法」について示す。
 
2. 沖ノ鳥島の視察
 2004年11月26日の現地視察によって、次のことが明らかとなった。
(1)海洋温度差発電1,000KWから3,000KW級を実施するには、面積は十分
(2)沖ノ鳥島東小島には、発電に対するフジツボやムラサキガイなどの海洋汚損生物が極めて少なく、海洋温度差発電の運用には有効
(3)海洋温度差発電を用いた漁場造成が有効
(4)視察時は、珊瑚礁内は、外海に比べて極めて穏やか
 上陸時間及び調査時間が少なく、次の点が十分明らかに出来なかったので、今後の詳細な現地調査研究をする必要がある。
(1)海洋温度差発電設置のための海底の環境、地質調査(以前実施された沖ノ鳥島調査データの確認と最新のデータ取得を含む)
(2)経常的な海洋表面及び海底の温度、海流、波高など海洋環境の計測(これまでのデータの評価と最新のデータ取得を含む)
(3)沖ノ鳥島近海の海水に生息する海洋生物、水産資源のための栄養塩など海水特性の調査及び評価
(4)沖ノ鳥島と本土を繋ぐアクセス方法に関する検討
 
3. 沖ノ鳥島における海洋温度差発電の可能性
 海洋温度差発電は、海洋の表層の温海水と海洋深層の冷海水との温度差が15℃以上あれば、経済的に成り立つと評価されている。海洋温度差発電では、この温度差が大きいほど、システムの効率が向上し経済性が高まる。なお、海洋温度差発電の原理については、本文第8.1節に概説している。図1に沖ノ鳥島海域の海水温度分布を示す。この図から明らかなように、温度差が約25℃あり、沖ノ鳥島における温度条件は、海洋温度差発電の設置には極めて好条件である。
 特に、我が国の排他的経済水域内(EEZ)で最も海洋温度差発電の設置に適しているサイトの一つである。参考のために、他の地点の温度分布を示す。
 今後は、さらに、詳細な現地調査研究を含め、さまざまな沖ノ鳥島の利用形態に適応した調査研究、経済性評価、国政レベルでの総合評価などが必要である。
 
図1 沖ノ鳥島及び他の代表的な地域の海水温度分布







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更新日: 2023年4月1日

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